あらゆる投資商品に共通していますが、安く買ったものを高く売る、高く売ったものを安く買い戻す、ということが利益の源泉です。
オプションも仕組みは同じですが、特に株との違いは「権利」の売買と言われており、これが「絶対」に起きる利益の源泉となるのです。
投資には使っていけない「絶対」にという言葉が、オプションには存在します。
それは時間が経過するという現象。
オプションの利益のメカニズムを知ることで、時間を利益に変える方法があることがわかり、自信を持って取引をすることが出来るようになりますよ。
オプションが株にはない絶対ルール
まず、オプションは期日には価格が0になります。
これが他の投資にはない「絶対」ルールです。
株価やFX(為替)は0になることはほとんどないのですが、オプションの場合は株価がその権利行使価格に達しないと、必ず0になります。
今1ドルの価格で取引されていたら、指定期日には0になる、つまり1ドルの差益が利益となります。
これだけ見ると単純なルールに思えますが、0になるためには条件があります。
それがオプションの「権利行使価格」と原資産の価格の高低によります。
文字通り「権利」を「行使」する「価格」はどこか。
これを示しているのが権利行使価格です。
例えば権利行使価格が10ドルの商品がある場合には、原資産、つまり銀の価格が10ドル以下になったときと、10ドル以上になった時でその性質が異なってきます。
この10ドル「以上」になったら権利行使されるのか、それとも10ドル「以下」になったら権利行使されるのかという違いを、「コール」と「プット」という呼び名でそれぞれ分けて商品化されています。
満期に10ドル以下だと価格が0になるオプション=コール
満期に10ドル以上だと価格が0になるオプション=プット
コールは=Call=C
プット=Put=P
と略語で表されます。
オプションの銘柄には「コールかプット」という種類の選択と、「権利行使価格」の選択があります。
これがオプションで最低知っておかなければいけないルールです。
例えば権利行使価格14ドルのプットは「P14」と表現し、この銘柄が意味するところは「14ドル「以下」になったら権利行使が発生する商品」という意味になります。
この商品を売買します。
「買い」もできれば「売り」もできます。
満期に10ドル以下だと価格が0になるオプションを買う=コール買い
満期に10ドル以下だと価格が0になるオプションを売る=コール売り
満期に10ドル以上だと価格が0になるオプションを買う=プット買い
満期に10ドル以上だと価格が0になるオプションを売る=プット売り
このように売りと買いが交錯して存在することになります。
オプションは必ず0になる性質がある。ということは、このオプションを売ることで、今の価格が0に向かって下がっていくところで利益を上げることが出来る、と考えたのが「オプションの売り」のメリットというわけです。
もう一つの「絶対」
もう一つオプションには絶対に起きる現象があります。
これは投資に限らず生活していくうえでは当たり前のことですが、時間が経過していくとういことです。
前述の価格が0になるということは、時間が経過すると必ず価格が下がっていくということ。
ということはこの時間経過が価格に影響を与えているということになります。
オプションは時間が経過するとその価格が下がっていくことを「タイムディケイ」と呼び、この時間価値の減少を利益にするのがオプション売り戦略となります。
でも・・・この現象や用語をいきなり暗記すること、できませんよね?
今ご説明したルールは、私は暗記しています。
暗記というレベルじゃなく、言語のように理解して使っています。
でも、最初はこんなに新しい概念がたくさん出てきたら混乱してしまうので、このように考えるとスッキリします。
特に銀オプション投資をするうえで一番最初に始めるプット売り、P14を売る場合を考えてみると
満期で14ドル以下になったら14ドルで商品を持つことになる。
というように考えてみましょう。
「14ドル以下になったら」なので、14ドル以上で終わったら商品を持つ必要はありません。
ですので14ドル以上で終わった場合には売った時にもらえるオプション価格が利益となります。
14ドル以下になると、13ドルになっても12ドルになっても、たとえ10ドルになったとしても14ドルでこの商品を持っていることになります。
その状態で反対売買(損切り)をすると、損失が確定します。
原資産が10ドルになった状態であなたが14ドルでこの商品を持っていたということは、差引4ドルのマイナスとなります。
このようにある時期(=満期)で価格がいくらになっているかを予想するのがオプション取引になるのですが、単純に将来に上がっているか下がっているか予想するだけでは博打と一緒に思えてしまうかも知れません。
そうではなく、将価格が上がったらオプション売りの利益をもらえて、下がってしまっても次の手が打てるというところがオプションの魅力となります。
オプション売りで機会損失を防ぐ?
オプション売りが株と違って何が良いかというと、機会損失を防げることにあります。
1.株式投資の「指値」と同じ
もし銀を買おうと思ったら、通常は今の価格(14ドルなど)で買わないといけません。
もしもっと下がって12ドルになったら買ってもいいかなと思っていたとしたら、12ドルに買い注文を出して価格が下がるのを待っている必要があります。
これを「12ドルで指値注文をする(指値をする)」と言いますが、せっかく「ここまで下がってきたら買いますよ」という指値注文を出しても、価格が上昇すると保有することは出来ません。
そこでP12ドル(プットの権利行使価格12ドル)を売っておくのです。
これは株の指値と同じです。
12ドルまで下がったら銀を保有するという注文になるからです。
2.機会損失を防ぐことができる
12ドルまで下がらなければP12ドルを売った時のお金を受け取ることが出来ます。
また、12ドル未満に下がれば銀を12ドルで保有したことになり、しかもプット12ドルを売った時のお金(仮にここではP12ドルの価格が0.56ドルとします)が入ってい る。
よって価格が上昇してしまっても0.56ドル×100トロイオンス=56ドルはもらえています。
12ドル未満になっても、0.56ドルをもらっているので、本当に損失が出るのは12ドル-0.56ドル=11.44ドルを下回るときになります。
このように指値で12ドルに待ち構えていたにもかかわらず、銀の価格が上昇したのに利益が出るのです。
3.プット売りのメリット
このように考えると、次のようなことが言えます。
- 14ドルの銀現物を買うよりお得
- 14ドルより上に行くとプットの利益は確定
つまりあらかじめ指値をしようと思っていたら、単純に指値で待つよりも、プット売りの方が収益チャンスは多いのです。
また、指値で待つ場合には14ドルに到達しないと何も買っていない状態なので損益には何にも影響がありませんが(投資をスタートすらしていない)、プットを売っておいて14ドルより上昇していくと、P14はそのまま権利が消滅するので売った時に受け取ったお金が利益として確定します。
つまりプットを売った時に投資がすでに始まっているのです。
4.利食いタイミングに悩まなくて済みます
投資は利食い(利益を確定させる注文を出すタイミング)が難しいと言えますが、指値で待つ場合はどこまで価格が下がったら買っても良いと思えるか、自分自身で基準を決めてエントリー(始めるタイミング)を根気強く待たないといけません。
待てる人はずっと待っていて構いませんが、少しでも資金を有効に活用したい、投資を始めたいという場合には今すぐに投資をスタートさせたいというのが人情です。
その点ではプットを売った時にすでに投資が始まっていますのでエントリーを待たずとも今すぐできるのです。
今の価格が高いか安いか、推測は出来ても確定的に断定することは誰にもできません。
であれば今投資が出来るプット売りを始める、そしてもし銀の価格が下落したらもともと買いたかった銘柄がさらに割安で手にすることが出来るということを喜ぶことが出来ます。
オプション売りのデメリット
メリットは多いオプション売りではありますが、デメリットもあります。
デメリットは、もし下落するまで待つ間に大暴落が起きて銀が9ドルになったとしたら、
何も注文を出していなければ9ドルという破格で銀を買うことが出来る一方で、プット14ドルを売っていたらいくら価格が下がっていようが14ドルで保有しないといけないのです。
だから、常に指値で待つならプット売りの方が有利、相場の変動を見ながら大暴落後の底値を拾うことが出来る人は待った方がいいということが言えます。
ただ、底値は誰にもわからないものです。
底だと思って9ドルで指値をして待っていたら、9.5ドルまで下落してそのあと反転してしまって約定し損ねたということはよくある話です。
まとめ
オプションは必ず0になる性質がある。
その性質を利用して利益を上げるのがオプション売り戦略。
P14の売りというのは、満期で14ドル以下になったら権利行使される商品を持っている。
プット売りは株式投資の指値と同じ効果があり、しかも機会損失を防ぐことが出来る。
ただし相場を見ながらタイミングを自在に図って利益を出せる人はオプションを使わなくても良い。
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