LEAPS投資で資産運用する際に知っておくべき最大損失額

投稿者名:金森 雅人

LEAPSは9ヶ月以上の期限があるプットプションを売り、そのプットオプションについているプレミアム(=保険料)を受け取って利益を出していくオプション戦略です。

プットオプションを売る際に、投資家は一体自分の投資の最大損失額がいくらになるのかを把握していなければ、不安や恐怖を感じて1年先の期限のプットオプションなんて安心して売ることは出来ません。

ここではLEAPSのプットオプション売りの最大損失額の考え方が身につきますので、あとはご自身で引き受けられるリスクであると感じれば取引を開始し、引き受けられない投資であれば回避する、という選択をすることが出来るようになります。

【目次】

1.プットオプションの売り手の最大損失

2.損益分岐点

3.まとめ

 

1.プットオプションの売り手の最大損失

プットの売り手が最も損失を出すのはいくらでしょうか。それは銀現物をいくらで保有するプットオプションを売っているかで決まります。

プットオプションは、権利行使価格を下回る場合には、満期においてその権利行使価格で原資産を保有したことになる契約です。

権利行使価格17ドルのプットを売っていて満期に17ドルを下回っていた場合は、17ドルで銀のロングポジションを保有します。

この場合、最も損失額が大きくなるのは、17ドル全てを失って銀の価値が0になることになります。
このとき最大損失は17ドルとなります。

17ドルを失っても構わないと思うか、または一時的に15ドル以下になったとしても、満期までには銀価格は17ドルを回復するだろうという予測があれば、プット17ドルを売ることが投資行為の候補となります。

その場合に2016年5月12日時点のサクソバンク証券での取引画面を見ると1.4358ドルのプレミアムゲインをもらえる事がわかります。

サクソバンク証券の銀プットオプションのプレミアム

銀オプションも残存日数が長いものあLEAPSの一種となり、今日を持たれたりしている方も多数質問を頂いております。

2.損益分岐点

プット17ドルを売ることで、約1.5ドルのプレミアムゲインをもらえると仮定しましょう。その場合は、実は15.5ドルが損益分岐点となります。

理由は、銀の価格が16.5ドルになっているとすると、17ドルで銀を保有しているので含み損が0.5ドルありますが、一方でプレミアムゲインを1.5ドル受け取っています。

よって

  • 0.5ドルの含み損を抱えた銀現物
  • 1.5ドルのプレミアムゲイン

をポートフォリオとして保有していることとなります。

よって銀が15.5ドル以下になると口座全体の資金を計算すると含み損となります。
口座の現金が増える一方で、含み損を抱えた銀を保有しているので、見た目はあたかも含み損を抱えた銀がありますが、トータルして時価総額として考えることが重要です。

銀価格が16ドルの場合

仮に銀価格が16ドルになると、1ドルの含み損+1.5ドルのプレミアムゲイン=0.5ドルの含み益

となります。

上記の画像で分かるように、2017年3月29日満期のプット17ドルのプレミアムは1.4358ドルで取引されています。
およそ10ヶ月先のプレミアムが1.4358であるので、1年先であればもっと高くなっているはずなので、ここでは1.5ドルであると仮定したうえでLEAPSを毎年実施したと想定して年間推移を見ていきます。

1年後

銀がこのまま何年も17ドル付近でうろうろしていたら、1年後に権利行使されなければ損益分岐点が15.5ドルになります。

2年後

またプットを売ると損益分岐点がさらに1.5ドルのプレミアムゲインにより損益分岐点が13ドルになります。

3年後

またプレミアムゲインを取得して損益分岐点が11.5ドル

以降同じことを繰り返し、年々1.5ドルずつ損益分岐点が下がっていくことになります。

5年後の試算

この投資期間中に銀が17ドルのままであれば、年々損益分岐点が下がっていきますので、仮に5年後に銀の価格が12ドルになると損益はどうなっているでしょうか。

それは、5年間のプレミアムゲインが7.5ドル分ありますので損益分岐点は9.5ドルにまで引き下げられています。
ということは現在銀の価格が12ドルになったとしても、差引3.5ドルの利益が出ていることが分かります。

今回はプレミアムは銀現物を購入するための取得コストの低減として計算していますが、考え方は一つだけでありません。
プレミアムゲインは利益として計上し、株取得単価が低い分だけ含み益が発生していると解釈も可能です。

 

3.まとめ

この5年後までにプットが権利行使されずにプレミアムゲインだけを受け取っていたとすると、時間が経過するだけで利益が出るという、時間をお金に変える戦い方となります。

これはオプションに満期があるから出来る戦い方です。

満期が無い商品では実現できない、オプション独特の利益のメカニズムとなります。

<但し>
プレミアムを受け取ったら返還義務はありません。
プットオプションの効果は権利行使されたら現物のロングポジションに変わることから定義付けしています。

この前提条件はオプション満期において権利行使されなかった場合であり、プット17ドルのプレミアムが1.5ドルだと固定したことを想定しています。
相場状況によって1.4ドルだったり1.6ドルだったり価格は需給バランスによって変動します。

この記事を読まれた方は、LEAPS取引で7ヶ月利回り31.7%を得た具体的手順もぜひご覧ください。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

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