VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2022年3月4日(金)の米国市場の様子を分析しています。
【目次】
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
(先物プレミアムか先物ディスカウントか)
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー
(コンタンゴかバックワーデーションか)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
(VIXを視覚的に捉えるチャート)
5. VIXと日経225先物
(夜間の日経225先物トレードに生かすヒント)
6. VIX/VIX3M(VXX売りの指標)
7. VVIX/VIX(市場の不穏な気配を感じるチャート)
8. MOVE指数(債券のVIX)
9. 米国債金利
【まとめ】
VIX31.98(✖)
VIX指数(30D )≒先物(期近)(▲)
先物の急上昇によるので▲とする
VIX指数タームストラクチャー(△)
高位でのややフラットなコンタンゴ
VIX先物タームストラクチャー(✖)
バックワーデーション
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート (✖)
スパイク
VIX/VIX3Mレシオ=0.99(△)
VVIX/VIX=4.00(✖)
MOVE指数 131.82(✖)
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2022年3月4日~3月5日朝の概況
ダウは-179.86ドル(-0.53%) の33,614.80ドル、S&P500は-34.62ポイント(-0.79%)の4,328.87ポイント、ナスダック総合指数は-224.50ポイント(-1.66%)の13,313.44 ポイントでした。雇用統計はまずまずでしたが、ウクライナ情勢の悪化、原油価格高騰、インフレ懸念、景気減速懸念で株は上がりません。米国債が買われ、金利低下で金融株下落。金利低下でもハイテクも下落。なお原油高騰でエネルギー株は買われています。VIX指数(30D)は、また上がって31.98pt、VIX先物とVIX指数はほぼ同じ水準ではありますが、これはVIX先物の急上昇が原因なので不穏な状態。VIX先物バックワーデーション、VIXスクイーズチャートは再度スパイク。債券市場も乱高下が続いています。債券のボラティリティ(MOVE)も相当に高い状態にあります。ただ、過去をみると、VIX指数に対しMOVE指数が大きく上がり、MOVE/VIXレシオがその20日移動平均を超えて安定してくると底打ちする可能性も。
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
VIX指数(30D)=31.98(✖) 先物≒指数だが先物の急上昇による(▲)。
<vixcentral提供のチャート>
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー(コンタンゴかバックワーデーションか)
VIX指数:VIX9D<VIX30D 高位でのややフラットなコンタンゴ(△)
VIX先物:期近>期先 バックワーデーション(✖)
<vixcentral提供のチャート>
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX先物タームストラクチャーです↓先物までバックワーデーションになると大きなショックの可能性が。
<vixcentral提供のチャート>
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
スパイク(✖)。
<TradingView提供のチャート>
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートです↓
<TradingView提供のチャート>
2020年2月21日から24日のところで一気に形が変わっている部分の拡大
<TradingView提供のチャート>
5. VIXと夜間日経225先物
白黒ロウソクは日経225先物(12月限)、薄い青がS&P500(E-mini)、黄青のロウソク足がVIX30D、赤緑のロウソク足がVIX9Dです。原資産の動きが先でVIXは後から動きます。VIXは先行指標にはなりません。ただ、VIXは市場参加者が原資産の変動に対してどう判断し、どう反応したかがわかります。
<TradingView提供のチャート>
6. VIX/VIX3Mレシオ
VXXショート戦略のリスク指標の一つです。
VIX30D/VIX3M=0.99(△) なんとか終値ベースで1.00以下。
<TradingView提供のチャート>
7. VVIX/VIXレシオ
VVIX/VIX=4.00(✖)
ぎりぎり4.0台を維持。このあたりで底を打つ可能性もありますが、今回は、地政学的リスクの後退など良い材料が出れば、といった条件付きでしょうか。今日は原資産は上げましたが、VVIX/VIXレシオはまだ反応が弱いですね。
一般にVIXが先に反応しますので、株価の下落でこのVVIX/VIXレシオの値も下がります。
<TradingView提供のチャート>
VVIX=VIXのインプライドボラティリテイ(IV)
これは先行指標になるのでしょうか?
VVIXもVIXと同じような動きをしているようにみえますが、動き方の比率に微妙にずれが出るため、VVIX/VIXの値が変化します。市場の不穏な雰囲気が、S&P500のプットオプションの買い(VIX)とVIXのコールオプションの買い(VVIX)の微妙な差を生み、その結果じわじわとVVIXとVIXの変動率の違いを生み出していく…。基本的に先に原資産であるS&P500のプットオプションが買われVIXが上がり始めます。そうするとVVIX/VIXレシオが下がり始めます。S&P500のプットオプションの買われ方を単独で見るのではなく、そのプットオプションの買われ方がVIXコールオプションの買われ方に対してどうか、という視点でみることで、相場の不穏な雰囲気を察知できるかもしれないということです。
【一応の基準】
6以上を維持◎(平穏 リスクオン) ※高すぎる値は警戒
5~6○(平穏へ)
~5×(5を割り込むような原資産の下落はちょっと長引く可能性)
【長期チャート】
最低値=2.05(2020年3月12日) 最高値=10.51(2018年1月3日)
<TradingView提供のチャート>
コロナショックの場面(2020年3月12日 最低値=2.05)
<TradingView提供のチャート>
2018年クリスマスショック前後
<TradingView提供のチャート>
2018年VIXショック前後(10ポイントを超えていた 最高値2018年1月3日=10.51)
<TradingView提供のチャート>
8. MOVE指数
131.82(✖) 債券市場のボラティリティは2014年以降でコロナショック時を除き最高値を更新しています。債券価格(金利)の乱高下。
MOVE指数=いわゆるVIXの米国債版です(赤)。VIXは青、S&P500先物(ES)が黒のチャートです。米国債市場の不穏な動きを未然に察知するために使えるかもしれません。
【長期】リーマンショックのすさまじさをみると、コロナショックが小さいスパイクに見えます。
<TradingView提供のチャート>
9. 米国債金利
<TradingView提供のチャート>