VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2022年2月17日(木)の米国市場の様子を分析しています。
【目次】
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
(先物プレミアムか先物ディスカウントか)
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー
(コンタンゴかバックワーデーションか)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
(VIXを視覚的に捉えるチャート)
5. VIXと日経225先物
(夜間の日経225先物トレードに生かすヒント)
6. VIX/VIX3M(VXX売りの指標)
7. VVIX/VIX(市場の不穏な気配を感じるチャート)
8. MOVE指数(債券のVIX)
9. 米国債金利
【結論】
VIX28.11(▲)
VIX指数(30D )>先物(期近)(▲)
先物ディスカウント
VIX指数タームストラクチャー(○)
コンタンゴ
VIX先物タームストラクチャー(▲)
バックワーデーション
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート (▲)
スパイク
VIX/VIX3Mレシオ=0.96(△)
VVIX/VIX=4.79(▲)
MOVE指数 96.17(▲)
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2022年2月17日~2月18日朝の概況
ダウは-622.24ドル(-1.78%) の34,312.03ドル、S&P500は-94.75ポイント(-2.12%)の4,380.26ポイント、ナスダック総合指数は-407.38ポイント(-2.88%)の13,716.72 ポイントでした。ウクライナ情勢の緊迫から全面的に売られました。VIX指数(30D)は危険水準の25pt超(28.11pt)。VIX指数と先物の上下関係は先物の方が低い先物ディスカウントの状態です(不穏)。VIX先物タームストラクチャーは反応して、不穏なときのバックワーデーション化。スクイーズチャートも再度スパイクへ。
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
VIX指数(30D)=28.11(▲) 先物ディスカウント(▲)。
<vixcentral提供のチャート>
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー(コンタンゴかバックワーデーションか)
VIX指数:VIX9D<VIX30D コンタンゴ(○)
VIX先物:期近>期先 バックワーデーション(▲)
<vixcentral提供のチャート>
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX先物タームストラクチャーです↓先物までバックワーデーションになると大きなショックの可能性が。
<vixcentral提供のチャート>
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
再度スパイク(▲)。
<TradingView提供のチャート>
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートです↓
<TradingView提供のチャート>
2020年2月21日から24日のところで一気に形が変わっている部分の拡大
<TradingView提供のチャート>
5. VIXと夜間日経225先物
白黒ロウソクは日経225先物(12月限)、薄い青がS&P500(E-mini)、黄青のロウソク足がVIX30D、赤緑のロウソク足がVIX9Dです。原資産の動きが先でVIXは後から動きます。VIXは先行指標にはなりません。ただ、VIXは市場参加者が原資産の変動に対してどう判断し、どう反応したかがわかります。原資産の下落中にVIXもどんどん上がっていきました。こうなると原資産の下落はトレンドが出ますね。
<TradingView提供のチャート>
6. VIX/VIX3Mレシオ
VXXショート戦略のリスク指標の一つです。
VIX30D/VIX3M=0.96(△) 1.00を超えてくるか。1.00を超えてきたらしばらくは下げがきついかもしれません。
<TradingView提供のチャート>
7. VVIX/VIXレシオ
VVIX/VIX=4.79(▲) 5ptを割り込んでしまいました。少し身構える必要がありそうです。
なお、目先4.5を割り込むと底を打つ可能性がありますが果たしてどうでしょうか。
一般にVIXが先に反応しますので、株価の下落でこのVVIX/VIXレシオの値も下がります。
<TradingView提供のチャート>
VVIX=VIXのインプライドボラティリテイ(IV)
これは先行指標になるのでしょうか?
VVIXもVIXと同じような動きをしているようにみえますが、動き方の比率に微妙にずれが出るため、VVIX/VIXの値が変化します。市場の不穏な雰囲気が、S&P500のプットオプションの買い(VIX)とVIXのコールオプションの買い(VVIX)の微妙な差を生み、その結果じわじわとVVIXとVIXの変動率の違いを生み出していく…。基本的に先に原資産であるS&P500のプットオプションが買われVIXが上がり始めます。そうするとVVIX/VIXレシオが下がり始めます。S&P500のプットオプションの買われ方を単独で見るのではなく、そのプットオプションの買われ方がVIXコールオプションの買われ方に対してどうか、という視点でみることで、相場の不穏な雰囲気を察知できるかもしれないということです。
【一応の基準】
6以上を維持◎(平穏 リスクオン) ※高すぎる値は警戒
5~6○(平穏へ)
~5×(5を割り込むような原資産の下落はちょっと長引く可能性)
【長期チャート】
最低値=2.05(2020年3月12日) 最高値=10.51(2018年1月3日)
<TradingView提供のチャート>
コロナショックの場面(2020年3月12日 最低値=2.05)
<TradingView提供のチャート>
2018年クリスマスショック前後
<TradingView提供のチャート>
2018年VIXショック前後(10ポイントを超えていた 最高値2018年1月3日=10.51)
<TradingView提供のチャート>
8. MOVE指数
96.16(▲) 債券市場のボラティリティは2014年以降でコロナショック時を除き最高値圏にあります。
MOVE指数=いわゆるVIXの米国債版です(赤)。VIXは青、S&P500先物(ES)が黒のチャートです。米国債市場の不穏な動きを未然に察知するために使えるかもしれません。
【長期】リーマンショックのすさまじさをみると、コロナショックが小さいスパイクに見えます。
<TradingView提供のチャート>
9. 米国債金利
<TradingView提供のチャート>