あなたはオプション取引の戦略の中で最もレベルが低いのはどの戦略か知っていますか?
それは、現物株を保有してコールを売る、カバードコール戦略です。
一番レベルが低いのは、コール買いでもプット買いでもありません。
カバードコールはコールを売る、つまりは危険に思われがちなオプション売りなので、とてもリスクが高いと感じるかもしれませんが、現物株を保有してコールを売る分には、現物株のリスク以外にリスクは増えません。
この記事ではカバードコールがなぜ危険ではないのか説明します。
【目次】
1.カバードコールがオプション取引でリスクを増やさない理由
2.証券会社も認めているカバードコールのレベルの低さ
3.株と異なる損益グラフの見方
4.カバードコールの難易度は証券会社の難易度でも初心者向けレベル
5.まとめ
1.カバードコールがオプション取引でリスクを増やさない理由
オプション取引を始めようとした場合に、最初にどの戦略を組むのか、どの戦略がリスクが低くてやりやすいかを気にしながらオプション取引を行いますよね。
最初は低リスクの戦略から始めたいけど、どの取引から始めたらいいか分からない方もいると思います。
オプション取引はリスクが高い投資と考えられがちですが、全ての戦略でリスクが高いわけではありません。
戦略ごとにリスクの度合いが異なるので、リスクを取りたくない人用の戦略もあります。
株を保有してキャピタルゲインを狙う投資よりも、使い方次第で低リスクに抑えるためのオプション取引もあります。
それが、現物株を保有して同じ株のコールオプションを売る、「カバードコール」です。
オプション売りが危険なのは現物株を持っていない単体売りのことを指していて、株を保有してコールオプションを売るカバードコール戦略は全くリスクが増えない安全な取引です。
2.証券会社も認めているカバードコールのレベルの低さ
カバードコール戦略は、アメリカの証券会社でも下図のようにLevelが低く格付けされており、まさに初心者がはじめの一歩を踏み出すのに最適な戦略です。
例)Charles Schwab証券会社
例)e-trade証券会社
例)投資情報サイト Investorplace
カバードコールはギリシャ文字を使わないで取引することができ、株式投資の利益を向上させることができます。
日本では「かぶオプ」がスタートしていますが、まだ流動性が低く約定させるのが大変です。
今すでに流動性があるアメリカ市場で行いますので、今回のセミナーに参加すれば、いずれ日本でかぶオプが満足に取引できるようになった際には、周囲の人よりも先に学習することで有利に取引ができるでしょう。
なぜリスクが増えないのかというと、コールを売ると、権利行使されたり満期になった際には現物株のショートポジションに変わります。
この現物株ショートポジションに変わるのが重要です。
個別株を100株持っていて、その個別株のコールオプションを1枚売って権利行使されると、コール売りで-100株が口座に発生します。
-100株、つまり100株ショートしている状態です。
ですがあなたは手元の100株を持っているので、元から持っていた100枚と権利行使されたコールオプションが株に変わった-100株が、相殺されてノーポジションになります。
コールが株に変わってもポジションが無くなるだけ、もしコールがインザマネーにならずに消滅したら受け取りプレミアムは利益です。
この手法のリスクは株式が下落することですが、株式を単体で持つのとカバードコールをすることは同じリスクで株の下落方向のケアです。
ですがカバードコールをしたことで受け取りプレミアムがありますので、株式を単体で保有するよりカバードコールによって損失を軽減できるので投資家にとってリスクは低くなります。
カバードコールをするだけでオプションプレミアムを得られる理由は、上昇サイドの利益を放棄したためです。
リスクは増やさず上昇によるキャピタルゲインを一定額で頭打ちにして、それ以上伸びる可能性を諦める戦略がカバードコールです。
3.株と異なる損益グラフの見方
どの部分の利益を諦めることでリスクが変わらないカバードコールが出来上がるのか、損益図を使って説明します。
実は株のチャートと、縦軸と横軸が異なるため、オプションを勉強し始めたころの方は見方になれないかもしれませんが、オプションでは一般的なグラフです。
下記が通常の(一般的)株価チャートです。
株のチャート
横軸が時間で、縦軸が株価なので、時間が経てば株価を示しているローソクの形も変わってきます。
時間は一方通行なので、必ずローソク足はチャートの右側から登場してきます。
オプションの損益グラフに当てはめると右肩上がりの直線
一方でオプション取引で利用するグラフは、同じグラフは使わず、横軸は株価で、縦軸は損益の表を使います。
先物1枚ロングするとこのような損益グラフです。
現物株を保有したときも同じ損益グラフです。
株価が上がれば、損益も増える。
同じ個別株のチャートであっても、前者はローソク足で時間推移を示しているのに対し、後者のオプションの損益グラフは横軸が株価を示し、縦軸は損益を表しています。
オプションの損益グラフでは株式チャートのように時間軸は縦軸にも横軸にもありません。
なので現物株のようにチャートが作られているわけではありません。
オプション取引を視覚化するうえでは、後者の損益グラフを重視しますので、是非とも覚えてください。
コール売りの損益グラフ
次はコール売りの損益グラフを掲載します。
オプションの値動きが先物とは異なるのが上記の図で分かります。
横軸が株価で縦軸が損益。
この損益グラフは、コールを1枚売った時のグラフです。
先物と決定的に異なるのは、株価が22,125円以下になると約21万円の利益、株価が22,125円を超えると超えた分だけ損失が発生します。
オプションの売りが怖いというのは、この22,125円を超えてしまうと全くヘッジが効かない先物ショートポジションのように変化するからです。
カバードコールの損益グラフ
ここで上記の銘柄を組み合わせた、カバードコールの損益グラフを紹介します。
先物1枚ロングとコール22,125円を120円(=21万円)ショートしたポジションです。
薄い青線が上記の先物買いとコール売り、太い青線が合成されたカバーコールの損益を示しています。
リスクは増えてはいません。得らえる無限の利益を放棄して、約121万を最大利益にして利確したい場合に、カバードコールは使えます。
なお、株が持っている下落リスクは防げていませんので、カバードコールにしたから損失限定というわけではなく、損失リスクは抱えながらも上昇リスクを諦めたポジションです。
このコールを売ってカバードコールにする意図は、このカバードコールを行なわなかった場合には得られたかもしれない利益を放棄するために、コールを売ってプレミアムを回収することです。
もしご自身の相場観で上昇しても22,000円程度だろうと考えていたら、コールを売ってプレミアムを取得したほうが得策と言えるかもしれません。
このように無限の利益を放棄するコールを売っているのでコールを売った際にプレミアムを得ることが出来ます。
例えばコールを21万円で売った場合は次のグラフのようになります。
図から見て分かるように、先物1枚のリスク(下落したら無限に損失が出る)は全く変わっていないのに、コールを売った分のプレミアム21円が追加されていることが分かります。
リスクが変わらないのにリターンが増えました。
4.カバードコールの難易度は証券会社の難易度でも初心者向けレベル
カバードコールはオプション取引の戦略の1つで、現物株を保有して、同じ枚数分のコールを売ることを指します。
今後日本でも広まるであろう「かぶオプ」に該当するのが現物株を保有してコールを売るのがカバードコールです。
現在日本のかぶオプを扱っているIB証券と光世証券なので、まだ取引ボリュームが少ないです。
よって説明することを実現できるのはアメリカに上場されている個別企業のオプションが該当します。
個別株オプションは、株取引の一部として活用されています。
実際に、アメリカでは株を買ったら「コール売りしますか?」とセットで証券会社が提示してくると言われています。
また、取引レベルに応じて実践可能なストラテジー戦略を組んで良いか、敷居があります。
この敷居の内容を詳しく知りたい場合は「かぶオプ」は初心者向けのオプション戦略と言える理由にて解説しました。
このページでお伝えしたように、カバードコールは常に難易度が易しいレベルに配置されています。
レベル0、つまり最も初心者向けにカバードコール戦略を配置していることが分かります。
コール買いとプット買いは、レベル1なので、それより易しいと判断されています。
アメリカ株のカバードコールができる証券会社は2社
2020年4月まではIB証券のみでしたが、現在はサクソバンク証券でも取り扱いを始めました。
米国株オプション、サクソバンク証券とIB証券の違いとはを参考にしてください。
日経225オプションでもできないことはありませんが、1ロットのサイズが非常に大きくなります。
日経225オプションで例えると、先物ラージ1枚は23,000円×1000倍=23,000,000円のサイズである一方、例えばコカ・コーラの場合は48ドル×100倍×為替110=528,000円から始められます。
このように、最初に始められる金額を出来るだけ抑えて、オプションのレベルが最も低いカバードコールを体験してみれば仕組みも理解しやすいでしょう。
5.まとめ
リスクを最も抑えたオプション戦略はカバードコール。
アメリカの証券会社にとっては、理由は現物株を持ったまま何もしないより、現物株をもってカバードコールをしたほうが低リスクだと考えられているからです。
アメリカ株オプションについては、アメリカ株オプションがカバードコールを実践するのに向いている理由とはも併せてお読みください。
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