VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2023年3月7日(火)の米国市場の様子を分析しています。
【目次】
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
(先物プレミアムか先物ディスカウントか)
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー
(コンタンゴかバックワーデーションか)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
(VIXを視覚的に捉えるチャート)
5. VIXと日経225先物
(夜間の日経225先物トレードに生かすヒント)
6. VIX/VIX3M(VXX売りの指標)
7. VVIX/VIX(市場の不穏な気配を感じるチャート)
8. MOVE指数(債券のVIX)
9.SKEW指数(ブラックスワン指数)
10.米国債金利
【まとめ】
VIX19.59(○)
VIX指数<先物(○)
先物プレミアム
VIX指数タームストラクチャー(△)
9D30Dバックワーデーション化
VIX先物タームストラクチャー(○)
コンタンゴ
短期先物指数コンタンゴ率=5.58%(▲) 中期先物指数コンタンゴ率(1ヶ月換算)=1.53%
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート (△)
不安定な形状
VIX/VIX3Mレシオ=0.95↗(△)
VVIX/VIX=4.01↘(▲)DC
MOVE指数=133.33↗(△)
SKEW/VIX(6.15)↘ + SMA20(5.93)→(△)GC
米国債金利 1年↗ 2年↗ 中期↗ 長期→ 超長期↘
(1年>2年>5年>20年>10年>30年=3.877% 逆イールド)
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
日本時間2023年3月7日~3月8日朝の概況
FRBのパウエル議長の議会証言により、0.25%に圧縮した利上げ幅を、3月20〜21日の次回会合で再び0.5%に引き上げる可能性と金融引き締めの長期化懸念が強まりました。2年債利回りは2007年以来の5%超え。先行き不透明感から長期債は買われ長期金利は低下。株式市場は大幅下落し、NYダウは今年のマイナス圏へ。
VIXは上昇。今週末の雇用統計や来週のCPIなどを控え、短期的なヘッジのために短期のオプションが買われています(VIX9Dバックワーデーション=3/14満期のオプションのIVが最も高くなっています)。また、VIX各指標は調整色の強い状態となっています。
最もオプションが取引されているSPY(S&P500ETF)のオプションフローによるデルタ分析によれば、オプションデルタはロングとショートが拮抗し、方向感がない状況です。一方、SPY自体は売られており金額ベースのNETデルタはマイナスでした。
NYダウ 32,856.47ドル -574.98(-1.72%)
S&P500 3,986.37pt -62.05(-1.53%)
NASDAQ総合指数 11,530.33pt -145.40(-1.25%)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
VIX指数(30D)=19.59(○)
指数<先物 先物プレミアム 第1限月はぎりぎり (△)
短期先物指数コンタンゴ率=5.58%(▲) 中期先物指数コンタンゴ率(1ヶ月換算)=1.53%
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー(コンタンゴかバックワーデーションか)
VIX指数:9D30Dバックワーデーション(△)
VIX先物:コンタンゴ(○)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
不安定な形状 (△)
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートです↓
<TradingView提供のチャート>
2020年2月21日から24日のところで一気に形が変わっている部分の拡大
<TradingView提供のチャート>
5. VIXと夜間日経225先物
赤ラインは日経225先物(12月限)、薄い青ラインがS&P500(E-mini)、黄青のロウソク足がVIX30D、赤緑のロウソク足がVIX9Dです。原資産の動きが先でVIXは後から動きます。VIXは先行指標にはなりません。ただ、VIXは市場参加者が原資産の変動に対してどう判断し、どう反応したかがわかります。
6. VIX/VIX3Mレシオ
VXXショート戦略のリスク指標の一つです。
VIX30D/VIX3M=0.95↗(▲)
7. VVIX/VIXレシオ
VVIX/VIX=4.01↘(▲)DC
VVIX=VIXのインプライドボラティリテイ(IV)
これは先行指標になるのでしょうか?
VVIXもVIXと同じような動きをしているようにみえますが、動き方の比率に微妙にずれが出るため、VVIX/VIXの値が変化します。市場の不穏な雰囲気が、S&P500のプットオプションの買い(VIX)とVIXのコールオプションの買い(VVIX)の微妙な差を生み、その結果じわじわとVVIXとVIXの変動率の違いを生み出していく…。基本的に先に原資産であるS&P500のプットオプションが買われVIXが上がり始めます。そうするとVVIX/VIXレシオが下がり始めます。S&P500のプットオプションの買われ方を単独で見るのではなく、そのプットオプションの買われ方がVIXコールオプションの買われ方に対してどうか、という視点でみることで、相場の不穏な雰囲気を察知できるかもしれないということです。
【一応の基準】
6以上を維持◎(平穏 リスクオン) ※高すぎる値は警戒
5~6○(平穏へ)
~5×(5を割り込むような原資産の下落はちょっと長引く可能性)
8. MOVE指数
133.33(△)↗
MOVE指数=いわゆるVIXの米国債版です(赤)。VIXは青、S&P500先物(ES)が黒のチャートです。米国債市場の不穏な動きを未然に察知するために使えるかもしれません。
9. SKEW
120.19↗
SKEW/VIXレシオ・移動平均クロス(○)GC
SKEW/VIX(6.15)↘ MA20(5.93)→