オプション取引の中で日本の個人投資家が取引できるのは、日経225オプションと「かぶオプ」こと個別株オプションです。
2つ並べるとリスクや使い方は大して変わらないように思えますが、使い方が全く異なるのできちんと棲み分けができます。
許容リスクが少ないのに日経225オプションをやるのはリスクが高いし、かといって「かぶオプ」で少ない資金を2倍に増やそうとしても無理があります。
使い方がどう異なるのか。日本ではまだ流動性が無い「かぶオプ」の代わりに、サイズ感が同じ米国株オプションを比較に上げました。
この記事では日経225オプションと米国株オプションの違いについて触れていきます。
【目次】
1.225オプションと米株個別オプションではサイズ感が10倍違う
2.銘柄豊富な米国市場
3.取引時間が夜中なのでオーバーナイトするポジションが原則
4.まとめ
1.225オプションと米株個別オプションではサイズ感が10倍違う
日経225オプションは、表示価格の1,000倍でやり取りします。
日経平均株価が23,000円の場合は、日経平均先物ラージの23,000円×1,000倍=2,300万円の取引をするのと等価です。
参加者全員が2,300万円の原資産を使ってオプション取引をしていると思いますか?
ほとんどの方はそれほどの自己資金を用意せずに取り組んでいるでしょう。
自己資金に対してレバレッジを掛けられる証拠金として使えば自己資金以上の取引ができますので、100万円からスタートすることが出来ます。
例えばこの2,300万円の先物に対して、コールオプションが400円で値付けされていたら、400×1,000=40万円です。
一方の米国株オプションは、通常100倍です。
NYダウが25,000ドルだとした場合にNYダウに連動する株を買おうとすると25,000ドル×100倍=250万ドル必要です。
日本円に換算するため分かりやすく1ドル100円で計算すると、約2億5000万円の商品を扱っていることになります。
この数字だけ見るとアメリカのほうが総額が高いのですが、アメリカ株はETFや個別銘柄のオプションが充実しており、NYダウと同じような高額な値が付く株はほとんどありません。
例えばS&P500に連動するETFのSPYは、300ドル程度の株価だから、オプションとサイズを合わせると300ドル×100枚=30,000ドル(=300万円)のサイズです。
もしコールオプションが2ドルで取引できる場合は、2ドル×100倍=200ドル、日本円に直すと2万円程度です。
つまり、NYダウ自体は日経平均株価と単位が1つ違うほどサイズに開きがあっても、個別株を見れば100ドル満たない株がとても多くロットが小さくて取引しやすいのが米国市場です。
日本で2,300万円分の取引を証拠金使ってレバレッジを掛けて取引するのと、アメリカで300万円の自己資金を用意して満額失っても自己資金の範囲内というのでは、安全なのは米国株の方ですよね。
アメリカはレバレッジを掛けずに取引できる
日本の場合は先物1枚取引するのに2,300万円の資金を全額用意できる人はなかなかいませんので、カバードコールをする際にもリスク管理が重要になってきて相場観も必要です。
一方米国個別株の場合は、レバレッジを掛けないで取引できる銘柄があります。
アメリカのオプションは日本と異なり100株単位です。
例えば50ドルの株がっあってオプション1枚取引しようとすれば50ドル×100株=5,000ドル必要です。
日本円で換算すると、為替を約100円と考えて5,000ドル×100円=50万円が株オプションで取り組める最低価格です。
アメリカ株でもレバレッジは掛けられますので、やりたい方はレバレッジを掛けて取引しているかもしれませんが、だいたい50ドルの株を50万円保有して運用するには、丸ごとフルキャッシュ用意しているので、もし万が一企業が潰れて株価が暴落しない限り、0になることは考えにくいですよね。
つまり50万円の自己資金を用意して50万円の株を買えば、万が一の暴落があっても自己資金の範囲内で損失することだけなので、安全性が高いのです。
ここでいう安全性とは、株価が下がるとか発注が難しいというわけではなく、日経225オプションのように証拠金が少なくて追証を受けたりレバレッジを掛けているがゆえに損失が自己資金を大幅に上回って証券投資から退場してしまうことを指します。
リスクにさらす量が少なければリスクは低い
その視点でアメリカの株価を見ると、おおよそ100ドル程度の銘柄が良く見つかります。
従って、自己資金が100万円ほどであれば、米国株オプション取引を実際に売買することが出来ます。
日本は原資産が日経平均株価しかないので、オプションの1枚の単位に合わせると1000倍、つまり本体が2,300万円の商品をレバレッジ掛けて取り組んでいることになります。
オプション価格は400円=40万円のオプションもあり、多額の資金が必要。
一歩いうアメリカ個別株の方は100ドル(=1万円)程度の株価銘柄が多く、カバードコールするためにオプション1枚取引するのに必要な資金は100ドル×100倍=1万ドル=100万円なので、自己資金の範囲内で抑えることができて、大損してもマイナスが膨らんで相場から退場するリスクが非常に小さい特徴があります。
米国は株価100ドル以下のものが多く、オプション1枚当たり100株なので、練習に最適。銘柄も3000社以上あるので選びたい放題。
日本の場合は日経225オプションしか取引できる銘柄が無く、オプションは1枚当たり1000株なので、日経平均株価が2,300円だとすると2,300,000円の自己資金が必要だが、証拠金取引でレバレッジを掛けられるので実質100万円や300万円程度から取引ができる。
このような違いがあります。
カバーするための原資産が小さいので米国オプションも少額から可能
例えば日経平均先物ラージを1枚持って、コールオプションが400円だったとします。
あなたは2,300万円用意して、40万円のコールオプションを1枚売ることでカバードコールが完成します。
実際は証拠金取引でそれほど用意しなくても取引はできますが、2,300万円の取引をしていると考えてください。
この場合は最大損失は株価がゼロになるとき、つまり2,300万円-コールの受け取り40万円=2,260万円の最大損失の可能性があります。
証拠金取引するのでこれほどの自己資金は不要ですが、損失可能性としては2,260万円です。
一方、アメリカの個別株で300ドルのSPYでコールオプションが2ドルだった場合、あなたは300ドル×100株=3万ドルが最大損失で、コールを売った200ドルは受け取れるので正確には29,800ドルの損失です。日本円に直すと約300万円の損失の可能性があります。
日本は日経225オプションしかありませんので、SPYを単純比較してよいのかどうかはありますが、自己資金が日本の1/10程度のサイズで扱えるのが米国株オプションのメリットです。
つまりオプション1枚扱うために株価の安い銘柄を選べば、自己資金んが潤沢になくても始めることが出来ます。
アメリカ株でもアルファベット社などは1000ドルを超えていますが、100ドル以下で推移している企業もたくさんあり、日本のように日経2225オプション一択ではないので、選べる自由さがあります。
銘柄がたくさんあればボラティリティが大きい銘柄、ボラティリティが小さい銘柄というような、知ってる企業を探さなくても変動が大きそうな銘柄をピックアップして、目星をつけてから投資判断をしても良いでしょう。
このような環境で取引できるので、米国株のほうが万が一が起きた時のリスクが小さいことが分かります。
2.銘柄豊富な米国市場
日本の日経平均株価と相対するのはアメリカでは、S&P500の数値といえるかもしれません。
S&P500の価格は3,000ドル程度でした。
レバレッジが低いと言っても結構資金量を積まないといけません。
そのような時にS&Pに連動するETFを探します。有名な銘柄としてSPYがあります。
S&P500の1/10の株価です。
S&Pに連動するSPY株は300ドル×100枚=300万円で取引することが出来ます。
このようにアメリカ株はETFや個別銘柄のオプションが充実しており、S&P500を直接取引するのではなくETF化した商品で値ごろな株もたくさんあります。
その株ごとにオプションが取引されています。
例えばS&P500に連動するETFのSPYは、300ドル程度の株価だから、オプションとサイズを合わせると300ドル×100枚=30,000ドル(=300万円)のサイズです。
もしコールオプションが2ドルで取引できる場合は、2ドル×100倍=200ドル、日本円に直すと2万円程度です。
つまり、NYダウ自体は日経平均株価と単位が1つ違うほどサイズに開きがあっても、個別株を見れば100ドル満たない株がとても多くロットが小さくて取引しやすいのが米国市場です。
日本で2,300万円分の取引を証拠金使ってレバレッジを掛けて取引するのと、アメリカで300万円の自己資金を用意して満額失っても自己資金の範囲内というのでは、安全なのは米国株の方ですよね。
現物もカバーするコールも米国は日本に対してサイズが1/10
例えば日経平均先物ラージを1枚持って、コールオプションが400円だったとします。
あなたは2,300万円用意して、40万円のコールオプションを1枚売ることでカバードコールが完成します。
実際は証拠金取引でそれほど用意しなくても取引はできますが、2,300万円の取引をしていると考えてください。
この場合は最大損失は株価がゼロになるとき、つまり2,300万円-コールの受け取り40万円=2,260万円の最大損失の可能性があります。
証拠金取引するのでこれほどの自己資金は不要ですが、損失可能性としては2,260万円です。
一方、アメリカの個別株で300ドルのSPYでコールオプションが2ドルだった場合、あなたは300ドル×100株=3万ドルが最大損失で、コールを売った200ドルは受け取れるので正確には29,800ドルの損失です。日本円に直すと約300万円の損失の可能性があります。
日本は日経225オプションしかありませんので、SPYを単純比較してよいのかどうかはありますが、自己資金が日本の1/10程度のサイズで扱えるのが米国株オプションのメリットです。
つまりオプション1枚扱うために株価の安い銘柄を選べば、自己資金んが潤沢になくても始めることが出来ます。
アメリカ株でもアルファベット社などは1000ドルを超えていますが、100ドル以下で推移している企業もたくさんあり、日本のように日経2225オプション一択ではないので、選べる自由さがあります。
銘柄がたくさんあればボラティリティが大きい銘柄、ボラティリティが小さい銘柄というような、知ってる企業を探さなくても変動が大きそうな銘柄をピックアップして、目星をつけてから投資判断をしても良いでしょう。
このような環境で取引できるので、米国株のほうが万が一が起きた時のリスクが小さいことが分かります。
3.取引時間が夜中なのでオーバーナイトするポジションが原則
よく聞かれるのが、アメリカの市場は日本人の夜中に当たるので、寝ないでトレードするのかという質問をいただきます。
アメリカの取引時間は22:30から朝5時までは、日本人にとっては睡眠の時間です。
よって思わぬ事態が起きたら対処できないポジションは持たずに、ポジションは無理のないサイズで収めておいたほうが良いでしょう。
そうすると、建てられる戦略も決まってきます。
デイトレは完全に無理だし、ザラ場を見ながらトレーディングするスタイルは米国株オプションには向いていません。
日経225オプションなら何とか対処するためにリスクパラメータで動きを管理できるからトレーディングができたとしても、アメリカ時間で何か起きたら対応できないので、そもそもリスクパラメータの管理が不要な戦略を採用すべきですね。
逆に、オーバーナイトで長い時間持つ戦略は日経225オプションでは取りにくいものが多かったのですが、アメリカの市場にあった戦略も使えるようになります。
自己資金の範囲内でリスクが小さい戦略を長期保有する。
このような戦い方もできるのがアメリカ市場です。
4.まとめ
活動時間帯に出来る日経225オプションと、オーバーナイトすることが前提でレバレッジを掛けずに運用できる米国株オプションの棲み分けができます。
必ずどちらかに絞る必要はありません。
片方をやり始めたらもう片方は休まなければいけないわけではありません。
やりやすいほう、慣れているほうを選んで投資すれば良いでしょう。
米国株オプションは日本で始まった「かぶオプ」です。
かぶオプが盛り上がる前に、練習として米国株オプションにトライしてみてはいかがでしょうか。
その場合は米国株オプションスクールがお勧めです。