2020年7月SQに向けて、P22500買い1枚(@680)とP22000売り1枚(@400)の下落目線のプットデビッドスプレッドを6/26に建てたとします。
21000台まで下がれば+22万円の利益になるのですが、結局SQ値が22500を越えそうになったので、SQ前日の7/9(木)の取引終了間際に反対売買して決済したとします。
この今回の建玉はどうすれば損失を少なくできたかを3つの視点から分析しました。
①組成時の2つのポジションをとる時点での相場観を排除する
今回のデビットスプレッドですが、まず下図のボラティリティスマイルを見て分かるように、プットデビットであり、かつアットザマネーからの500円幅であるにも関わらず買い玉680円売り玉400円で、トータル280円の支払いになったのは、建玉としては非常に厳しいものとなっています。
通常であればプットのアウトオブザマネーのインプライドボラティリティが高いので、差額は280円もせずにスプレッドを組むことが出来ます。
なお、この日のオプションの終値価格はP22500が420円、P22000が265円であり、差額は155円です。
エントリーで失敗してもその後の展開で挽回できる可能性はありますが、不利なスタートを挽回する、という気持ちがその後の手立ての選択にも影響してしまいます。
まずはなぜこのような建玉になったのかを考える必要があります。
これは、たいていエントリーのタイミングで買い玉を約定させたあと売り玉は指値でより有利に約定しようとして、反対に動いたので慌てて約定させた、ということが非常によくありますので、基本は同時に、片方が約定されたらすかさずもう一方を約定させたほうが良いでしょう。
そもそもオプションにおけるスプレッド取引は同時発注が基本であり、流動性のない方から先に約定させ、もう一方は板にぶつけるようにします。
ここには相場観をいれません。
時間差戦略もありますがそれはリスクをとることの裏返しでうまくいく場合があるにすぎません。
ということでまず損失を小さくするということであれば、
①組成時の2つのポジションをとること時点での相場観を排除しできるだけ同時に入れる
というのが一つの回答になります。
相場観をいれて時間差を狙ったというのであれば、その相場観の誤りは引き受けるほかないと思います。
②オプションのスプレッドは満期まで時間があればそれほど損益は際立たない
②オプションのスプレッドは満期まで時間があれば時間的価値が邪魔をしてそれほど損益が際立ちません。
よって、方向性を間違えたと思ったら即ポジションを閉じてドテンする、あるいは一旦様子見するという方法もあります。
しかしこれは相場の動きに翻弄されてしまいます。
翻弄されないためにオプションの損失限定機能を利用するのであれば、中期的な目線でドンと構えて満期までさわらないというのも手です。
そうすると1ヶ月毎ですとスパンがあきすぎます(年間12回しか勝負できない)ので、Weeklyをつかって小さく回転させる(回数勝負)というのも手かと思います。
③途中で逆側のコールデビットを入れる方法
③途中で逆側のコールデビットを入れるという方法はいわゆる相場観によるアドリブということで、これがダメということはありません。
そのまま下げて終われば利益を削ぐことになるだけです。
逆に行けば多少損失を減らすことができたという結果になるにすぎません。
結果論ということです。
一般的な戦略としては、デルタヘッジを行うということが考えられます。
通例、デルタヘッジにはminiを利用しますが、本体のデビットスプレッドは利益限定であるためにminiを使うと損失が限定されなくなりますので、このデルタヘッジをオプションの買いで行うということも考えられます。
その意味で、逆側のコールデビットを入れたらよかったという話が結果論ではなくデビットスプレッドにおけるオプションによるデルタヘッジ戦略へと昇華されうることになるわけです。
ただ、デビットスプレッドはデルタ以外のリスクを相当程度に減らしているので、そのデルタをヘッジするということは、その他のリスクが小さい以上、その時点での損益を固定してしまうということになります。
デビットスプレッドでは、方向性を誤るということは、支払いコストを失うことになりますので、その回収のためにデルタを考慮したクレジットスプレッドを当てるという方法も考えられるかもしれません。
デルタヘッジについてはオプション投資家養成塾の第4章過ぎから詳細に解説しています。
まとめ
①組成時の2つのポジションをとること時点での相場観を排除しできるだけ同時に入れる
②オプションのスプレッドは満期まで時間があれば時それほど損益は際立たない
③途中で逆側のコールデビットを入れる方法
このような選択肢があるが、初心者の方はまずは①をきちんと守り、片方を約定させたらもう片方は相場を見ながら有利になるのを待つよりも、板にぶつけてスプレッドを完成させることを守るようにしましょう。
この記事を読まれた方は、デビットスプレッドは無限の利益を放棄した現実派の戦略も参考にしてください。