VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2023年1月27日(金)の米国市場の様子を分析しています。
【目次】
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
(先物プレミアムか先物ディスカウントか)
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー
(コンタンゴかバックワーデーションか)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
(VIXを視覚的に捉えるチャート)
5. VIXと日経225先物
(夜間の日経225先物トレードに生かすヒント)
6. VIX/VIX3M(VXX売りの指標)
7. VVIX/VIX(市場の不穏な気配を感じるチャート)
8. MOVE指数(債券のVIX)
9.SKEW指数(ブラックスワン指数)
10.米国債金利
【まとめ】
VIX18.51(〇)
VIX指数<先物(〇)
先物プレミアム
VIX指数タームストラクチャー(△)
9D30Dバックワーデーション
VIX先物タームストラクチャー(〇)
コンタンゴ
短期先物指数コンタンゴ率=5.13% 中期先物指数コンタンゴ率(1ヶ月換算)=1.65%
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート (△)
広がってきている※9Dが高い
VIX/VIX3Mレシオ=0.90→(△)
VVIX/VIX=4.50↗(△)GC
MOVE指数=100.70↘(△)落ち着きを取り戻しつつある
SKEW/VIX(6.59)↗+SMA20(5.66)↗(〇)GC
米国債金利 1年→ 2年→ 中期→ 長期→ 超長期→
(1年>2年>20年>30年>5年>10年=3.507% 逆イールド)
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
日本時間2023年1月27日~1月28日朝の概況
FRBが重視しているとされる2022年12月のPCEコア(米個人消費支出物価指数=変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数)が市場予想通りの結果(前年同月比4.4%上昇)となり、11月の4.7%から鈍ったことから、インフレが落ち着きつつあるとの見方が広がりFRBによる利上げペースの鈍化が意識され株価は上昇しました。もっとも、これまでの上昇や週末を控えているということもあり、利益確定の売りも出やすく、上値を追う展開にはなりませんでした。ダウ、S&P500は小幅高、ハイテクのナスダックは約1%上昇。
重要経済指標や決算のひと段落でVIX指数9Dもピークアウト。3M、6M、1YVIX各指数は2022年の最低水準を割り込んでおり、VIX30Dも2022年1月ごろの水準まで降りてきました。さらに先物タームストラクチャーはコンタンゴ、先物プレミアムを維持。VVIX/VIXは節目の5pt回復を目指してさらに上昇(高い方が良い)、MOVEも下げ節目の100ptを割る水準(低い方が良い)、SKEW/VIXも上昇トレンド中(高い方が良い)、など、各指標は株式市場の堅調さを示しています。
NYダウ 33,978.09ドル +28.67(+0.08%)
S&P500 4,070.57pt +10.15(+0.25%)
NASDAQ総合指数 11,621.71pt +109.30(+0.95%)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
VIX指数(30D)=18.51(〇)
指数<先物 先物プレミアム(〇)
短期先物指数コンタンゴ率=5.56% 中期先物指数コンタンゴ率(1ヶ月換算)=1.64%
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー(コンタンゴかバックワーデーションか)
VIX指数:9D30Dバックワーデーション(△)
VIX先物:コンタンゴ(〇)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
広がってきている※9Dが高い(△)
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートです↓
<TradingView提供のチャート>
2020年2月21日から24日のところで一気に形が変わっている部分の拡大
<TradingView提供のチャート>
5. VIXと夜間日経225先物
赤ラインは日経225先物(12月限)、薄い青ラインがS&P500(E-mini)、黄青のロウソク足がVIX30D、赤緑のロウソク足がVIX9Dです。原資産の動きが先でVIXは後から動きます。VIXは先行指標にはなりません。ただ、VIXは市場参加者が原資産の変動に対してどう判断し、どう反応したかがわかります。
6. VIX/VIX3Mレシオ
VXXショート戦略のリスク指標の一つです。
VIX30D/VIX3M=0.90→(△)
7. VVIX/VIXレシオ
VVIX/VIX=4.50↗(△)GC
VVIX=VIXのインプライドボラティリテイ(IV)
これは先行指標になるのでしょうか?
VVIXもVIXと同じような動きをしているようにみえますが、動き方の比率に微妙にずれが出るため、VVIX/VIXの値が変化します。市場の不穏な雰囲気が、S&P500のプットオプションの買い(VIX)とVIXのコールオプションの買い(VVIX)の微妙な差を生み、その結果じわじわとVVIXとVIXの変動率の違いを生み出していく…。基本的に先に原資産であるS&P500のプットオプションが買われVIXが上がり始めます。そうするとVVIX/VIXレシオが下がり始めます。S&P500のプットオプションの買われ方を単独で見るのではなく、そのプットオプションの買われ方がVIXコールオプションの買われ方に対してどうか、という視点でみることで、相場の不穏な雰囲気を察知できるかもしれないということです。
【一応の基準】
6以上を維持◎(平穏 リスクオン) ※高すぎる値は警戒
5~6○(平穏へ)
~5×(5を割り込むような原資産の下落はちょっと長引く可能性)
8. MOVE指数
100.70(△)↘ 落ち着きを取り戻しつつある
MOVE指数=いわゆるVIXの米国債版です(赤)。VIXは青、S&P500先物(ES)が黒のチャートです。米国債市場の不穏な動きを未然に察知するために使えるかもしれません。
9. SKEW
121.97↗
SKEW/VIXレシオ・移動平均クロス(〇)GC
SKEW/VIX(6.59)↗ MA20(5.66)↗