VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2022年5月20日(金)の米国市場の様子を分析しています。
【目次】
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
(先物プレミアムか先物ディスカウントか)
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー
(コンタンゴかバックワーデーションか)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
(VIXを視覚的に捉えるチャート)
5. VIXと日経225先物
(夜間の日経225先物トレードに生かすヒント)
6. VIX/VIX3M(VXX売りの指標)
7. VVIX/VIX(市場の不穏な気配を感じるチャート)
8. MOVE指数(債券のVIX)
9.SKEW指数(ブラックスワン指数)
10.米国債金利
【まとめ】
VIX29.43↑(✖)
VIX指数(30D)<先物(第1限月)(▲)
期近先物プレミアム(△) 長期は先物ディスカウント(▲)
VIX指数タームストラクチャー(△)
コンタンゴに戻った
VIX先物タームストラクチャー(▲)
いびつな形
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート (✖)
スパイク(但し改善しつつある)
VIX/VIX3Mレシオ=0.94(△)
VVIX/VIX=3.66↑(✖)
MOVE指数 111.10↓(✖)
SKEW/VIX→+SMA20 ↓(▲)
米国債金利 短期↓ 中期↓ 長期↓
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2022年5月20日~5月21日朝の概況
ダウは+8.77ドル(+0.03%) の31,261.90ドル、S&P500は+0.57ポイント(+0.01%)の3,901.36ポイント、ナスダック総合指数は-33.88ポイント(-0.30%)の11,354.62ポイントでした。ダウ8週連続の下げは90年ぶりとも99年ぶりとも。小売り大手の決算で、燃料費高騰、インフレ、労働賃金の高騰など、企業収益の悪化が明確になり、ここに金融引き締めが重なるわけですから、果たしてこのあと株式市場はどうなるのでしょうか。そのような懸念ものもと、積極的な買いは入りにくく、さすがに下げすぎたところでディフェンシブの一角に買いが入りなんとか持ち直す、そんな展開が今しばらくは続くのでしょう。VIX指数・先物各指標も大変不安定な状態が続いています。もっとも、指数タームストラクチャーはコンタンゴに戻りました。またVIX/VIX3Mレシオは0.95付近を行ったり来たりで1.0を超えるところまでには至っていません。VIXの反応が緩いずるずると下げるパターンで、いわゆるセリングクライマックス(=大底)を探るのが難しい相場展開のようです。
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
VIX指数(30D)=29.43↑(✖) 先物(第1限月)<指数 (▲)
<vixcentral提供のチャート>
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー(コンタンゴかバックワーデーションか)
VIX指数:VIX9D<VIX30D コンタンゴ(△)
VIX先物:いびつな形 (▲)
<vixcentral提供のチャート>
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX先物タームストラクチャーです↓先物までバックワーデーションになると大きなショックの可能性が。
<vixcentral提供のチャート>
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
スパイクも改善しつつある(✖)。
<TradingView提供のチャート>
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートです↓
<TradingView提供のチャート>
2020年2月21日から24日のところで一気に形が変わっている部分の拡大
<TradingView提供のチャート>
5. VIXと夜間日経225先物
白黒ロウソクは日経225先物(12月限)、薄い青がS&P500(E-mini)、黄青のロウソク足がVIX30D、赤緑のロウソク足がVIX9Dです。原資産の動きが先でVIXは後から動きます。VIXは先行指標にはなりません。ただ、VIXは市場参加者が原資産の変動に対してどう判断し、どう反応したかがわかります。
<TradingView提供のチャート>
6. VIX/VIX3Mレシオ
VXXショート戦略のリスク指標の一つです。
VIX30D/VIX3M=0.94↓(△)
<TradingView提供のチャート>
7. VVIX/VIXレシオ
VVIX/VIX=3.66↑(✖)
<TradingView提供のチャート>
VVIX=VIXのインプライドボラティリテイ(IV)
これは先行指標になるのでしょうか?
VVIXもVIXと同じような動きをしているようにみえますが、動き方の比率に微妙にずれが出るため、VVIX/VIXの値が変化します。市場の不穏な雰囲気が、S&P500のプットオプションの買い(VIX)とVIXのコールオプションの買い(VVIX)の微妙な差を生み、その結果じわじわとVVIXとVIXの変動率の違いを生み出していく…。基本的に先に原資産であるS&P500のプットオプションが買われVIXが上がり始めます。そうするとVVIX/VIXレシオが下がり始めます。S&P500のプットオプションの買われ方を単独で見るのではなく、そのプットオプションの買われ方がVIXコールオプションの買われ方に対してどうか、という視点でみることで、相場の不穏な雰囲気を察知できるかもしれないということです。
【一応の基準】
6以上を維持◎(平穏 リスクオン) ※高すぎる値は警戒
5~6○(平穏へ)
~5×(5を割り込むような原資産の下落はちょっと長引く可能性)
【長期チャート】
最低値=2.05(2020年3月12日) 最高値=10.51(2018年1月3日)
<TradingView提供のチャート>
コロナショックの場面(2020年3月12日 最低値=2.05)
<TradingView提供のチャート>
2018年クリスマスショック前後
<TradingView提供のチャート>
2018年VIXショック前後(10ポイントを超えていた 最高値2018年1月3日=10.51)
<TradingView提供のチャート>
8. MOVE指数
MOVE指数=いわゆるVIXの米国債版です(赤)。VIXは青、S&P500先物(ES)が黒のチャートです。米国債市場の不穏な動きを未然に察知するために使えるかもしれません。
111.10↓(✖) 2014年以降でコロナショック時を除き最高値水準にあります。もっとも、MOVE/VIXレシオチャートがその20日移動平均線を超え、移動平均線が上向きになって安定してくるといい展開になる可能性があります。
<TradingView提供のチャート>
9. SKEW
122.32
SKEW/VIXレシオ・移動平均クロス(✖)
⇒上向きにGCすると相場はいい状態に向かいます。現状SKEW/VIXはMA20を下回っています。まだまだMA20も上向きにはなりませんね。
<TradingView提供のチャート>
10. 米国債金利
<TradingView提供のチャート>