あなたは現時点でインザマネーとなって流動性が低くなっているプットやコールの価格を、同じ権利行使価格のプットやコールで算出する方法をご存じでしょうか。
オプション取引ではプットコールパリティと呼ばれています。
オプションがインザマネーになって流動性が低くなった場合に、オプションの妥当な価格を計算する方法です。
- コール買い+プット売り=先物1枚買い
- コール買い=先物1枚買い+プット買い
- プット売り=先物1枚買い+コール売り
このような等式がオプションには存在します。
オプションの価格は、本質的価値+時間的価値を示していて、この時間的価値がIVを算出するために必要なパラメーターです。
IVを算出するには5つのパラメータが必要
IVを算出するには
1.原資産価格
2.権利行使価格
3.金利
4.現在価値
5.満期までの時間
が必要です。
例えば原資産は14500円として、P15000はディープインザマネーのため直近で約定されておらず、価格が不明だとします。
この時にC15000のプレミアムは150円とすると、原資産価格と権利行使価格の差(本質的価値)500円とC15000の150円(時間価値)を足した650円、が本来想定されるP15000のプレミアムです。
P15000とC15000のオプション価値の比較
具体的にオプション銘柄で考えてみましょう。
日経平均株価が14500円とした場合のP15000とC15000でIVの計算結果に影響が出るか比較します。
1.原資産価格は両者とも145000で同じ
2.権利行使価格までの距離の絶対値はともに500円で同一
3.金利はほぼ付かないので無視
4.現在価値はプットが650円、コールが150円
5.満期までの時間は同限月なら一緒
権利行使価格から原資産価格までの距離を絶対値で示せば、違いは「現在価値」だけが両者を分けるポイントです。
ここで、権利行使価格と原資産価格との比較で距離の絶対値は両者とも500円なので、P15000は本質的価値が500円だと分かります。
P15000のオプション価格は650円、本質的価値は(原資産価格―権利行使価格)なので、時間的価値は650ー500の150が時間的価値となります。
この時間的価値150円はコールの価格とイコールになります。
このように、同じ原資産で原資産から権利行使価格までの距離の絶対値が一緒、金利は無視、満期までの時間は同一であれば、あとは現在価値が分かればIVを算出できます。
実はIVを算出するパラメータの中には、コールやプットの銘柄の違いには触れていないのでどちらでも通用します。
5つの要素だけでIVを算出できる
IVを算出するにはプットかコールかは示さず算出ができる理由は、原資産価格と権利行使価格までの距離の絶対値を差し引いて「幅」を算出しているからです。
絶対値を用いてオプション料を算出することで、今の原資産価格と権利行使価格の差が出ます。
インザマネーで本質的価値を持つオプションは、その価格に含まれている本質的価値を差し引けば、現時点でのIVを算出ることができます。
IVを算出すること=現在値を計算することにほかなりませんので、そのIVを使ってコールならプット、プットならコールの価格を割り出すことができます。
これがプットコールパリティを用いた現在値の算出法です。
まとめ
IVを算出するには5つの要素が必要です。
1.原資産価格
2.権利行使価格
3.金利
4.現在価値
5.満期までの時間
このパラメータの中にプットやコールといった銘柄の違いは出てきません。
そしてIVを比較する際には現在価値のみが結果に影響しますのでIV=現在価値の違いです。
プットで算出してもコールで算出してもIVは同一なので、冒頭に述べたようにプットコールパリティが成立します。
オプション取引で心の隙を「ドーーン」と突く手口の暴露で紹介した妥当価格は、この方法により算出しています。