ミニを保有してプットコールパリティするときのミニ枚数は合計10枚

投稿者名:金森 雅人

もしプットオプションを1枚買っていて、ヘッジのためにミニ7枚を買っていた場合、プットがインザマネーになりプットコールパリティで損益を固定したいと思ったら、あなたはどうしますか?

プットコールパリティで損益固定するには、プットの売りポジションをミニとコールで作ればいいので、ミニを10枚買ってコールを売ることで損益を固定できます。

これがプットコールパリティの基本的な考え方です。

ですがミニ7枚をすでに保有しているなら、ミニは10枚も買う必要はありません。

わずか3枚買うだけでプットコールパリティが完成します。

そのほうがミニの売買枚数が減らせて手数料が少なくて済みます。

この記事を読めばなぜミニは10枚買うのではなく3枚買うだけで良いのか理屈が分かります。

プットコールパリティの公式通りに注文するとミニが余る場合

プットコールパリティの公式通りに注文するのであれば、ミニを10枚買ってコールを売ります。

プットを単体で保有していて損益固定する場合はこのポジションで良いのですが、それを現在のポジションに追加すると、もともと保有していたミニが7枚余ってしまいます。

プットは損益固定できても、ミニ7枚は無ヘッジ状態なので、リスクが高いポジションとなってしまいます。

プット1枚とミニ7枚買いの組み合わせの損益グラフは下記のようになり、損失限定ポジションです。

緑のグラフはポジション組成時の損益グラフで、青のグラフがSQ時の損益グラフです。

ご覧のように、青のグラフが下に突き抜けていかない姿をしているので、損失は完全に限定されていることが分かります。

ところが、プットとミニを保有していてプットの損益だけを固定すると、プットを1枚外した損益グラフになります。

これでは、ミニ7枚を純粋に買い持ちした状態であり、上がれば利益、下がれば損失の損益を描きます。

プットコールパリティの狙いは、プットのみの損益を固定するのではなく、ポジション全体で損益を固定してSQを通過させたいので、この場合はどうした良いのでしょうか。

それがミニを3枚買うことです。

ミニを3枚追加すれば合計でミニが10枚になり、インザマネーのプットのデルタと一致します。

ミニの取得単価の違いは気にせず計算して良い

でも、その際にもともと保有していたミニ7枚の取得単価と、プットコールパリティをしようと思った今の取得単価が異なり、どのように計算していいかわからなくなるかもしれません。

この点を確認するには、分解して考えます。

プットをミニ10枚とコール売りで損益を固定し、余分なミニを7枚反対売買で消します。

そうするとミニ10枚+コール売りを行った後に、ミニを7枚売ることにになります。

ミニは損益がダイレクトに反映されるので、これまで発生していた含み損をミニ7枚売りで固定したうえで、プットコールパリティでプットの含み益を固定します。

この一連の流れを、ミニ10枚買ってミニを7枚売る代わりに、ミニを3枚買えばパリティ完成です。

オプション投資家養成塾の生徒さんとの会話

こちらはオプション投資家養成塾で学んでいる方からの質問です。

プット買いを決済する場合、インザマネーにより、板が飛んでいて決済しようにも安い値段でしか決済できません。この場合、プットコールパリティにより、プット売り(先物ミニ10枚買い+コール1枚売り)を実行しようと考えましたが、すでに先物ミニは7枚保有していますが、先物ミニの10枚追加買いが必要でしょうか。

コールの売り玉と買い玉を無視して考えると、プットを1枚買ってミニを7枚買っているので、残りは3枚+コール1枚売りです。

このプットの妥当な価格を計算すると、添付資料だと1095円ですね。

これもプットコールパリティの考え方でオプション投資家養成塾の第2章で学べます。

 本日のご回答の中で「プット1枚買ってミニを7枚買っているので、残りは3枚+コール売り1枚売りです。」とありましたが、 私のポジションであるミニ7枚は12月17日に「21390円」で買い建てています。
残り3枚を追加買いする場合、買い建て時(12月21日)の日経225先物の時価で買い建てるため、保有ポジション7枚の「21390円」と異なる価格で残り3枚を追加買いすることになりますが、それでも「残りは3枚+コール売り1枚売り」でプット買いのパリティは成立するのでしょうか。

パリティの狙いは、プット1枚の損益を完全に固定させるためです。

プット1枚がディープインザマネーに近づけば、デルタが-1.0に極めて近づきます。
このオプションの損益を固定するには、ミニを10枚保有していれば、デルタが+1.0なので相殺できます。

現在7枚買っているので、残りは3枚買います。

先物を買った価格はいくらであっても、デルタはミニ1枚当たり0.1なので合計10枚になるようにします。

買い建ての金額が違う点は、固定するまでの損益に反映されているので、金額を合わせる必要はありません。(金額を合わせることはできません)

なので、「今から将来にかけてプットのデルタ-1.0を消したい」を実現するのが、プットコールパリティの使い方となります。

 プット1枚の損益を固定するのに、ミニ3枚買い+コール売り1枚売りを実行することによって損益固定できるのは理解できました。
具体的には、プット1枚買いで64万円の利益が出ていれば、その利益を固定できるということだと思います。問題は当初保有していたミニ7枚買いの損益です。

 プット1枚買いの損益固定のために、ミニ3枚買い+コール売り1枚売りを実行する時、当初保有していたミニ7枚買いの損益が例えば、△76万円であった場合、この△76万円はどうなるのでしょうか。

私が伝えたのは「手数料を安く済むために手間を省く」行為として、最終形を直接実現するための考え方です。

本来、プット買いを持っているので、ミニを10枚買ってコールを売るとパリティでプットの含み益を固定できますので、64万円の含み益が出ていたら、その利益を固定できます。

プットの損益が固定されると、ミニ7枚は余分です。

そこで速やかに決済してポジションをクローズしますので、76万円マイナスだとすれば、この時点でマイナスが確定します。

64万円の利益を固定して、76万円の損失を確定するので、-12万円で損益固定したことになります。

ミニ14枚が余分に売り買いされている

この一連の流れを整理すると、ミニを7枚持っている状態からミニを10枚追加で買って、不要となったミニ7枚を売ることになります。

ミニ10枚買ってから7枚売るので、手数料が17枚分発生しますが、差し引きは3枚買えば済みます。

これが実務上の合理的なプットコールパリティの使い方です。

もちろん端折らずに17枚分ミニを取引すれば損益が確定するのでわかりやすいかもしれません。

ミニ3枚を買った場合の含み損76万円の在りか

なお、ミニの含み損については、不要なミニを決済した際に-76万円の損失が確定します。

ミニ3枚の買い=ミニ10枚買い+ミニ7枚売り の合成ポジションだと考えて両建てした状態だとみなせば、ミニ3枚を買った時に-76万円の損失を確定していることが分かります。

なお、実際はミニを全く売らずに3枚買い足しているので、この-76万円は含み損です。含み損がどこにあるかというと、ミニに入っています。

ですのでパリティでSQ通過した際に、プットが消滅すれば先物とコールの損益を合計して本来64万円の利益が固定されるところが、実際は-76万円分不利な価格でミニを建てているのでその分引かれることになります。

まとめ

今回プットコールパリティで損益固定したのはプットだけであり、ミニを合わせて保有していた場合はミニがヘッジなしポジションに変わってしまいます。

だからこのミニを活用してプットコールパリティをすることで、ミニの売買にかかわる手数料を減らすことができます。

この際ミニは現値での取引が基本なので、保有ポジションと今から発注するポジションでは取得単価が異なります。

ですがミニは損益がダイレクトに発生するので、取得単価が異なっていても影響はありません。

その影響はプットコールパリティを実施するまでのプットとミニの損益に含まれているから、パリティを実行した瞬間にプットの損益を固定して、同時に余ったミニを処分したと考えれば損益のイメージがつかめます。

また、プットコールパリティは損益グラフを用いて考えると、インザマネーのプットのデルタ-1.0相当をミニを使って相殺する行為なので、ミニを合計10枚買えばデルタが消えることが分かります。

従って、ミニの売買手数料を出来るだけ少なくプットコールパリティをするなら、保有のミニを使って合計でミニを10枚分保有すればミニの取得単価にかかわらずに損益固定できます。

プットコールパリティについては、プットコールパリティをわずか1分で頭に描く方法もお勧めです。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

※株式取引(米国株式)、オプション取引(米国株オプション取引)においては、株式相場、為替相場の変動等によって損失が生じるおそれがあります。お取引に際しては、あらかじめお取引先の金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等を十分にお読みいただき、商品の性質、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分に御理解いただいたうえで、御自身の判断と責任でお取引いただきますようお願い申し上げます。
 

関連記事

   オプション取引に関する無料メルマガを購読できます    登録はこちら
TOP
TOP