VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2024年5月23日(木)の米国市場の様子を分析しています。(各画像はクリックすると拡大します)
米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
昨日はNYダウ、S&P500、NASDAQとも下落しました。
NYダウの下げ幅は2023年2月下旬以来、およそ1年3カ月ぶりの大きさでした。
FRBが利下げ転換に慎重になっているとの見方が売りにつながり、また米新規失業保険申請件数は21万5000件と、市場予想(22万件)を下回ったことが要因だと考えられます。
一方S&P500、NASDAQの下落幅は1%弱と、NYダウよりも軽微でした。
NYダウ
S&P500
NASDAQ総合指数
VIX指数とVIX先物の関係
独自に作成したVIXタームストラクチャーを時系列に整理したグラフ
青が最新日を示しています。
昨日のNYダウは大幅に下げましたが、S&P500株価の下げ幅が小さいため、VIXは反応は限定的でした。
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
独自に作成したVIX指数タームストラクチャーのスクイーズチャートです。
全体的に指数は上昇しましたが、スクイーズ(幅が狭くなる)状態ではなく、全体的に浮き上がっただけのようです。
指数と先物の位置関係を示すグラフ
S&P500の下げは1%弱であり、先物に与える影響はほとんど見受けられません。
コンタンゴ状態で、かつ先物プレミアムを維持しています。
VIX先物とVIX指数の位置関係、および第1第2限月の幅
先物第1限月と第2限月の差は0.83と昨日より狭まっています。
VIX/VIX3Mレシオ
VIX/VIX3Mレシオのグラフです。
0.87と基準の0.9を下回っており、S&P500の下落の影響は限定的です。
VVIX/VIXレシオ
VIXオプションから算出されるVVIXとS&P500オプションから算出されるVIXの比率を計算したVVIX/VIXレシオです。
VVIX,VIXとも数値が上昇しました。
このブログではVVIX移動平均が上向いているため下落に注意が必要と述べてきましたが、昨日の市場の動きはその予想通りの動きだったかもしれません。
今後VVIXが上昇を続けると本格的な下落トレンドのサインとなりそうです。
SKEW指数
SKEWとVIXの関係を示したSKEW/VIXレシオです。
VIXが上昇しSKEWも上昇しました。
SKEW/VIXレシオは移動平均を割り込む直前まで下落しており、こちらも注意が必要です。
債券のボラティリティを示すMOVE指数
独自に作成した米国債イールドカーブ
時系列に整理しました。青が最新日です。
SPYのオーダーフロー
SPYのオーダーフローです。
-253万枚を超える株式の売り圧力がオプション側にありました。
NYダウの下落程にはS&P500が下落しておらず、オーダーフローは平常時と同様プット売りとコール売りが優勢でした。
ATMから-5%のデルタロングはプット売り、ATMから+5%のデルタショートはコール売りと、典型的な形です。
まとめ
NYダウは大きな下げでしたが、S&P500の下げ幅は限定的で、VIX系指標に与える影響は軽微でした。
ただしVVIXの移動平均が上を向いており、今後上値が重い展開となるかもしれません。