VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2023年3月27日(月)の米国市場の様子を分析しています。
米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
日本時間2023年3月27日~3月28日朝の概況
NYダウは順調に上昇しましたがS&P500は少し勢いがなくなってきた感じがします。
NASDAQは金利が上昇したためか若干下落して終わっています。
NYダウ
<TradingView提供のチャート>
S&P500
<TradingView提供のチャート>
NASDAQ総合指数
<TradingView提供のチャート>
VIX指数とVIX先物の位置関係
VIXが20.6ポイントまで下がり、20ポイントを割り込む直前まで下がってきました。
9DAYはVIX指数より下にあります。
<vixcentral提供のチャート>
VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー(コンタンゴかバックワーデーションか)
VIX先物のコンタンゴ率も3.59%と平常期に戻りつつあるようです。
昨日のタームストラクチャーは指数も先物もコンタンゴ状態となっています。
<vixcentral提供のチャート>
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
スパイクから元戻りつつあり、9DAYから1YEARまで順番になっています。
幅が開くのを待つところですが、待っていると株価が上昇しきってしまう可能性もあるので
このあたりでリスクオンしても良いかなというタイミングで、NYダウは買いが入っていました。
<TradingView提供のチャート>
VIX/VIX3Mレシオ
VIX/VIX3Mレシオが0.91ポイントとなり、平穏である0.9ポイントを割り込む直前まで下がってきました。
<TradingView提供のチャート>
VVIX/VIXレシオ
VVIXとはVIXオプションから算出されるVIXのボラティリティです。
ちなみにVIXはS&P500の指数SPXのオプションから算出されるボラティリティです。
通常はVVIXとVIXは連動しているのですが、3月10日のSVB(シリコンバレー銀行)とクレディスイスの金融危機の問題で跳ね上がりました。
これが平穏に戻りつつあるような状況です。
VIXは低下していますがVVIXの低下が緩いので、VVIX/VIXのレシオは最近ではまだ高値にいます。
黒いローソクチャートはSPXで、赤い線はVVIX/VIXレシオの5日移動平均です。
実際は株価に連動するはずなのですが、3月10日にはVIXの上昇よりもVVIXのほうがより上昇したのでレシオが高くなりました。
平穏が戻りつつあるときにVIXが先行しているのでレシオが高いままです。
VVIXが落ち着いたら平穏に戻ってきますが、VVIXが高すぎるのでこのレシオを使って相場を予想するのは難しいでしょう。
今見るべきはVIXは下がってきているのでVVIXのプットオプションのボラティリティが落ち着いて90ポイントを割り込めばよいのではないでしょうか。
2つの指標のバランスを見ておくと、市場に変化があるとどちらかが先に動く傾向があります。
先に動きやすいのはVIXなのでレシオの分母が大きくなるので、下落するときにはこのレシオが下がる傾向があります。
現在は相関していないのでVVIXが平穏に戻るかどうかをモニターしましょう。
<TradingView提供のチャート>
SKEW
SKEWはSPXオプションのコールとプットから算出しています。
プットとコールが等しいと100なのですが通常は100を超えているのでプットが買われている証拠です。
通常オプションは対数の正規分布が対称になっていると考えられるのでプットとコールは等しいはずですが、S&P500を運用している人たちがコールを売ってプットを買っているのでSKEWが立つ傾向にあります。
赤のチャートがSPXで青いチャートがSKEWです。
正の相関にあることが分かります。
相場が上昇してくるとプットが買われるのでSKEWも高くなる傾向があります。
別名はブラックスワン指数と言われていて、アウトオブザマネーのオプションが買われるとSKEWの値も高くなるのですが、通常は株価が高いときにSKEWも高くなります。
相場が崩れるとSKEWも低くなる傾向があります。
SPXとSKEWを比較した場合には、差を取ると一緒でも価格に対する高さは株が上がったときに縮みますので、株が下がったときに思ったほどSKEWが低下しないのはこのような理由にあると思われます。
SKEWが高いからと言って相場が崩れるわけではありませんが、相場の安定的な上昇期においてはSKEWが意外と高くなりやすいということを知っておきましょう。
高いからと言って暴落するわけではなく、株が下がるとSKEWが下がる傾向にあるだけであり、先行指標になるわけではありません。
3月10日はプットオプションが大量に買われていた可能性があります。システミックリスクに備えたと考えられます。
通常は相関する指標が今回は相関しなかったという点に注意してウォッチングするのが良いでしょう。
<TradingView提供のチャート>
SPYオーダーフロー
SPYのマーケットセンチメントは220万枚ほどデルタがマイナス方向に傾いているのでオプション的にはベアポジションでした。
355%なので、ETFの投資数総数の3.5倍取引されているのでオプションは無視できないですよね。
原資産をオプションを使って動かしていると言ってもいいでしょう。
中身を見るとコール売りが最も取引されていました。
3月14日と比較するとプット売りが最も取引されていました。
3月14日というのは10日下げて下げ止まったポイントです。
この時にプット売りによってプラスのデルタが1,000万枚買われていました。
<Marchet Cameleon提供>
コールが一番取引された事例としては3月17日にも同じでした。
チャートから推測するといったん利益の確定があったのかと思われます。
オーダーフローのセンチメントはプラスだからと言って必ず上がるわけではありませんが、投資行為として何を行われたのかを推測するにすぎません。
コールを売っているということは、参加者はこれ以上は上がらないだろうと思っている可能性があるので目先下落するのかもしれないので注意しましょう。
コール売りプット買いでSKEWが立っているのはカバードコールがきれいに入っているので、最も取引されているのがプット買いは危険なサインかもしれません。
引き続きウォッチングしていきたいと思います。