VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2023年3月28日(火)の米国市場の様子を分析しています。
米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
日本時間2023年3月28日~3月29日朝の概況
NYダウ、S&P500、NASDAQともに下落しました。
NYダウ
<TradingView提供のチャート>
S&P500
<TradingView提供のチャート>
NASDAQ総合指数
<TradingView提供のチャート>
VIX指数とVIX先物の位置関係
VIX指数は19.97ptと20ptを割り込みました。
第1限月と第2限月のコンタンゴ率は4.66%でした。
<vixcentral提供のチャート>
VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー(コンタンゴかバックワーデーションか)
9DAYはVIX指数より下にあります。
タームストラクチャーは指数も先物もコンタンゴです。
<vixcentral提供のチャート>
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
3月10日のスパイクから徐々に下落してきて指数の順番も正常に戻っています。
幅も広がってきました。
9DAYが16ポイントを割り込むことを期待したいところです。
見てわかるように、スクイーズチャートは幅が広くなった状態が続いた後にしぼんでいくのを繰り返しています。
下落のサインが出るかもしれませんが、広がり始めたところがリスクオンのタイミングと言えそうです。
<TradingView提供のチャート>
VIX/VIX3Mレシオ
0.89ポイントと目安の0.9ポイントを下回っています。
<TradingView提供のチャート>
VVIX/VIXレシオ
VVIXとVIXは9日移動平均を採用しています。
VVIXはVIXのボラティリティなので数値が高くなる傾向があります。
コロナショックの時に高い値を取っていて200近くまで上昇しました。
現在は91ポイントです。
VVIXはVIXオプションから算出している数値です。
VIX指数はS&P500の変動率の予想で、VVIXはVIX指数の変動率の予想です。
VIXオプションが使われるのか、S&P500の下落ヘッジと目的としたプットオプションが買われているのかどちらかです。
ヘッジに使うのにVIXとVVIXのどちらが使いやすいかという観点で考えると、純粋にS&P500のヘッジをするならS&P500のプットを買えば良いのですが、資金効率の観点ではVVIXのほうがボラティリティが高い傾向にあります。
小額資金でレバレッジがかかって利益額が増える可能性がありますので、VIXオプションのほうが買われやすいのかもしれません。
VIXとVVIXの動き方のずれを追うためにVVIX/VIXで指標化できます。
VVIX/VIXレシオの5日平均とS&P500の株価を比較すると相関があるように見えます。
VVIX/VIXレシオが上がるときや下がるときを検証してみましょう。
基本的にVVIX/VIXが底を打って上がるときは株式市場も上昇しています。
株価の上下はなかなか予測できませんので、代用の指標としてVVIX/VIXレシオで予想ができないか考えてみます。
このレシオが上昇しているときは、VVIXが低下していますが同時にVIXも同様に低下して、分母のVIXが小さくなるのでレシオが高くなります。
基本的にレシオが上がるときは両方とも低下している局面です。
VVIXとVIXが両方とも低下しているレシオ上昇局面は安心できるので、株式をロングで保有してもいいかもしれません。
だんだん頭がもたげてくると株式市場も下落してきますので、このタイミングをどう判断するかです。
一方で気を付けなければいけないのは、レシオの上昇が望まれない上昇に変わる局面です。
VVIXが底を打って上昇した時にまだVIXが低下している場面や、両方とも上向きになっているときにレシオが上昇するのは良くないパターンと考えられます。
VVIXが右肩上がりになっている、つまりVIXがまだ下がっている最中にVVIXが上昇しているとレシオが高くなりますので、身構えたほうがいいかもしれないという仮説が生まれます。
翻って今の上昇は両方とも上がっている上昇です。
VVIXのほうがより強く上昇しているのが分かります。
VIXがVVIXよりも下げが大きいからレシオが上がっていくパターンが通常状態とすると、現在はVIXは下がっているのにVVIXが上昇しています。
よって直近のレシオの上昇は株価の変動とは異なる上昇なので、今までの相関とは予測が付かないと解釈でき、注意が必要です。
このようにVVIXの上昇が通常の上昇なのか異常な上昇なのかをVVIXとVIXの相関から見ることができます。
現在はVVIXとVIXが上昇していますがVVIXのほうがより強く上昇しているのでチャートを株式の代用として見ることはできないので注意しましょう。
<TradingView提供のチャート>
SKEW
濃い青がSKEWで薄い青がVIXです。
薄い青のVIXと黒いS&P500は逆相関にあります。
水色と濃い青は完全に逆相関であるとは言い切れませんが逆相関に近いように見えます。
VIXが上がるとSKEWは下がる関係にあります。逆にVIXが低いとSKEWは高い傾向にあります。
よってSKEWが高いから暴落の兆候があるとは言えないように思います。
SKEWの計算方式は複雑で、VIXが高いときはSKEWが低く計算さえるようなので、どうしても逆相関のように算出されます。
ただし今回はVIXが跳ねてSKEWも跳ねました。
コロナショックの状況を見ても、SKEWは下がっているのが分かります。
よって何か起きた後はすでにSKEWは低くなり、何か起きる前は高いです。
しかし高いからと言って必ず何かが起きるということは分かりません。
SKEWは安定しているときに高く出やすい算出方法です。
高いときは下がるかもしれないので暴落の前兆と説明できなくはないですが、ブラックスワン指数が高いから怖いと一概に怯える必要は無いのではないかと考えます。
SKEWの算出にはVIXも含まれているので、VIXとSKEWの乖離が出ているときはSKEW独自の兆候があるかもしれません。
よって2つの指標を比較するために指標化したのがSKEW/VIXレシオです。
基本的にVIXが低いときにSKEWが高まる傾向にあります。
SKEW/VIXレシオは先行指標になるわけではありませんが、VIXが下げ始めてSKEWが上がり始めたということは低いときの場面から判断できるので、VIXの低下とSKEWの上昇のバランスがいいときには上向きになることが多いです。
よって上向きになっている間は株式をロングで持っていられると解釈できるかもしれません。
<TradingView提供のチャート>
SPYのオーダーフロー
<Marchet Cameleon提供>
200万枚超のロングポジションとなっていました。
ポイントは最も多い取引がプット売りに変わりました。前日最も多かったコール売りはボリュームが下がっています。
プット売りの状況が出ているときは相場状況が良いときがあるので、引き続きウォッチングしていく必要があると考えられます。
まとめ
VIX/VIX3Mは0.9を割り、スクイーズチャートも広がっていて安心感はあり、SKEWとVIXの関係では改善しているように見えますがVVIX/VIXレシオが少し心配です。