VIXの様子を視覚的にわかりやすくした独自のVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートや、VIX/VIX3Mレシオ、VVIX/VIXレシオ、MOVE指数、米国債金利等を用いて2023年1月6日(金)の米国市場の様子を分析しています。
【目次】
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
(先物プレミアムか先物ディスカウントか)
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー
(コンタンゴかバックワーデーションか)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
(VIXを視覚的に捉えるチャート)
5. VIXと日経225先物
(夜間の日経225先物トレードに生かすヒント)
6. VIX/VIX3M(VXX売りの指標)
7. VVIX/VIX(市場の不穏な気配を感じるチャート)
8. MOVE指数(債券のVIX)
9.SKEW指数(ブラックスワン指数)
10.米国債金利
【まとめ】
VIX21.13(△)
VIX指数<先物(〇)
先物プレミアム
VIX指数タームストラクチャー(△)
9Dバックワーデーション
VIX先物タームストラクチャー(〇)
コンタンゴ
短期先物指数コンタンゴ率=3.38% 中期先物指数コンタンゴ率(1ヶ月換算)=1.59%
VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート (▲)
不安定な形状
VIX/VIX3Mレシオ=0.91↘(△)
VVIX/VIX=3.49↗(✖)
MOVE指数=113.87↘(▲)落ち着きを取り戻しつつある
SKEW/VIX(5.39)↗+SMA20(5.19)↘(△)GC(高い位置でのGCなので注意)
米国債金利 1年↘ 2年↘ 中期↘ 長期↘ 超長期↘
(1年>2年>20年>5年>30年>10年=3.560% 逆イールド)
1. 米国株式市場概況(NYダウ、S&P500、ナスダック総合指数)
日本時間2023年1月6日~1月7日朝の概況
前日のADP雇用統計同様、本日の雇用統計でも非農業部門の雇用者数が前月比22万3000人増と市場予想20万人増を上回りましたが、一方で、平均時給が前月比0.3%増にとどまり(市場予想0.4%増)、賃金インフレの鈍化が示されました。また、ISM(米サプライマネジメント協会)が発表した22年12月の非製造業景況感指数は市場予想55.1を下回り49.6と、前月(56.5)から大きく下げました。労働市場のひっ迫の鈍化、経済指標の弱含みで、FRBの金融引き締め減速の可能性が出てきたとの見立てから、金利は全体的に大幅に低下し、ハイテク・景気敏感株が買われました。
重要経済指標通過でVIX9Dは落ち着いてきました(但しバックワーデーション)。VIX/VIX3M、SKEW/VIXなど複合指標も改善の兆しがでてきています。もっとも、VVIX/VIXはまだまだ好転までの道のりは遠い状態です。
なお、SPYオプションから算出される平均30日のIVはプットサイドが52週平均よりも低い状態が続いています。プット売り(カバードプット含む)が多い模様です。
NYダウ 33,630.62ドル +700.53(+2.13%)
S&P500 3,895.07pt +86.98(+2.28%)
NASDAQ総合指数 10,569.29pt +264.05(+2.56%)
2. VIX指数とVIX先物の位置関係
VIX指数(30D)=21.13(△)
指数<先物 先物プレミアム(〇)
短期先物指数コンタンゴ率=3.38% 中期先物指数コンタンゴ率(1ヶ月換算)=1.59%
3. VIX各指数とVIX先物のタームストラクチャー(コンタンゴかバックワーデーションか)
VIX指数:9Dバックワーデーション(△)
VIX先物:コンタンゴ(〇)
4. VIX指数タームストラクチャースクイーズチャート
不安定な状態(▲)
【比較】ちなみに、これがコロナショックのときのVIX指数タームストラクチャースクイーズチャートです↓
<TradingView提供のチャート>
2020年2月21日から24日のところで一気に形が変わっている部分の拡大
<TradingView提供のチャート>
5. VIXと夜間日経225先物
赤ラインは日経225先物(12月限)、薄い青ラインがS&P500(E-mini)、黄青のロウソク足がVIX30D、赤緑のロウソク足がVIX9Dです。原資産の動きが先でVIXは後から動きます。VIXは先行指標にはなりません。ただ、VIXは市場参加者が原資産の変動に対してどう判断し、どう反応したかがわかります。
6. VIX/VIX3Mレシオ
VXXショート戦略のリスク指標の一つです。
VIX30D/VIX3M=0.91↘(△)
7. VVIX/VIXレシオ
VVIX/VIX=3.49↗(✖)
VVIX=VIXのインプライドボラティリテイ(IV)
これは先行指標になるのでしょうか?
VVIXもVIXと同じような動きをしているようにみえますが、動き方の比率に微妙にずれが出るため、VVIX/VIXの値が変化します。市場の不穏な雰囲気が、S&P500のプットオプションの買い(VIX)とVIXのコールオプションの買い(VVIX)の微妙な差を生み、その結果じわじわとVVIXとVIXの変動率の違いを生み出していく…。基本的に先に原資産であるS&P500のプットオプションが買われVIXが上がり始めます。そうするとVVIX/VIXレシオが下がり始めます。S&P500のプットオプションの買われ方を単独で見るのではなく、そのプットオプションの買われ方がVIXコールオプションの買われ方に対してどうか、という視点でみることで、相場の不穏な雰囲気を察知できるかもしれないということです。
【一応の基準】
6以上を維持◎(平穏 リスクオン) ※高すぎる値は警戒
5~6○(平穏へ)
~5×(5を割り込むような原資産の下落はちょっと長引く可能性)
8. MOVE指数
113.87(▲)↘ 落ち着きを取り戻しつつある
MOVE指数=いわゆるVIXの米国債版です(赤)。VIXは青、S&P500先物(ES)が黒のチャートです。米国債市場の不穏な動きを未然に察知するために使えるかもしれません。
9. SKEW
113.86↗
SKEW/VIXレシオ・移動平均クロス(△)GC
SKEW/VIX(5.39)↗ MA20(5.19)↘
10. 米国債金利