ソニー株が2018年2月から6月末まで、400円ほど上昇しました。
この場合、通常の株式投資では売買益を400円受け取れます。
この期間に、ソニー株保有のリスクを増やさずに株価の上昇以外の収益源から421円の利益を出せる方法をご存知ですか?
- 売買益400円+配当15円+さらに421円の利益
投下資金に対して期間収益率を16.4%に出来る取引。
それが「かぶオプ」です。
かぶオプなら、自己資金の範囲内で、レバレッジを掛けずに安全に株を運用するなら、リスクのないオプション取引をできます。
かぶオプを使えば、株式投資の指値の代わりにコールオプションを売るので、リスクは株式投資以上に増えることがなく、無用なレバレッジもかからないので、株式投資で投下したリスクの範囲内で収まります。
この記事では、なぜかぶオプが安全な取引を実現できるのか解説しますので、株式投資の新しい収益チャンスとしてオプション取引を使ったかぶオプに取り組んでみたくなりますよ。
日経225オプションを安全に取引するなら、キャッシュで2000万円必要
日本で一番取引量が多いオプションは、日経225オプションです。
もし日経225オプションでローリスクで取引をしようとした場合に、最も安全性を高めてレバレッジを掛けずに取引するには自己資金が2000万円以上必要です。
理由は、日経平均株価が2万円を超えている現在、日経225オプション取引は1枚当たり1000倍の値段で取引されているからです。
日経225オプションを1枚売るのに、日経平均株価が2万円なら、その1000倍の2000万円分の取引をしていることになります。
2000万円をもって日経225オプションのプットを1枚売っても、リスクは万が一日経平均株価が0円になった場合の2000万円に限定されているので、損失限定です。
最大損失額をあらかじめ保有してプット売りを行えば、自己資金を超えて損失が増えることがないので安全です。
日経225オプションはレバレッジが掛かっている
たいていのオプショントレーダーは、自己資金を2000万円以上持ちながらオプション1枚だけ売ることはしないのがほとんどです。
もっと少ない自己資金で日経225オプションを取引します。
そうすると投資家が気づかないところでレバレッジを掛けていることになります。
レバレッジを掛けて日経225オプションを取引すれば、月利10%も狙えるようなハイリスクハイリターンな商品が日経225オプションです。
だから、もっと保守的に年利10%程度、つまり月利1%を確保できれば満足だと思ったとしても、月利10%を狙える商品を扱う以上はレバレッジが掛かった取引となり、リスクも負わなければいけません。
この日経225オプションは、初心者だからと言ってリスクを取りたくない人にとっても、オーバースペックの商品と言えるかもしれません。
原資産の日経平均株価が2万円を超していて、さらにオプションの倍率が1000倍と決まっているので、この数字を変えることはできません。
だから、リスクを抑えようとすれば自己資金を増やすことでしかリスクコントロールができません。
そこでオプションを学び始めて取引する初心者の方が取る方法が、出来るだけ小さく始めたいと思って日経225オプションの中でもオプション料が安い、アウトオブザマネーの銘柄を取引します。
でも、レバレッジが効いているので、利益が大きく出る一方で損失になる確率は常に多いです。
それが分かると、今度は薄利多売で売りたくなります。
そんな銘柄を売った場合には、万が一の損失で退場する可能性もあるレバレッジのかかった取引ですが、勝率が高くコツコツ利益が積みあがるために毎月のように売りポジションを建ててしまうことが多くなります。
この状態で相場の変動が起きると、一発退場の危険性があります。
もしフルキャッシュをもってオプションを1枚売れば安全だけど、自己資金が少ない状態でオプションを売るには、リスクコントロールしないと危険です。
だからリスクコントロールのためにギリシャ文字のパラメータを使って管理します。
でも、ギリシャ文字不要でオプションの基本的なルールを学べて、もし万が一間違って大損しても自己資金の範囲内で収まる取引があればいいと思いませんか?
それがかぶオプです。
かぶオプはあります!取引できます!
そんなにリスクは取れないけど、月利10%も狙う商品じゃなく、そこそこの利益で練習できるオプションは無いのか?
ということで注目を浴びているのが、かぶオプです。
かぶオプとは有価証券オプションのことで、ソニーやトヨタなど個別株のオプションです。
このオプションは、日経225オプションのような値上がりや値下がりを狙ったキャピタルゲイン狙いの商品ではなく、コツコツとインカムゲインを狙うような資産運用・資産形成に使える商品です。
かぶオプは「終わった商品」ではありません!
かぶオプは終わったと思われていますが、生きています。今でも取引出ます。
実は2011年ころにかぶオプが始まっていて、登場したときにはオプショントレーダーの中では「ついに市場が広がる!選択肢が広がる!」と大いに期待したのですが、盛り上がらず、大手オンライン証券会社でも取り扱いをやめてしまいました。
昔を知っている投資家は、この印象が強く、そのまま衰退したと思っている方も多いです。
ですが、現在でもかぶオプは一部の証券会社で取引することが可能です。
かぶオプを使っても株式投資以上のリスクは増えない
かぶオプは権利行使すると現物株に変わるので、戦略を間違えなければ基本的には株式保有のリスクと一緒です。
現物株を保有するためにオプションを活用すれば、ほとんど指値の代わりとして使うだけです。
オプションだからリスクが増えるわけではありません。
株を売ったり買ったりする売買注文の一部として使えば、オプションの細かいルールやリスクコントロールを知らなくても問題ありません。
しかもリスクが株式の保有と同じであれば、当然最大損失は株価が0円になることなので、オプションを使ってもレバレッジを掛けた取引にはなりません。
かなり安全です。
アメリカではすでに株式オプションはメジャー商品であり、ほとんど指値と同じ感覚で発注できてしまいます。
2つのメジャーな戦略があります。
ターゲットバイイング
株を買う前にプットを売ることです。
権利行使されたら現物株に変わるので株を保有します。
売ったプットのプレミアムは受け取りです。
これは、「安くなったこの価格で買う」指値を、今すぐ約定するのではなく未来のあるタイミングに指値予約するようなものです。
指値予約をすると、将来の予約でどうなるかわからないリスクを引き受けることになるので、プレミアムを受け取れます。
カバードコール
株を持ったらコールを売って、カバードコールにします。
カバードコールは利食いの指値と同じです。
違うのは、未来のあるタイミングに指値予約をするので、もし株価が上昇すると値上がり益をもらい損ねてしまいます。
でも、株価が下落してもコールを売ったプレミアムは受け取れるので、コツコツインカムゲインのような利益を確保できます。
カバードコールなので、コールを売ったことによる追加リスクはありません。
売ったコールが損失となっても、現物株で完全にカバーできるからです。
この2つがメジャー戦略であり、両者は現物株に対して追加リスクなしで取引できる安全性の高い取引です。
レバレッジを掛けなければ安全
この2つの戦略は、レバレッジを掛けた取引ではありません。
単純に指値の代わりに発注されるだけなので、原則は株式投資を上手にやるための発注手段のような位置づけです。
だから、現物株を買おうと思っている人、あるいはすでに現物株を保有している人にとっては、全く危険性が高まらない投資スタイルです。
アメリカでは発注アドバイスとして提示される
アメリカの証券会社では、投資家が株を買うと、「カバードコールしませんか?」と提案してくる証券会社もあります。
レバレッジが掛かっていなくてただの指値のバリエーションであり投資家にとって追加のリスクが無い提案なので、「やってみようかな」と現物株保有者にアプローチできるし投資家も有益な情報を提案してくれるので喜びますよね。
だから日本でも将来的には「本当に現物株を指値注文していいのですか?オプションを使ってターゲットバイイングでプレミアムを受け取れる指値をしてみませんか?」とか、とアドバイスされたら面白いですよね。
さらにオプション本来の使い方として、現株を買った人に対して「かぶの保険を掛けませんか?今ならたった〇円で完璧な保険が手に入ります!」というオファーがあっても面白いなと思っています。
魅力的なオファーだったら使ってみようかと思いたくなりますよね?
こういったことも証券会社には期待したいですね。
かぶオプを使ってソニー株で利益を出した具体事例
このかぶオプを使えば、ソニー株を保有したときの値上がり益が400円なのに対して、オプションのプレミアムで421円の受け取りを実現できます。
値上がり益以上にオプション料から利益を出すには、2つのメジャー戦略の中の「カバードコール」を使います。
ソニー株を保有していて、値上がり益のほかに期待できるのは通常は配当のみです。
ですが、かぶオプを使うことでコールを売ったプレミアムを利益にすることができます。
期間中に配当が1回出たので15円、カバードコールから421円を受け取っています。
かぶオプの流動性について情報開示されています
いざかぶオプを取引しようとしても、流動性が気になることでしょう。
約定履歴について、ほぼリアルタイムでJPXが開示をしています。
まずはJPXのサイトへ移動する。
JPXトップページの右側にある「オプション価格情報」をクリックして次ページの「有価証券オプション」をクリックします。
(参考:JPX Webサイト)
このページで約定履歴や上場しているかぶオプの種類を見ることができます。
今はまだ流動性が低いものの、取引はできていることが確認できます。
かぶオプ投資家がオーダーするとマーケットメーカーが動く
現在のところ、マーケットメーカーが板に気配を出すところまでは至っていないようですが、光世証券ではオンラインと電話で受け付けていて、投資家の注文があると証券会社に連絡が入り引き受け手を探すようです。
安藤さんも話をしていましたが、多少投資家にとって不利な価格になる場合もありますが約定は意外とされるようです。
投資家にとってカバードコールで約定さえしてくれればコツコツとインカムゲインのように利益が入るので、少し不利な価格であっても許容できるのではないでしょうか。
マーケットメーカーのように証券会社が注文の相手方になってくれて、その件数も増えているようなので、見た目には気配がなく閑散としているように見えますが実際は取引できるようです。
かぶオプと日経225オプションの差は差金決済
日経225オプションでなぜこのような取引ができないのか、理由は差金決済が定着した環境だと私は考えます。
差金決済ではなく本当に受け渡しがあったら、2000万円の自己資金を保有していないといけないことになりますので自己資金が足りない人は現物になる前に決済されられてしまうのですが、指数取引は現物がないので差金決済されます。
だから自己資金が少なくても日経225オプションを取引できるのですが、差金決済で値上がり益や値下がり損の差額のみをやりとりするので、かぶオプのような指値の代わりになるという発想は相いれないものがあります。
このような制度も手伝って、日経225オプションは証拠金によるレバレッジを掛けた取引が当然として考えられています。
ですがかぶオプのように株の指値注文の代わりにオプションを使う発想なら、ただの発注タイプの違いであり、資金不足を懸念したりリスクコントロールを緻密にやる必要もありません。
発注方法を「指値」の代わりに「オプション売り」に変えただけでリスクを増やしていないからです。
日経225オプションは、オプションそのものを売買して利益を狙いに行く商品、かぶオプは株のの発注方法のバリエーションの一つとしてオプション取引があります。
このような区別をすれば、あなたがどちらがお好みでどのような取引をしたいのか見えてくるのではないでしょうか。
だから、「オプションが良くわからないけど、魅力的だから何かやってみたい」という場合はかぶオプがローリスクでお勧めです。
オプションの性質を理解するためにまず何をしたらいいかと考えたら、かぶオプが良いでしょう。
ただギリシャ文字(デルタ、ガンマ、セータ、ベガ)を用いた相場の変動に合わせたリスクコントロールを学ぼうと思ったら、かぶオプでは物足りません。
その場合は日経225オプションのほうが断然知識は増えます。
まとめ
初心者でもローリスクでオプション取引ができるのかぶオプ。
かぶオプの代表戦略であるターゲットバイイングとカバードコールは、指値と一緒のリスクしかとってない。
現物株を保有するためにデリバティブを活用しているだけので、基本的には株式保有のリスクと一緒。
何も追加でリスクを取っているわけではないし、もし大損しても株を失うだけで自己資金以上の損失になることは構造上あり得ないので安心感がある。
オプションの仕組みを実体験するにはレバレッジが少なくて実際の株価と連動して動いてくれるとわかりやすい。
それを実現するのがかぶオプです。
リスクを取りたいなら日経225オプション、リスクを取りたくないならかぶオプが良いでしょう。
リスクを取れば月利10%を狙える世界があり、リスクを取らなければ年利10%でコツコツ利益を狙える世界がある。
これがオプション取引です。
オプションの機能はどちらも変わりませんが、どう使うか、どんな取引で利益を狙いたいかが分かれば、これほどリスクコントロールするのに使い勝手の良い金融商品はありません。
流動性についてはまだまだ発展途上ですが、先行しているアメリカでもかぶオプの流動性が高まるのには数年かかったと言われます。
ですが、投資家として流動性が高まり誰でも手掛けられるようになるまで待ちますか?
多少リスクがあっても先行者利益を取れる可能性を信じてリスクテイクしたほうが投資家らしいと考えられるのではないでしょうか。
ビットコイン等の仮想通貨は数年前は先見の明があれば稼げたと嘆く方は多いですが、仮想通貨は現在は市場に認知されて流動性が高まった反面上昇益は狙いにくくなりました。
であれば、取引所が本腰を入れて活動を始めた今、この流れにいち早く乗ってリスクテイクするのが本物の投資家と言えるかもしれませんね。