あなたは日経225オプションが、長期の資産運用に向いていない、つまりインカムゲインを狙えないことご存知ですか?
日経225オプションは短期で利益を稼ぐトレーディング(日々の値動きに合わせた取引)タイプの投資でありキャピタルゲインを狙う投資スタイルとなります。インカムゲインを狙った長期間の資産運用向けの商品ではありません。
その理由は下記の3つが挙げられます。
- 1.流動性が期近に集中していて、およそ2ヶ月先のオプションまでしか取引できない
- 2.レバレッジが高く、損益の予測とコントロールに日々のギリシャ文字の変化を把握することが必須
- 3.ボラティリティが低く収益源のオプションプレミアムの受け取りが少ない
もしそれでもオプションでインカムゲインによる資産運用を実現したいのであれば、日経225オプションではなく銀オプションを活用することで上記の課題を解決することが出来ます。
この記事を読むことで225オプションがなぜキャピタルゲインしか得られないのか理解することが出来ます。
特徴が理解できれば、キャピタルゲイン狙いのトレーディングは日経225オプション、インカムゲイン狙いの長期運用は銀オプションへと資産を分散できるようになりますので、最適な資産運用を見つけることができるようになりますよ。
日経225オプションでの長期運用の課題
ここから日経225オプションを長期の資産運用に活用した場合の3つの課題について詳細を解説します。
1.流動性が期近に集中している
日経225オプションは第1限月と呼ばれる期近のオプションが最も取引高が多く、活発に取引されています。
一方でカレンダースプレッドなどのコンビネーション取引のために、第2限月と呼ばれる翌月のオプションも比較的流動性があります。
しかしながら、第3限月以降の満期までが長いオプションは、ほとんど取引されておらず流動性がとても低いです。
流動性が低いということは、理論的な価格で約定をさせたくても、約定させる相手がいないために、理論的な価格よりも不利な取引をしなければいけないということです。
実際に3ヶ月後の第4限月の日経225オプションの板を見てみましょう。
このように板が飛んでおり、もし今プット19500円を取引したい場合には、本来は600円で買いたくても誰も待っていないので615円で買わなければいけません。
この取引だけで15円(実際の金額は1000倍になるので15,000円)不利な価格でオプションを保有することになります。
つまりポジションを保有しただけで-15,000円からスタートになるので、オプションで15,000円の利益を得ることで損益はイーブンとなります。
これではいくら相場を読んで利益を出せたとしても、回数を繰り返すと負けてしまうことが多くなるでしょう。
不利な状況は手仕舞い時も同じ
また、手仕舞いのときにも流動性が少ない場合には、不利な価格で約定しなければいけません。
エントリー時に不利な価格、手仕舞いのときにも不利な価格というのでは非常に効率が悪いですよね。
そうすると自ずと流動性がある銘柄、つまりは第1限月と第2限月に取引が集中することになります。
よって225オプションでは、長くても1ヶ月程度の保有期間でポジション調整をしていくことになりますので、長期の運用には向いていないのです。
ちなみに第5限月の4月満期はほぼ流動性がありません。
2.レバレッジが高く、ギリシャ文字を把握することが必須
日経225オプションにはレバレッジが効いています。
もしレバレッジが効いていなければ投下資金を失うだけで済みますが、殆どの投資家は225オプションを取引するために、レバレッジを掛けます。
その理由とは、実は利益率を高めて効率的に資金を回転させるという目的ではなく、自己資金を全額用意して取引するにはあまりにも金額が大きすぎるためです。
日経平均先物を保有するための自己資金は1,900万円
日経平均が19,000円前後にあるときに、日経平均先物を1枚買う場合には、自己資金は先物1枚あたり価格の1000倍なので、19,000円×1000倍=1,900万円必要になります。
1,900万円用意して先物1枚を取引すれば、全額自己資金となりレバレッジ1倍となります。
この場合に日経平均が100円変動したときの利益は100円×1000倍=10万円の損益が発生しますので、自己資金に対する利益率は10万円÷1900万円=0.5%にすぎません。
このように0.5%の利益率を狙うために1,900万円を用意して取引するはとても効率が悪く、かつ個人投資家で1,900万円をあらかじめ用意できる個人投資家はなかなかいません。
証拠金によるレバレッジはおよそ19倍
そこで満額の1,900万円を用意するのではなく、証拠金制度を活用して取引をすることが一般的であり、この証拠金制度によってレバレッジが高められることになります。
これはオプションの場合も同様です。
オプションのプット19000を1枚売る場合には、現受けした場合には日経平均19000円のショートポジションを保有しているのと同じポジションになりますので、プット1枚を売るということは1,900万円の自己資金を持って先物を1枚売っているのと同じことなのです。
先物1枚は1,900万円の取引になりますが、明日日経平均株価が急に0円になることは考えにくいので、明日の変動を予測してその変動額の分の資金を預けておいて1,900万円分の取引を行えるようにしているのがSPAN証拠金取引制度となります。
現在はおよそ80万円~100万円の間となっており、わずか1/19程度の資金があれば先物1枚を取引することが出来ます。
よって19倍のレバレッジが掛けられているといえます。
FXでは25倍のレバレッジがかかっている取引ができる一方で、日経225オプションも似たような倍率のレバレッジを掛けているのですが、日経平均は0円にならないだろうという予測から、少し権利行使価格が離れたプットを売って放置してしまうことがあります。
ですが、理論的には損失無限大であるため、明日の最大損失額の予測をしなればいけません。
損失額の予測が出来ないと対処の打ち方がわからずに慌ててしまうことになるからです。
そこでオプションではギリシャ文字によるリスクパラメータとしてデルタ、ガンマ、セータ、ベガを用いて、明日の最大損失額を予測することになります。
ギリシャ文字によるリスクコントロール
もしオプションを満期まで保有し続ける場合は、ギリシャ文字による価格変動の予測は不要です。
SQ値と権利行使価格の差額が損益になりますので、前述した1,900万円を全額用意しておけばSQ値確定まで放置しても問題がありません。
しかしながら証拠金取引をしてレバレッジを掛けた場合には、途中で証拠金不足となる可能性がありますので、最大損失額を計算することになります。
デルタ・ガンマ・セータ・ベガというリスクパラメータをチェックして、どのリスクをとって、どのリスクをとらないのかを選択していくのですが、ギリシャ文字のパラメータは常に変化していきますので、バランスを一定に保ったとしても明日にはまたバランスが崩れていきます。
その都度調整をしながらバランスを取っていく技術が必要になります。
例えば日経225オプションでデルタフラットの戦略を採用したにもかかわらず、原資産の変動(ガンマ)によりデルタ=0.1ずれたら、デルタを0に戻します。
この行為をダイナミックヘッジングと呼び、トレーディングとしてのオプションの戦略では非常に頻繁に調整が必要となります。
日経225オプションはセーフティネットがない
また日経225オプションで証拠金以上の損失が出た場合には追証と呼ばれる制度があり、追加証拠金の差し入れを催促されますので、損失は限定されていません。
このように追証の危険を回避するためにも自分でコントロール出来る期中で決済するのです。
期中の値動きを知りリスクをコントロールするためにリスクパラメータ(ギリシャ文字)を見るんです。ギリシャ文字を勉強し、リスクについて把握しておく必要があります。
ギリシャ文字の重要性、そしてリスクをコントローすることがいかに自分の身を守っているかを体系的に理解する必要があります。
3.ボラティリティが低くオプションプレミアムが小さい
日経225オプションの平均ボラティリティはおよそ20%前後となっています。下記は楽天証券が提供している日経VIのチャートを示しています。
オプションのボラティリティは高ければ高いほどオプションプレミアムが大きいということを意味します。
オプションを売る場合には、ボラティリティが高いほど利益率は高くなるのですが、およそ25%以上は欲しいところです。
しかし日経225オプションの場合はほとんど25%に到達していません。
仮に超える時があれば仕掛けられますが、タイミングによりますので、長期運用することを念頭に置いた場合には投資できる時期と出来ない時期があるために非常にやりにくい投資商品となります。
トレーディングとしての日経225オプション
以上の点を踏まえて日経225オプションで利益を上げるのがトレーディング(取引)です。
トレーディングとは、安くなった商品を高く売り、高く売った商品を安く買い戻すと言った、反対売買までの期間が短い投資のことを指します。
トレーディングは一度身につければ自身のスキルとなりますので、ある一定以上のスキルが備われば自由に使いこなすことが出来ます。
そのスキルが高ければ高いほど、ギリシャ文字を使って利益を上げることは非常に容易になるでしょう。
まるで職人のように、狙いを済ませて一瞬のタイミングを利益に変えることができれば、非常に労力は少なくて高い利益率を確保できるようになります。
高いトレーディング技術が必要
このトレーディングの技術は、FXよりも高度でかつ緻密な計算が必要になります。
しかしながら日経225オプションで戦略を選んだ場合には、FXのようなデイトレで短期間の取引をしなくても良いことがあるので、FXよりも資産運用的であるとは言えるかもしれません。
ですが明日の相場急変や、突然の自体には相場を見てギリシャ文字のリスクパラメータを調整して、バランスを保たなくてはいけません。
その頻度はFXよりも少なくて済む場合が多いでしょう。しかし全くバランスを調整せずに過ごすほど自己資金がない場合には、よく監視しないといけません。
相場の世界は勝つか負けるか、自身の腕に磨きをかけて能力を高めていく強い向上心があるなら、トレーディングほど面白い世界は無いでしょう。
そして勝てるようになれば、生涯自分の能力で稼げるという「手に職」が身に付けば強みになります。
狩猟民族の「狩り」に出かけるようです。
トレーディングとしての日経225オプションは、日経平均に関連した銘柄に絞り、狙いを済ませて利益を獲りに行くスタイルなため、面白く感じたり「ハマる」という感覚になりがちです。
資産運用としての銀オプション
もしこのようなトレーディング、つまり狩猟民族のような「狩り」を好まないのであれば、もう一つの運用スタイルがあります。それが農耕民族の田植えのような投資スタイルです。
この長期的な投資を「資産運用」と呼びます。
資産運用には知識が必要です。ですが、知識があればトレーディングスキルは不要です。タイミングもデイトレのような忙しいものではなく、半年や1年という長いスパンで投資を行います。
また、知識により最大損失をあらかじめ把握できるようになれば、運用中に何があっても怖くありません。
途中で含み益が増えたらどうしようかあれこれ悩むのではなく、1年投資期間を終えて最終的に損失が出たか利益が出たかを確認し、次の行動を決めるだけです。
まるで春に田植えをして、秋に収穫がやってくるのを待つようです。
日々損益をチェックして相場の動きに一喜一憂する必要はなく、秋に収穫できることが決まっているからです。
田植えの他に畑を持って、多品種の農耕を行う、つまり多くの銘柄を分散投資として持つことも有効になります。
長期資産運用の場合はまるで農耕民族のように、木を植えて育つのを待つような気長なスタイルとなります。
もちろん不作の年や、イナゴに作物を食い荒らされることもありますが、来年の春にまた稲を植えて、秋に収穫を迎えるサイクルを淡々とくりかえします。
トレーディングが攻めの職人芸だとすれば、資産運用は守りの工業製品、つまり安定した製品品質をもたらすのが違いです。工業製品なのでたまに不良品はありますが、ほぼ同一品質を提供してくれる技術が資産運用です。
その資産運用を実現するために最適な商品が銀オプションになります。
銀オプションによる田植えから収穫まで
では銀オプションを活用した資産運用について解説します。
1.期間が半年のオプションを選択できる
サクソバンク証券の銀オプションでは最長で半年先のオプションを選択できます。
つまり日経225オプションでは実現できなかった長期のオプションの取引が可能だということです。
また、サクソバンク証券では相対取引なので、流動性の枯渇懸念がありません。
かならずbid価格でオプションを売ることが出来ます。
下記の図は5月10日満期の銀オプション16ドルの現在の価格でbid価格の0.65ドルで売ることが出来ます。
2.レバレッジ1倍で取引可能
2017年1月4日に、0.65ドル×100オンス=65ドルを受け取ります。(日本円で約6,500円)
この際に使用する資金は、16ドル×100オンス=1600ドルの資金を確保しておけば、自己資金の範囲で取引をすることができます。
日経225オプションでは証拠金取引で約19倍のレバレッジを掛けていましたが、銀オプションの場合は1600ドル(日本円にして16万円)あれば済みます。
投資の終了は半年後と決まっていますので、日経225オプションのようなギリシャ文字によるリスクコントロールは不要です。
ギリシャ文字を見てタイミングを図ることもないし、日々の値動きに一喜一憂する必要もありません。
田植えのように、半年後に収穫するだけです。
銀の価値は下がりにくい
しかも銀は貴金属として価値が一定水準より下がらないと言われています。
宝飾品の他にも工業用品としての価値があるため、日経平均株価のような企業価値の増減とは異なる値動きになりますので、下落の不安がとても小さいです。
特に世界的な不況になった場合には株価が大暴落しますが、貴金属などの商品は逆に値上がりすると言われていますので、不況に強い銘柄とも言えます。
3.ボラティリティが高い
銀のボラティリティは、安定して25%~30%と、日経225オプションよりも高めに推移しています。
ボラティリティが高いのにプットを安心して売ることが出来、長期の資産運用をすることができるというわけです。
今回のオプションはボラティリティが26%となっています。
運用のリターンは年利12%
この銀オプション投資のリターンについては、65ドル÷自己資金1600ドル=4%になりますので、年率換算すると今回の投資期間1/4~5/10=4ヶ月なので4%÷4ヶ月×12ヶ月=12%となります。
つまり年率12%の投資となります。
このような投資ができるのが資産運用スタイルのオプションとなります。
ただし、トレーディングに比べるとスリルがありません。そして目標利益以上のリターンも見込めません。
トレーディングに比べてタイミングを図る必要もなければ取引も半年に1回しか行わないので、ダイナミックさが全く無い投資方法となります。
資産運用には銀オプションがお勧め
今回は日経225オプションについて長期運用の難しさと課題について触れました。
結論としては日経225オプションはトレーディングタイプであり、長期投資には向いていないのですが、トレーディングを捨てて長期運用を勧めているわけではありません。
人によってはトレーディングによって相場観や技術を向上させている人もいますし、「手に職」と考えれば、一度身に付けたスキルは一生涯通用しますので、身に付けさえしてしまえば長期資産運用よりも簡単に利益を上げることができるでしょう。
今回はトレーディングの利回りについては触れませんが、オプショントレードでの月の利益目標を対証拠金で10%だとした場合には、年利換算すると120%のリターンとなりますので、資金が1年で2倍になるという計算になります。
資金が1年で2倍にすることを目標に、日々のリスクコントロールを行いトレーディングを行いながら、利益を積み上げていくほうが向いている方もいるでしょう。
逆に「狩り」を不得意として農耕民族の田植えの方に春に植えて秋に収穫するという、コツコツタイプの投資のほうが向いているという方もいると思います。
コツコツタイプはリターンは安定しやすいですが、トレーディングよりも利益額は少なくなることが一般的です。
どちらに優劣があるわけではなく、目指す投資スタイルによって上手に銘柄を選択しポートフォリオを組むことが大切です。
もし銀オプションのほうが向いているとすれば、日経225オプションのトレーディングの学習に加えて、銀オプションの学習も手がけましょう。
資産運用は知識が要です。知識さえあれば、田植えの収穫のように安定的なリターンを手にすることも可能です。
まとめ
日経225オプションはトレーディングであり資産運用には向いていません。
その理由は1.流動性 2.リスクコントロール 3.ボラティリティ によります。
トレーディングは狩猟民族の「狩り」のように、ダイナミックでスリルのある投資であり、一度身に付けば「手に職」を得た職人芸のように簡単に利益を上げることができます。
資産運用は農耕民族の「田植え」のように、淡々と春に田植えをして秋に収穫するという、スリルや変化のないコツコツタイプの投資であり、知識をつけることが一番の成功のコツです。
この銀オプションのような資産運用方法はLEAPS取引で7ヶ月利回り31.7%を得た具体的手順で学習できます。