ノックアウトオプションをミニサイズでカバードコールする方法

投稿者名:金森 雅人

あなたは、IG証券が提供しているノックアウトオプションを使ったカバードコール戦略を、試しに小ロットで取引したいと思いませんか?

ノックアウトオプションは日経225オプションに比べて1/10の金額から取引できるので、実はかぶオプと同じサイズ感で取引可能です。

ですが、株式のノックアウトオプションは存在しておらず、カバードコール戦略を組んでみたくてもサイズが異なるため活用できません。

そこで、ノックアウトオプションを最低単位で取引して、カバードコール戦略を試せる方法があります。

それが、アメリカ株オプションを使った取引です。

この記事ではアメリカ株オプションとノックアウトオプションを使ってカバードコールを行う方法を説明します。

かぶオプを使いたくても使えない2つの理由

かぶオプと同じカバードコールが有効なノックアウトオプションで紹介した戦略は、ノックアウトオプションを10ロット保有することで、日経平均先物のロングポジション1枚を作りました。

ですが、IG証券ではノックアウトオプションは1ロットから取引できます。

手始めに練習するなら、小ロットで取引したいと思いませんか?

ノックアウトオプション1ロットに対してカバードコールをしたいのですが、日経225オプションを使うと、1000倍単位しか取引できないので、サイズが合いません。

だから、日経225オプションを使う場合はノックアウトオプションを10ロット分必要になってしまいます。

そこで、オプションサイズが小さい商品と言えば日本ではかぶオプが有名です。

このかぶオプを使えばサイズ感を統一してノックアウトオプションでカバードコール戦略を組めそうですが、課題が2つあります。

1つ目はかぶオプは現在はまだ流動性が充分高まっていない点。

そしてもう1つはノックアウトオプションは個別株に対応していない点です。

この2点があるため、かぶオプとノックアウトオプションを組み合わせたカバードコール戦略を使うことができません。

そこで、検討したいのが、アメリカ株オプションです。

アメリカ株オプションを使ったカバードコール

アメリカ株オプションは100倍のサイズで取引できるのでかぶオプと同等のサイズです。

肝心の原資産ですが、IG証券には米国500という、S&Pに連動した商品があります。

この米国500は2796ドルですが、1ロット取引をするなら1/10の279ドルで取引できます。

米国500にはノックアウトオプションもありますので、このノックアウトオプションを利用します。

そして、オプションにはSPYオプションを使います。

SPYとは、S&P500指数のSPXに対して1/10サイズにしたETFです。

原資産を米国500ノックアウトオプションを利用してSPYロングポジションを作り、カバードコールにはSPYコールオプションを売る組み合わせで練習することができます。

SPYオプションを取引するにはIB証券

現在、日本人がSPYオプションを取引するのに適しているのは、インタラクティブブローカーズ証券(IB証券)です。

他にもFirstrade証券は、以前は日本人の新規口座開設を停止していたようですが、現在は再開したようです。

ただしFirstrade証券は口座開設から取引プラットフォームなどすべて英語のため、英語が堪能な方でないと口座開設をするのは難しいでしょう。

まずはIB証券で口座開設をしてみて、オプションの練習をするのが良いかと思います。

米国500のノックアウトオプションでSPYロングを作る

IG証券で米国500のノックアウトオプションを買いSPYロングポジションを作ります。

ノックアウトオプションの「米国500ブル(上昇)KO」と「米国500ベア(下落)KO」のどちらかを選択します。

日本225と異なり、この米国500のノックアウトレベル最小ポイント値幅は、1.0です。

よって銘柄を選ぶ際にも、ノックアウトレベルが1ドル刻みで出てきます。

肝心のロット数ですが、1ポイント1ドルで計算されていることがわかります。

SPYオプションは1ポイント100ドルの損益が発生しますので、ロット数は100で釣り合いますので、100ロット取引します。

もしSPYオプションのサイズにこだわらなければ、1ロットからでも取引ができます。

ノックアウトレベルを1ポイントに設定して、100ロット取引する場合に必要な証拠金は207ドルです。

およそ2万円ちょっとでSPYロングポジションと同等のポジションを作れます。

もちろんノックアウトレベルを1ポイントに設定していると、少しも見合っただけですぐノックアウトされてしまいますので、多少の余裕分は必要です。

これで、SPYのロングポジションは完成です。

SPYコールオプションを売ってカバードコールする

ついで、SPYコールオプションを売ってカバードコールします。

権利行使価格は、届かなそうな権利行使価格を選んでもいいですし、値上がり益を確保出来たら利食いしても良いと考えればプレミアムが高いオプションを選んでも良いでしょう。

例えば来年1月18日満期の280ドルのコールオプションがおよそ2.23ドル程で売ることができるので、223ドルの受け取りがあります。

ノックアウトオプションの証拠金が207ドルで、SPYオプションの受け取りが223ドルなので、証拠金拘束額以上の受け取りになっているのが面白い取引ですね。

しかもSPYが上昇すれば、この223ドルのほかに上昇益まで利益にできます。

この場合はSPYロング相当のノックアウトオプションが含み益を出して、SPYオプションは含み損が出ます。

この含み損はSPYロングで全てカバーできていますが、証券会社が分かれるため、IG証券では利益が出て、IB証券では損が出ます。

この場合に必ずSPYロングのほうがSPYオプションの損失を上回っているため、ポートフォリオ全体で損失は出ません。

SPYオプションはアメリカンタイプ

気を付けたいのが、SPYオプションはアメリカンタイプです。

日経225オプションはヨーロピアンタイプなので満期前に権利行使されることはありませんが、アメリカンタイプの場合は権利行使されることがあります。

満期前に権利行使されるとSPYオプション1枚は現物株のSPYショート100株に変わってしまうので、もし権利行使されたら速やかに反対売買をして、ノックアウトオプションも決済するのが良いでしょう。

ノックアウトオプションは満期が約9か月ありますので、ほぼ現物株と同じような感覚で取引できます。

SPYオプションの売る権利行使価格や限月は、練習だと割り切れば1週間先や2週間先でも良いかもしれません。

練習は繰り返し行い感覚をつかむ

何度か繰り返して試していくうちに、カバードコール戦略の利益の出方が分かってきます。

そしてカバードコールに自信が付いたら、IG証券の日本225ノックアウトオプションと日本の証券会社の日経225オプションで、サイズを10倍にしてカバードコールをしていけばよいでしょう。

そのほうが、サイズ感を把握してスムーズに取引できるのではないかと思います。

まとめ

インタラクティブブローカーズ証券などをお持ちの方は、SPYオプションとこの米国500ノックアウトオプションを利用して、カバードコールを小ロットで行う練習を行ってみるのも良いでしょう。

サイズを1/10で取引できますので、練習に最適です。

練習をしてカバードコールのメリットを感じてサイズを増やしても安全性があると思えた段階で、IG証券の日本225ノックアウトオプションと日経225オプションの組み合わせに移行すれば自信をもって取引ができるでしょう。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

※株式取引(米国株式)、オプション取引(米国株オプション取引)においては、株式相場、為替相場の変動等によって損失が生じるおそれがあります。お取引に際しては、あらかじめお取引先の金融商品取引業者等より交付される契約締結前交付書面等を十分にお読みいただき、商品の性質、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分に御理解いただいたうえで、御自身の判断と責任でお取引いただきますようお願い申し上げます。
 

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