カバードコールは権利落ちが考慮されているか確認すること

投稿者名:金森 雅人

「カバードコールをやったらどうなるのか考えていたのですが、以下の点が分からない」という質問をいただきました。

その時の相場状況は、日経平均株価が21,125円、日経225先物mini4月限が20,910円でした。

この時、ATMは21,125なので、最初は21,125でminiを10枚買って、500円上の21,625のコールを売ろうと考えました。

ところが、その時点でのmini価格は20,910で、ATMと200円以上の乖離があり、21,125で買い付ける事が出来ません。

このような場合、どうやってカバードコールを成立させるのでしょうか。

逆指値で21,125に買注文を出しておき、21,625のコールを売っておくのかなと考えたのですが、それだと21,125の買が約定しない場合コール売を裸で持つ事になってしまいます。

証拠金の事もあるので、まずminiの買を先に約定させたいという思いもあります。

このように日経平均と先物に乖離がある状態でカバードコールを成立させる為にはどうすればいいのでしょうか。

日経225オプションは実質日経平均先物を見ている

日経225オプションの原資産は日経平均株価なのですが、実際は日経先物を見ています。

4月SQだと日経225ミニの4月限ですね。

3月末には配当落ちがあるので、日経平均と4月ミニには乖離があります。配当落ち分です。

原資産は日経平均だけど実際は日経先物を見ていることになります。

日経平均と先物に200円以上の乖離がある時、どちらがATMかでデルタの値も変わってきます。

日経平均の21,125がATMだとデルタは0.5ですが、先物の20,910がATMでデルタが0.5とすれば、21,125のデルタ値は0.5ではなくなり、デルタからも225オプションがどの先物を取引しているかわかります。

なので、厳密にはATMは21125ですが、実務的にはATMの算定に用いる原資産価格は20910円に近いもの、となります。

カバードコールを成立させるには、ミニを10枚現値で買ってコールを売るだけなので、ミニを20910円で10枚買ってC21625を売れば、カバードコールが完成します。

もし500円幅でやりたければC21500あたりでしょうか。

これは質問者さんがミニ21125を買い建ててC21625を売るのは500円離したから、500円くらい離すカバードコールをしたかったのかなと推測しただけです。
カバードコールの幅は投資家各人が決めることなので、離しすぎとか近すぎというのはありません。

4月限のオプションは、原資産を4月限ミニとして値付けされています。
だから、20910円がATMです。21125のデルタは予想通り0.5ではありません。

ちなみに、4月限のオプションも配当落ちを見据えています。
なぜなら配当落ちによって必ず日経平均株価が下がることが分かっているからです。

この配当落ちを織り込んでコールとプットの価格が付いているので、通常の原資産21125円の時のC21625よりも、価格が低くなっているはずです。
現在のC21625は、原資産が20910円だということを考慮して取引されています。

全て3月末の配当落ちを指しています。

先物が4月限の価格は3/末配当落ちを考慮して値付けがされていて、オプションも3/末配当落ちを加味されています。

「日経225オプションの原資産は日経平均株価である」これが正しいです。

実務では各限月のオプションは、同限月のミニを原資産【のように】みている、というのが正しい表現でしょうか。

権利落ちがあるので、プットコールパリティは限月を合わせておいた方が良いしょう。

原資産が日経平均でないとすると、それに絡んで他の疑問も出てきます。

SQの精算値は、SQ日の日経平均の寄付値です。しかし原資産が日経平均ではなくminiとするならば、SQ精算はminiの値が対象になるという事でしょうか。

もし昨日の20910をATMと捉え、現値でminiを10枚買ってカバードコールを組成したとします。

コールはC21500を1枚売です。

この価格で各々約定し、時間が経過したとします。

添付資料で確認頂けるように、日経平均は21,503.69で、miniは21,260です。

この場合、C21500を売っているので、日経平均が21,503.69だとC21500はイン・ザ・マネーになってしまいますが、miniはまだ約250円も下の21,600円です。

これではカバードコールになっていませんよね。

日経平均とminiに乖離がある為、C21500に対してヘッジが効いてなく裸売の状態になっています。

このような場合、どうやってC21500のヘッジをするのでしょうか。

本来フルヘッジになってる筈のカバードコールなのに、日経平均とminiに乖離があってはコール売のリスクが高く、安心して実施出来ません。

SQの時までに窓が埋まればいいですが、それは絶対ではないのでやはり安心出来ないですよね。

もし両者に乖離がある場合、カバードコールが成立しないのでやってはいけないのでしょうか。

それとも最初から乖離自体を想定すべき損失と考えて(この場合は21,500-21,260=240が可能性のある損失額)取り組むのでしょうか。

カバードコールはフルヘッジ出来る戦略と思ってたので、このような乖離がある状態に大きな違和感を覚えています。

このような場合、

1) 何がリスクで
2) それに対してどう対処すべきか

を知っておく必要があります。

原資産は日経平均株価です。が、SQ生産は日経平均採用銘柄からSQが算出され、そのSQ値にミニが寄せていくので、SQ値=ミニの決済値です。

北浜投資塾第2回カバードコールの動画やレジュメを見てください。

そのうえでカバードコールの定義と使い方をしっかりと把握すれば、何がリスクかわかりますよ。

「フルヘッジをするのがカバードコールではありません。日経平均とminiに乖離は関係なく先物の上昇益がコール売りのリスクを相殺するのがカバードコールです。」

「先物の上昇益がコール売りのリスクを相殺する」これがカバードコールの骨子です。

 

この記事を読まれた方は、高騰したVI指数が20を割った時に仕掛けやすいカバードコール戦略とはもぜひお読みください。

 

 

 

 

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