[mathjax]アメリカの金利があがると、米国債は下がります。
では、その下落幅はいくらになるかということが、実は予測できます。
答えは、金利が0.5%上がると、30年米国債価格は8.406下落します。
8.41というのは100で国債を購入した場合、91.594になりますので、1000ドルで購入していたら、915.94ドルに下落するということです。
それがわずか0.5%の金利上昇で起きるのです。
ここでは通常の債券で計算をしてみましょう。STRIPS債になると現在割引価値というややこしい計算が含まれるので、まずは単純化します。
米国債価格を示す公式
米国債に投資する場合には米国債の利回りが重要ですよね。
米国金利が上昇すると米国債の金利も上昇します。
金利が上昇すると、債券の価格が下がります。
その価格変動を計算で求める式を前回の記事で紹介しました。
$$国債価格=\frac{(100+購入時利率×残存年数)}{(100+現在の利率×残存年数)}×100$$
この計算式を理解していれば、利上げによって値下がり幅がどの程度になるか把握できるようになる、すぐれものの計算式です。
そしてアメリカが利上げすると、どうして米国債の価格が下がるのかも、この式が表しています。
金利が0.5%上昇し、1年経過した後の国債価格
では冒頭の100が91.59に低下した計算をします。
例えば購入時の利率は2%、残存期間(分母、分子とも)は29年、現在の金利は2.5%を入れて計算します。
$$国債価格=\frac{(100+2×29)}{(100+2.5×29)}×100=\frac{158}{172.5}×100=91.594$$
このように、金利がわずか0.5%上昇するだけで、100の国債が91.594にまで低下します。
でも、1年経過したということは、通常の国債の場合は金利をもらっています。
金利が2%ついていますので、2は金利でお金をもらっている状態です。
よってポートフォリオ全体では91.594の国債と2の金利、つまり93.594でおさまっていると解釈もできます。
100の国債を保有して93.594に低下しているので、6.406分値下がりして含み損を抱えているということです。
「おいおい、わずか0.5%の金利上昇で1割弱の毀損なの?」
と思うかもしれませんが、目先の損益に惑わされてはいけません。
我々は30年満期の国債を購入しているので、基本的には満期まで保有します。
満期には必ず100で返ってきます。
そういう約束でお金をアメリカに貸していますからね。
なので、目先金利が上昇して国債価格が下がっても、時間が経過すればかならず100に近づきます。
「右肩上がりの価格チャート」
という夢の様なチャートが描けるのが、国債です。
まとめ
国債価格は満期で必ず100になるので、右肩上がりのチャートになる。
価格の算出は$$金利変動後の国債価格=\frac{(100+購入時利率×残存年数)}{(100+現在の利率×残存年数)}×100$$
で表される。
この記事を読まれた方は、米国債のゼロクーポン債「STRIPS債」を購入する方法も併せてお読みください。