標準偏差を制する者が長期運用で安定的にリターンを残せる

投稿者名:金森 雅人

あなたは「標準偏差」という言葉をご存知ですか?

よく言われる「偏差値」に近い、バラつきを表すときの考え方ですね。

今は詳しく知らなくても「偏差値60」だとまあまあ成績がいいかな、「偏差値38」だとビリギャルの水準!?

偏差値に例えると、イメージつきやすいですよね。

偏差値75はトップクラス、偏差値40以下はかなり成績が悪いほう、という感じで捉えられるのではないでしょうか。

偏差値は、成績を平均値が50点、標準偏差10点で表したものです。

なので、偏差値60以上は結構優秀、偏差値40以下はもっと頑張りましょう、という水準です。

という感じで、偏差値ならイメージが湧くのではないでしょうか。

ブレ=標準偏差

のことです。

リスク=標準偏差

とも表されます。

この指標を、ご自身の投資スタイルの中で役立ててますか?

短期トレードの世界ではあまり出てきませんが、長期の資産運用をする際には、必ず登場する用語です。

英語でstandard deviaton、 なのでstdevと略されたりします。

もし活用されている方なら、だいぶ長期投資の考え方が身に付いている方でしょう。

これがどう重要なのか?解説します。

利回り50%の投資案件の標準偏差が100%だった場合

利回り50%のトレード手法があったとします。

利回り50%!凄い!!

ということは、
100万円投下したら

1年後に150万円、

2年後に225万円、

3年後に337.5万円

4年後には506万円

5年後には759万円・・・・・

という感じで、複利運用すれば、わずか2年で倍になり、4年後にはあっという間に5倍!!

というとんでもない投資になります。

でも、普通はこんなうまくいかないって、思いますよね。

 

実は、【標準偏差】の考えが抜けているからです。

利回り50%を常に一定に出せれば、上記の試算も実現しますが、こんな高利回りを常に一定に出せるような運用は、なかなか存在しないものです。

もし、この利回り50%の投資が、「標準偏差100%」だったら、どうでしょうか?

標準偏差100%というのは、ざっくりいえば、

  • 勝つ時投下資金の2倍
  • 負ける時全額失う

というようなイメージです。

+100%から-100%までのブレがある、ということを標準偏差で表現します。

平均50%の利回りが出る投資の標準偏差が100%のとき、資産はどのように推移するでしょうか?

ここでは計算式を省きますが、この投資を5年続けると、もっとも起こり得そうな結果は100万円が48.2万円まで減ります(泣)

しかも、元本割れ(資金を全額失う)確率が、なんと20%もあります。

実質の利回りはなんと-13.6%です・・・こんな投資は、続けられないですよね?

日経225オプションは、そもそも短期トレードなのであまり標準偏差という考え方をしません。

月末月初のプット買いであったり、日経平均VI先物取引も、利益になりそうなタイミングに絞って取引したほうが、損失を最小限に食い止められるからです。

でも、長期で資産運用する場合には、短期トレードのようにタイミングよく取引をしたりしなかったりと細かい調整をするものではありません。

大きなお金を、ファンドマネージャーのようにゆったりと運用方針を決めて、あとは資産が増えていくのを待つようなスタンスが、長期運用の理想のスタイルですよね?

そのためには、「標準偏差」が出来るだけ低いもの、あるいは利回りが大きくてブレがあってもカバーできるものを運用スタイルに取り入れる必要があります。

これが長期資産運用の大切な考え方です。

標準偏差と言えば、少し勉強された方なら「シャープレシオ」という指標で馴染みがあるかもしれません。

端的に言えば、

シャープレシオとは (期待リターン - 無リスク金利 )÷ リスク

です。

このリスクが標準偏差で表されます。

この数値を1以上にすると、良い投資と言われます。

前述の利回り50%で標準偏差100%の投資は、シャープレシオ0.5なので、それほど良い投資とは言えません!

このように、標準偏差の概念を知っておくと、どの投資が良いのか、リターンが増える可能性が高いのかが分かります。

ただし、短期投資やタイミングを計るトレードではあまり使いません。

FXなどの短期売買で取引タイミングを教えるツールなどは、そのタイミングが標準偏差が悪いのを回避するコツなのでしょう。

つまり長期でゆったりと資産運用するタイプのものではないのです。

この事例で分かるように、長期で資産運用するにはシャープレシオの考え方、もっと言うと ブレ=標準偏差 の考え方が大切です。

タイミングを計ってトレーディングをしないのなら。

アメリカ市場のETFのポートフォリオの成績を測るときには、たいていこの標準偏差、stdevが登場しますね。

ETFは基本的には持ちっぱなしで、数か月や1年に1回ポートフォリオバランスを見直す程度でしょう。

だから、シャープレシオが高いものを選んで、それに投資をして資産が増えるのを待つ。

そのために重要視されている指標です。

利回り50%、標準偏差100%の投資は、日経225オプションを常に投資することに近い!?

実は、日経225オプションの月末月初のプット買いを、ルールをまったく無視して淡々と毎月やると、このような結果に近いかもしれません。

ルールを設けたことで2018年は6回の施行回数に減らしました。

6回施行して、3勝です。

それを、ルールを無視して毎月やったら、12回施行して3勝しかできないことになります。

でも、一回の勝ちの金額が大きいので、年間の利回りは50%近くなっているかもしれません。

 

だけど、一回で失うのは投下資金全部。

株式投資は投下資金に対して10%や20%ドローダウンの可能性はありますが、オプションの場合は全額損失になる可能性があります。

もっとも、利益が上振れすることも加味すると、標準偏差はもっと大きいかもしれません。

それを毎月いつでも必ずやるのではなく、条件に合うときだけやれば、毎回は勝てなくても可撤確率が上がるというのが、youtubeで解説している月末月初のプット買いでしたね。

このように

・やるとき

・やめる時

を自分の裁量や相場の状況によって判断する場合には、あまり標準偏差という考えは使いません。

なぜなら、標準偏差を出しても、自分の相場観を入れるため値がずれるから(笑)

なので、前回もお伝えしたように、相場観を入れないで常に投資を続ける場合にだけ、この標準偏差の考えが出てきます。

長期運用で安定的な成績を残したいならリターンが高く、標準偏差が低い投資を

そこで、もしあなたが、短期トレーディングで成績を上げ続けるほかに、長期の資産運用でも安定的な運用をしたいと思ったら、どうしたらよいと思いますか?

応えは単純明快、

「リターンが高く、標準偏差が低い投資を採用する!」

事ですよね。

長期運用の場合は、短期トレーディングと違って相場の動きで慌てないように、あらかじめ 標準偏差が低い=ブレが少ない 運用を心がけたいですよね。

そうすれば、もし相場を見ていないときに相場が急変しても、想定の範囲内でドローダウンが収まるし、標準偏差が低ければ急変はすぐに収まってまた回復するのも早いでしょう。

このような投資スタイルで、長期運用を心がけるのがポイントです。

じゃあ、どうやってリターンが高く、標準偏差が低い運用をするのか。

これさえ実現できれば、枕を高くして眠ることができます^^

と言っても、アメリカ株ETFを使ったポートフォリオ運用でも、せいぜい年利8%、標準偏差8%くらいが上限のようです。

実質最も起こり得そうな期待リターンは7%くらいですかね。

これが裁量を一切入れずに、ポートフォリオを保有してずっと持ちっぱなしにした時の、リターンの限界値という感じです。

なのでこれで足りないと思えば、相場観を入れたりタイミングを見計らって、リターンを最大限に高めようとするわけです。

もし標準偏差を自分で下げることができるなら?

もし、この標準偏差を、自分の力で下げることができたら、どんなことが起きると思いますか?

標準偏差を下げることができれば、期待リターンが上振れして10%の利回りも実現できる可能性があります。

長期投資で基本は動かさなくても良い投資スタイルながら、標準偏差を下げることをするだけで、年間10%を超えるリターンを見込めます。

しかも、標準偏差が低いということは、最大のドローダウンも低くなります。

だから資金の一時的な目減りの量も少ないので安心感がありますよね!

そんな投資スタイルを採用できれば、あなたの投資スタイルはどのように変わると思いますか?

 

もし今は日経平均の値動きに合わせて、上昇したらこの戦略、下落したらその戦略と短期的にトレーディングをして、毎月の収益が安定しないかもしれませんが、年間ベースで収益を考えられるようになれば、もっと長期的な目線で運用をどっしりを構えることができます。

例えば今の資金が300万円以上あれば、まず300万円程度を長期投資に練習として振り分けて、残った資金で短期トレーディングで利益を上げるというやり方もアリですよね。

必ずしも全資金を長期投資に回す必要は無くて、短期で稼げる人は自身の相場観で戦ったほうが効率が良いですものね。

だから、母艦になるような大きな資金を標準偏差が低い長期運用で回して、短期トレーディングは余剰資金で標準偏差が高いけど裁量で勝つ!

というように資金を分散させれば、片方がダメでももう片方が補ってくれるし、トータルでバランスの良い資産運用ができるかもしれませんよね。

このように、標準偏差を下げる方法を身に付ければ、これからの資産運用がずっと楽に運用できるのではないでしょうか。

じゃあ、どうやったら肝心の標準偏差を下げられると思いますか?

それがLEAPS戦略です。

LEAPS戦略を使うと標準偏差を下げた投資スタイルが身に付きます。

詳細はLEAPS取引で7ヶ月利回り31.7%を得た具体的手順をご覧ください。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

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