あなたは先物をロングしていて、「この週末は何か嫌な予感がする。」と思ったとき、どんなポジション調整をしますか?
一番最初に思いつくのがロングしていた先物を決済する方法でしょう。もし決済するのが嫌な場合には、ショートポジションを同時に保有することで両建てする方法もあります。
このような相場変動からのリスクを無くす方法ではなく、収益チャンスが高まるオプションを使う戦略があります。
オプションを使うと、決済でも両建てでもない、リスクを軽減しつつ利益を確保できる新たな投資ができます。
2015年のチャイナショック時に先物ロング+19,375円のプットオプション(P19375)を2枚買ったことで、相場が上昇しても下落しても全く損失が出ないポジションを実現して112万円の利益となりました。
この利益を実現したのはオプションの特長を生かして、「上昇しても下落しても利益になるポジション」を作り出したからです。
その一部始終をこの動画で解説しています。
このようにオプションを使うことで、先物トレードには無い戦略を組み立てられるようになりますので、今よりも取れる戦略の幅が無限に広がります。
この記事では上記の動画の補足として、デルタヘッジをして相場が上昇しても下落しても利益になるポジションのメカニズムを解説します。
あなたもこの記事を読んで「相場が急変し始めたからヘッジを当てておこう」というタイミングで、最適なヘッジを掛けられる技術を学んでください。
ヘッジを適切に掛けて急変を切り抜けられる技術を持つ事が、投資を長く続けるコツです。
事件や事故のヘッジが出来ない時間帯とは
先物トレーダーの一番の悩みの種は、週末に世界のどこかで、あるいは日本で経済に影響を及ぼすような事件や事故が起きることではないでしょうか。
もし平日の日中9:00-15:00までに事が起きた場合には、株式市場もオープンしていますし先物取引も流動性が高いので、急変が起きても対処できます。
また、先物取引なら株式市場がオープンしていない時間帯の平日の朝8:45から翌明け方の5時までトレードが出来るため、もしアメリカの昼に事件や事故が起きても、何とか損失を食い止めたりヘッジを掛けたりする事が出来そうです。
仮に明け方5時まで起きていられない場合でも、指値注文や逆指値注文を出しておけば、万が一寝ている時に異変が起きても損失を最小限に食い止める事が出来ます。
困るのは朝5時以降の8時までの時間帯です。
この魔の時間帯に異変が起きると、取引所がクローズしているので先物でヘッジの対処をする事が出来ません。
とは言うものの、平日の朝5時から8時までの間に海外で何かが起きたときには、市場が市場が空いている商品でヘッジをするなど何か代替手段でヘッジできるかもしれません。
そのように考えると、平日は何か異変があっても何とかなるのです。どうにかしてヘッジ手段を講じる方法があるからです。
週末は全世界の市場がクローズする
問題は週末や日本の祝日のような場がクローズしている時間帯をどうやって凌ぐかです。
週末にはどの取引所もクローズしているので、もし万が一何か事件や事故が起きても、トレーダーは何もする事が出来ないので頭を悩ませることになります。
指値注文や逆指値注文をしていれば土日にもヘッジポジションが約定するのではないかと考える人もいますが、実際は場がクローズしているときには注文が通りません。
自分の注文と相手の注文を付け合せて約定させる日経平均先物は、取引所がオープンしていることが取引の必須条件なので、取引所がクローズしていると例え有効期限が長い指値注文や逆指値注文を発注していても、約定しないのです。
そんな週末に-1,000円もの大暴落を引き起こすような出来事が起きたらどうでしょうか。
例えば日経平均株価が20,000円の時に19500円に指値をしても、その指値注文を飛び越えてしまって19,000円付近にいる事が妥当だという状況になると、指値の19,500円を超えてしまっているのです。
その状態で月曜日に場がオープンすると、逆指値売り注文をしていた19,500円を遥かに飛び越えて寄り付くので、逆指値の条件が19,500円を付けたら成り行き注文を執行する場合は19,000円で約定することになります。
実際には場が開いていないので、本当の価格はまだ取引開始前には分かりません。
しかし、チャイナショックやリーマンショック、世界同時株安の引き金が土日になってしまうと、月曜の寄付きまで本来の価格が分からずに過ごすことになります。
実際にチャイナショックは週末に異変があったものの、大幅下落したのは土日に中国信用不安が世界中を駆け巡り、翌月曜の寄り付き時点でかなり下落してスタートしました。
場が閉まっているので、恐らく大変なことになるだろうと予測は出来ても、世界の取引所で週明けにオープンする最初の取引所が日本の市場のため、世界の動向を事前に知る術が無いのです。
日本の市場が動いて、中国の市場が動いて、欧州、アメリカと続いていくので、日経平均先物を取引できる日本の市場がトップバッターになるのです。
このように週末に何か異変があると、損失が膨らんでいるかどうかも分からず、翌月曜日の寄り付き価格で判断するしかなくなります。
このようなリスクを抱えつつ週末を安心して過ごすことは難しいですよね。
ただ、通常は土日に何も事件は起きないと考えてるほうが妥当です。8割~9割は何事も無い週末になるでしょう。
事件を起こしたい人も宗教上の理由で活動しないと考えれば、何かを土日に引き起こすことは考えにくいともいえます。
しかし経済活動と宗教的な思想は必ずしもイコールではありませんので、人為的なイベントが必ず土日を避けてくれるとは限りません。
このようにコントロールできないリスクが潜んでいる場合は、先物ロングポジションを保有しながら安心して土日を超すには何かしらヘッジする必要があるのです。
そこで役に立つのがオプションです。
日経225先物(日経225mini)のロングポジションを手仕舞うことなく、週末を安心して過ごすためにオプションをうまく利用して、取引できない週末をヘッジできるのです。
中国信用不安が引き起こしたチャイナショック
2015/8/21のチャイナショックの影響で日経225miniは、前日比600円以上の下落した19,430円で引けました。
この時にすでに予兆があった、ということが過去を示したチャートを振り返れば分かります。
下落時に異変を感じて対処しようと考えた場合は8/21やその週末までに対処すれば切り抜けることは出来ました。
しかし、この当時に、今の下落が確実にチャイナショックによる変動であり今後も長期化すると断定できるわけではありませんので、若干の不安を感じながら土日を越す決断に迫られるわけです。
平日ザラ場中なら、通常はロスカット逆指値を置くことで対処できるでしょう。
ですが土日の間はその逆指値が注文されずにロスカットされないことから、土日に何か悪いことがあって、月曜日に大きく下落してマーケットオープンすることも充分ありえる状況でした。
その予兆が8/21に600円の下げに現れていて、薄々危ないと感じられた相場状況でした。
ここで中程度の下落であれば、週明けにギャップダウンから始まってもまだ耐えられるかもしれませんが、想定を超える大暴落が起きたら、想定以上の損失が出てしまうことは覚悟しなければいけません。
つまり、注文が出せない週末は、枕を高くして(どきどきすることなく)休みたいと思ってもどうすることも出来ません。
だからこそ、土日を迎える前の平日の週末に、何かしらのポジションを取ってヘッジしておく事が必要になり、先物ロングのヘッジとして有効なのがプットオプションです。
プットオプションは米大統領選ドローダウンでも20万稼げた先物ロング&オプション戦略で解説したように、日経平均が下落するとオプションから利益が出ますので、ヘッジ効果が見込めます。
先行き不透明な中、週末をまたぐ先物ロングポジションのヘッジとしてはプットが最適です。
デルタを合わせたプットを2枚買いのフルヘッジ
ではどの程度の枚数を買えば相場の上昇や下落の影響を全く受けないポジションが出来上がるのでしょうか。
それを知る術があれば、簡単にヘッジを当てる事が出来ます。そのポイントが、オプションのリスクパラメータのひとつであるデルタになります。
このオプションのデルタを見るだけで、何枚買えば相場の変動に対してフルヘッジできるのかが分かります。
先物のデルタが1と表現できる理由は傾き
デルタとは原資産がオプションプレミアムに与える感応度を示しています。
日経225先物を1枚ロング(日経225mini10枚ロング)した場合の損益図がこちらの図になります。
この図は横軸が日経平均株価、縦軸が保有先物ポジションから発生する損益を示しています。
通常の価格チャートは
- 横軸が時間
- 縦軸が先物価格
となっていますが、上記の損益グラフは
- 縦軸の先物価格 → 横軸に移動
- 空いた縦軸にポジションの損益
となって横軸が通常のチャートと異なっています。通常のチャートで表現されていた時間はこの損益グラフ上は見る事ができません。
この損益グラフはオプション独特のもので、この損益グラフがあるからこそオプションの特徴が目に見えて分かる便利なグラフとなっています。
ただ、これを先物に適用すると、当たり前のことですが、先物価格が上昇したら保有先物の利益が生まれるという右肩上がりの直線になります。
先物価格が100円上昇したら、利益は+100円になります。(実際の価格は1000倍するので10万円)
反対に先物価格が100円下落したら、-100円の損失となり1:1の関係です。
この事が上記の図に表現されています。この図を見て分かることは、この損益図の傾きが1だということです。
先物ロングはデルタ=1となっていて、先物をショートすればデルタ-1となります。
先物の損益グラフは直線になり、日経平均株価が上昇すれば利益が増え、日経平均が下落すれば損失になります。
当たり前のこと過ぎて先物とレーダーやFXトレーダーなどは意識しないでしょうが、このデルタが1である事がオプション取引にとって非常に重要なことです。
この損益グラフはオプションのリスク分析でよく登場するので、横軸が日経平均株価、縦軸が損益というルールとして覚えておきましょう。
傾きを0にすれば相場の変動の影響を受けないポジションの完成
ここで、この先物のグラフがどのような状態になれば「相場の変動から影響を受けない」ポジションとなるでしょうか。
答えは、この損益グラフの傾きが0になる時となります。
グラフの傾きが0になれば、相場の上昇や下落(日経平均株価の変動)が起きてもポジションの損益は全く変化しません。
簡単に傾きを0にする方法としては、それはポジションを決済してしまうことがまず第一に挙げられます。
ポジションを決済すればこの損益グラフも消滅しますので、当然のことながら日経平均の変動から損益は影響を受けません。
もうひとつの手法が両建てにすることです。
両建てにすれば右肩上がりの直線と右肩下がりの直線が組み合わさって水平線が引かれますので、水平になる=傾きが0となりこちらも日経平均株価の変動を全く受けないポジションとなります。
つまり冒頭の週末ヘッジの方法として取り上げたポジションの決済や両建てによる週またぎは、デルタを0にしている行為となるわけです。
この傾き0と同じことを、オプションで実現するのがオプション取引の醍醐味です。
デルタが-0.5のプットを2枚買うとデルタ-1
では日経平均株価に最も近い権利行使価格のプットオプション1単位のデルタと損益グラフを見てみましょう。
日経平均が19,430円の時の9月限P19375です。デルタ=-0.5程度(下記の赤枠で囲んだ-0.469)となっています。
このプットを1枚買って先物のヘッジとした際の損益グラフを見てみましょう。
ここで先物ロングはデルタ=1でした。ATMのプットオプション1単位のデルタ=-0.5程度なので、合成ポジションのデルタ=+0.5となっています。
下図の赤枠で囲んだデルタの項目が+0.531となっているのが分かるかと思います。
このポジションでは、損失を限定する事が出来ています。
横軸の日経平均先物価格が下落していくと、19,375円よりも安くなると青い線が水平に変わっているのがお分かりでしょうか。
これは損失を限定しているということです。残念ながら19,375円までは下落のリスクがありますが、19,375円よりも安くなるとそれ以下に下落した際にはオプションが利益を出すために、先物ロングポジションからの損失を補ってくれます。
なお、現在の損益を示しているのが緑の線になりますので、日経平均が上昇すれば青のラインに近づき、日経平均が下落すれば青の水平線に近づく傾向があります。
ではこのプットを2枚買ってみます。
同じく先物価格に最も近い権利行使価格のプットを2枚買います。P19375のデルタは合計で-1程度となります。
先ほどと同じ銘柄なのでデルタは-0.469、それを2枚持つので×2倍して-0.938となります。
このオプション2枚を先物ロングと合成してみると、オプションの面白さが際立ちます。
先物ロングはデルタ=1で、プットオプション2枚の合計デルタ=-1程度となっていますので、合成ポジションのデルタ≒0
このグラフを見ると、上がっても下がっても大丈夫なポジションとなっていることがお分かりでしょうか。
現在の損益グラフは緑の線になります。
日経平均が上昇すると、緑のグラフが右肩上がりになっているので、利益が増える事が分かります。
一方で日経平均が下落すると、これまた左肩上がりになるので利益が増える事が分かります。
つまり日経平均が上昇しても、下落しても、利益が出るのです。
この損益グラフの特徴はロングストラドルで57万円稼いだ、新しいイベント投資手法として解説したロングストラドルと全く同じ損益グラフとなります。
デルタニュートラルで112万円の利益を上げたオプションの効果
実際の相場でどのようにオプションが機能したのかを見てみましょう。
チャイナショックは翌週も引きずり、日経225先物はさらに下落しました。
8/21(金)の終値は19,430円でした。それが8/24(月)18,410円に下落し、さらに8/25(火)17,670円へと続落しました。
この時の先物ロングポジションとプット2枚を買ったヘッジの効果を見てみましょう。
まず8/24(月)には1,020円の下落をしたため、損益グラフの緑の斜面を左側に移動して利益が出ます。
1,020円下落したため先物からは1,020円×1000倍=102万円の損失が出ています。
ですが、プットからは150万円の利益が出ています。
緑はエントリー日の線ですが、そのあとの実際の価格は赤の線に従って損益計算できますので、わずか1日で48万円の利益が出たことになります。
ではさらに翌日まで見てみましょう。
火曜日は17,670円と、チャイナショックが与える経済への影響が意識され大幅続落となりました。
ポジションを組成したときから-1,760円もの下落をしたため、先物とオプションの損益はさらに膨れ上がり、+112万円となりました。
1,760円もの下落に見舞われたので、先物ロングポジションは1,760円×1000倍=176万円の損失となっています。
しかし、オプションが先物ロングの損失を補って余りあるほどの利益を出しています。実に288万円のプラスです。
このオプションを保有していたことにより、1,760円の下落で利益を上げる事ができました。
プット1枚だと損失限定ポジションのみの結果
仮に最大損失だけカバーできれば良いと思って、デルタ0.5だけカバーするプット1枚だったらどうでしょうか。
つまり週末リスクを避けるためにフルヘッジをするのではなく、デルタ1の半分程度のヘッジだけ掛けておけばいいやと思った場合です。
8/24(月)には先物の損失102万円をプット買いでカバーしきれずに、合計-27万円の損失になっています。
さらに翌日ポジションを保有していたとすると、先物の損失-176万円に対してオプションは144万円しかカバーできていないので、トータルでは-32万円の損失となっています。
もちろんこれでも-176万円を損失するよりはリスクが低減していますが、週末を安心して過ごすためには合計のデルタを0にするデルタニュートラルにするのがお勧めです。
先物(または日経225mini)のデルタと正反対のオプションデルタを保有することで、ポジションのデルタを0にすることをデルタニュートラルといいます。
デルタニュートラルにすれば、先物が利益になったときにはオプションが同じ分だけ損失になり、逆に先物が損失となった時にはオプションが同じ分だけ利益になり、日経平均が上昇しても下落しても、全く損益には影響を及ぼさないポジションが出来上がります。
これで週末に何が起こっても大丈夫なポジションをつくることができます。
上昇しても下落しても全く損益に影響を与えないポジションは決済や両建てで実現できますが、何かがおこったら、利益となるポジションに仕組みで作り上げることが可能となるのが、オプションの面白さです。
オプションを使う理由がここにあります。
デルタニュートラルで利益が出るメカニズム
もう一度デルタニュートラルにした損益グラフを見てください。
先物のデルタとオプションのデルタを揃えると、傾きが0になります。傾きが0ということは、接線が水平になっているということを意味します。
ちょうど縦軸のエントリー価格、19,430円の緑の線は傾きが0である事が分かりますでしょうか。
このポイントが、損益グラフの曲線を描いているちょうど真ん中のおわんの底の地点です。
そしてここから面白いのが、デルタニュートラルにすることで相場の大きな変動のリスクはヘッジできつつ、カーブを描くことで大きな変動時に大きな利益が出るのです。
もし1,000円上昇したら大きな利益、1,000円下落しても大きな利益。このように相場が変動してくれれば、その変動の規模の分だけ2次曲線的に損益が増えていきます。
先物は冒頭に説明したように直線の損益グラフでしたが、オプションは曲線で2乗で効いてくるのです。
この2乗で効いてくる効果を通常の株価チャートでは表現できません。だからオプションでは損益グラフが出てくるのです。
この損益グラフをリスクカーブとも呼び、オプションの特徴を捉える事が出来るのです。
上がっても下がっても利益が出る戦略を取ることのリスク
上がっても下がっても利益が出るポジションを作る事が出来て、112万円の利益を上げる事ができました。
都合の良いポジションをリスク無く組成できたら、こんなにうれしいことはありませんが、実際はリスクがあります。
それがピタリと止まって動かなかった時のリスクです。
実は何も起こらなかった場合はオプションのヘッジを掛けた分だけ、保険料を支払うことになります。
オプションはファーストリテイリング株に保険を掛けるたった一つの方法で解説しているように、買いポジションの場合には保険料を支払っています。
この保険料をまかなうだけの値動きが無いと、保険料の分だけ損失が出ます。
その保険料を調べる方法もちゃんと用意されています。
そのコストはセータです。(セータとも表現します)
セータ×日数の保険料が発生しますので、エントリー時のオプションのリスクパラメータを見るとシータは-19.98となっています。
よって1日当たり約2万円のロスが出ることになります。
土日をまたぐ場合は2万円×2日4万円が必要な保険料となります。
何も動かなければ土日のヘッジコストとして4万円を計上しますが、その代わり土日で変動があって翌月曜日に上下に多少とも動けば少しはセータ分のコストを回収できます。
だから動かないリスクを解消したいなら、上下どちらでもいいから動いてくれればいいのです。
相場が動いてくれればセータの負けの分を取り戻せて、損益グラフのおわんの底から曲線を駆け上がっていきます。そのようにして動く時にこのポジションを取るのがポイントです。
まとめとデルタニュートラルの注意点
デルタニュートラルにすると相場が上昇しても下落しても利益を上げる事ができます。
デルタニュートラルを実現するには、先物のデルタをオプションのデルタで相殺することで作り出すことができます。
その形はロングストラドルと同じ損益グラフの形状となり、の損益グラフは2次曲線のようにカーブを描いていて、日経平均株価が大幅に上昇すればするほど、そして下落すればするほど、利益は2次関数のように大きくなります。
リスクは相場が動かなかったときで、オプション料はセータで表されています。
このセータ分を回収できるほどの相場変動があるかどうかがこのポジションを仕掛けるかどうかのポイントです。
なお、注意点もあります。
ひとつは今回の事例のように日経平均株価が大きく下落して、オプションがインザマネーとなった場合には、取引の流動性が減少するため決済に注意が必要です。
また、このヘッジポジションは、先物ロングポジションと比較すると、仮に何も起こらず上昇していった場合は、せっかくの先物(mini)の利益を保険としていれたオプションの損失が喰ってしまう結果となります。
よって相場にトレンドがあると確信できるときよりも、短期的に大幅上昇or大幅減少しそうな場面や相場が不安定な場面で、何かあるかもしれないという相場観を実現させる戦略として有効です。
その代わり何もなかったら負けを認めて、セータ負けを食い止めて撤退する度胸も必要な戦略でもあります。
ですが、セータ負けを減らす方法があります。それがポジティブガンマのデルタヘッジ戦略の一つ、ダイナミックヘッジになります。
このようなアレンジもオプションならできるようになりますので、戦略が無数に広がります。