VXXショートを低コストで実現するにはIB証券が最適

  • VXX
投稿者名:金森 雅人

アメリカ市場で取引されている、VIXに連動した銘柄であるVXXをショートしたい場合、日本にいながら投資できる商品は大きく3つあります。

  1. インタラクティブブローカーズ証券(IB証券)を利用して、直接VXXをショートする
  2. サクソバンク証券を利用して、VXXに連動したCFD銘柄をショートする
  3. 国内ネット証券会社を利用して、三菱UFJ国際投信発行の上場投資信託「国際のVIX短期先物指数(証券コード1552)」をショートする

すでに国内ネット証券口座を持っていたら、一番取り組みやすいのは国内証券会社で取引可能な1552を信用売りするのが簡単でです。

しかし信用取引の売りで気をつけなければいけないのが逆日歩です。

1株あたり1日当たり費用を請求されるため、場合によっては本来の目的であるVXXショートによる利益を吹き飛ばしてしまうほどの危険性があります。

この逆日歩リスクを避けるには、逆日歩が付かないIB証券のVXXか、サクソバンク証券のCFDを利用するのがお勧めです。

証券会社の特徴を整理しました。

  IB証券LLC口座 サクソバンク証券 国内証券会社
言語 英語 日本語 日本語
通貨 ドル ドル建て円決済
取引形態 取引所取引 相対取引 取引所取引
為替の影響 あり あり あり
口座維持手数料 月10ドル

180日間で1万円

※2017年6月に廃止

なし
株価データの購読 10ドル 無料 無料
売買銘柄 VXX(ETN) VXX連動CFD VXXと同じ目論見で、三菱UFJ国際投信発行ETF
現在の株価 17.61ドル 17.51~17.52ドル 126円
取引手数料 1ドル~ 10ドル~ 300円程度~
取引時間 23:30-6:00 23:30-6:00 9:00-15:00
維持コスト 貸株料

貸株料

CFD調達コスト

貸株料

逆日歩

貸株料レート 2.9% 4% 上限無し
証拠金 30%→200% 20%→40% 30%または30万円

※2017年12月時点でIB証券の証拠金はおおむね200%、サクソバンク証券の証拠金は40%になっています

この記事では3つの主な証券会社とその特徴、そして維持コストを比較します。

私は総合的に判断してIB証券を選択していますので、あなたもこの記事を読むことでどの証券会社が最も良いか選べるようになります。

証券会社を選んでVXXをショートし、利益を狙いましょう!

インタラクティブブローカーズ証券(IB証券)

ドル運用に最適な証券会社

まずVXXをショートする場合にはIBLLC口座の開設が必要となります。
3社のうち、IB証券のみがVXX銘柄を直接売買できます。

口座はドル建てになりますので、ドルで資金を保有することになります。円で資産を保有してもドルを借りる状態となりますので円建てが可能ですが、取引や手数料などは全てドル表記となります。

取引形態は取引所取引であり、買いたい人と売りたい人がそれぞれ価格を提示して合致する価格で約定することになります。

流動性については、世界中の投資家や企業がヘッジ目的で購入したり非常に活発に取引されているので、買い気配値と売り気配値の幅が非常に小さくなっています。

為替の影響については、ドル建て資産をドルで取引するので、VXXの株価自体に為替の影響はありません。日本人が決済したときには課税所得の計算上、為替の影響が生じます。

口座維持手数料については、基本的に10ドルかかります。
ただし各種銘柄を取引した際の手数料が月10ドルを超えていた場合には口座維持手数料がかかりませんので、最低10ドルかかると考えておきましょう。

また、株価データの購入が必要です。購入しない場合は遅延データの表示となり、リアルタイムの株価ではありません。
このデータ購入は月10ドルかかります。遅延データの状態で取引することも可能です。

このデータ購読料は海外では広く一般的に採用されており、日本の証券会社が無料で提供しているのが世界的に見て特殊のようです。

英語が主体のツールを利用しますが、サポートは日本の東京03で受け付けており、電話口で対応するスタッフは全員日本語で対応してくれるので英語が分からなくてもサポートデスクに電話することでほぼ解消することが出来ます。
日本語に不自然な点は無いので、恐らく全員日本人だと思われます。

対象銘柄のVXXを直接取引できる

IB証券ではVXXを直接取引することが出来ます。
このVXXは上場投資債権(ETN)となり、国内の株やETFと同様の上場株式の譲渡所得に該当します。

現在の株価は18ドル近辺となっており、取引手数料は1ドル~となっています。1銘柄から取引することが可能です。

時間外のため気配数量は出ておりませんが、ザラ場中の流動性は充分です。

維持コストは貸株料のみ

IBLLC口座のマージン口座なら、VXX株を保有していなくてもショートすることが出来ます。
マージン口座は証拠金取引が出来ますので、株をショートし証拠金を預けることになります。

なお、キャッシュ口座では株のショートが出来ません。

VXXをショートする際に発生する費用は貸し株料として年間2.9%となっています。
そのほかに発生する維持コストはありません。

必要証拠金は30%

株を信用売りしているので、オーバーナイト(日をまたぐ)する場合には、証拠金は保有総額の約30%を拘束されます。
この証拠金は拘束されるだけで、支払っているものではありません。

※2017年12月時点でIB証券の証拠金はおおむね200%になっています

サクソバンク証券

初めてのドル建て運用商品を扱うのに最適

サクソバンク証券では豊富なCFD商品を扱っており、ドル建ての商品を資産運用することができます。

ただしドル建てであっても自己資金は円で保有しているので、取引の都度、時価で為替レートで換算して決済されます。

つまりドル建てのようでありながら円建てで投資できるのが特徴です。

英語表記もところどころありますが、カタカナ変換されていたり日本人向けにカスタマイズされています。
本社は神谷町から虎ノ門に移転し、移転後に何度か私も訪問したことがあります。

CFDはデリバティブ商品の一種であり、所得区分は雑所得の申告分離課税となります。

先物や日経225オプション、FXと同類の区分になるため、同じ所得で損益通算が可能です。
ただし株の売買で得られる譲渡所得とは区分が異なりますので損益通算は出来ません。

取引形態は相対取引なのが特徴です。

通常、株は取引所取引として買い気配と売り気配があり、自分の注文を発注す売るのですが、CFDは相対取引になります。相対取引とは、個人投資家が対サクソバンク証券と取引をします。

FXで一般的に採用されてる取引タイプです。

相対取引の特徴は、取引所取引と異なり板による気配値の考えがありません。

BidとAskの値段が提示されていて、その価格に応じるかどうかを選択します。

BidとAsdにより売り気配値と買い気配値が提示されており、銘柄をロングしたい場合はBidの価格で、ショートしたい場合はAskの価格でショートすることになります。

取引所取引と異なり若干不利な価格になりますが、気配値にぶつけますので流動性の心配がありません。

口座維持手数料については、180日以上の取引がないと1万円徴収されます。
この手数料発生タイミングは、最終取引日から180日間ではなく一定期間中の取引実績になります。

株価データの購入はIB証券と異なり必要ありません。

VXX連動CFD商品

現在の株価は18ドルと、本物のVXXとほぼ同等の株価となっていますが、実態はCFD商品なので、純粋なVXX株の取引ではありません。

株の代用としてCFD取引をしているので、CFD調達コストが別途発生し、また所得区分も雑所得となっています。
デリバティブに該当しますので雑所得の申告分離課税として、日経225オプションや先物と同じ区分になります。

口座は円建てですが、発注のポジションサイズや価格はドル表記です。

毎回決済のたびに時価でサクソバンクが円建てに両替しているので、投資家は日本円で取引しているイメージで売買することが出来ます。

手数料は一律10ドルからとなっており、枚数によって10ドル以上の手数料が発生します。

株価はIB証券とほぼ同額で、ドル表示です。

相対取引のためIB証券の気配と比べてBidとAskが若干広がっていますが、VXX自体は非常に流動性の多い銘柄なので、非常に小さいスプレッドになっています。

本日(時間外)は17.51ドルのビッドと17.52ドルのアスクが提示されています。

維持コストはCFD調達コストと貸株料

維持コストはCFDを調達するコスト(オーバーナイト金利)と、貸株料がかかります。

現在のサクソバンク証券ではVXXをショートするためのCFD調達コストが年間3%かかります。

貸株料は年間4%となっているので、IB証券の2.9%よりも割高となっています。

必要証拠金は20%

必要証拠金は20%となっています。

サクソバンク証券では証券口座の「V」が付く口座番号に入金している資金は全て証拠金として計算するので、ショートしたいVXXの時価総額に対して20%の証拠金で保有できることになりますので、資金効率を高めることが可能です。

※2017年12月時点でサクソバンク証券の証拠金は40%になっています

国内証券会社で1552を売る

すでに開設済みの国内証券口座で取引可能

国内証券会社の特徴は、すでにほとんどの投資家が開設している口座で取引が出来ることです。

信用取引となりますので信用口座開設が必要となりますが、証券会社によっては即時開設することもできるのですぐに信用売りを始めることができるようになります。

VXXに連動している商品として「国際のVIX短期先物指数(証券コード1552)」を商品ラインナップに加えている証券会社で、信用取引が出来る証券会社ならすぐに注文できます。

通貨は当然円で扱い、取引所取引となりますのでIB証券と同様の気配値が提示されています。

株価は為替レートで換算した円表示なので、為替の影響はあります。
為替の影響を受けた銘柄を、為替の影響がない日本円で取引するということになります。

利用する証券会社によりますが、口座維持手数料やデータ購読料はかからないことが多いでしょう。

信用売りになりますので、課税区分はIB証券と同じ譲渡所得の申告分離課税となっています。

対象銘柄はVXXと同じ目論見のETF商品

扱う商品は三菱UFJ国際投信が発行している上場投資信託「国際のVIX短期先物指数(証券コード1552)」となります。

よってVXXに完全に連動しているわけではありませんが、VIX短期先物指数と連動させるというETFの運用目論見がVXXと全く同じなので、ETFを維持するファンドマネージャーがVXX同様の動きとなるように調整をしています。
よってほぼ連動している考えられます。

株価は現在は120円です。
手数料は各証券会社に準じます。株取引と同額相当で非常に安価なところが多いでしょう。

ETFは東証に上場されているので、取引時間は通常の株と同様の9:00-15:00となっています。

現在の松井証券で見た株価です。

こちらに目論見が書かれています。

当ファンドは、円換算した「S&P 500 VIX 短期先物指数」に連動する投資成果を目指すものであり、円換算した「VIX指数」に連動する投資成果を目指すものではありません。

当ファンドは、中長期的には時間的価値の減価などによる影響を受ける傾向があると考えられます。

VIX指数が変動を繰り返して元の水準に戻った場合でも、ファンドの基準価額が元の水準に戻るとは限りません。

維持コストで大きなリスクの逆日歩

国内証券の信用取引の売りに関しては、貸株料に加えて、信用取引に発生する逆日歩があります。

逆日歩とは、信用取引の際に発生するコストであり、株を持っていない人がその株を空売りする際に株を借りてきた金利に応じて支払うコストとなります。

今回の1552は、日経新聞社の「国際のETF VIX短期先物指数 (1552) 逆日歩・貸借残※」で逆日歩情報を取得することが出来ます。
※現在はリンク切れにより表示できません。

通常は逆日歩がかかりません。

しかし、VIX系取引の最大のリスクは、VIXが暴騰することです。

この際に、VIXが暴騰したあとには元に戻る性質があることから、VXXをショートする(信用売り)する人が急増します。

そうすると、証券会社が保有している買い玉の枚数よりも、投資家がショートする売り玉の方が多くなるために、逆日歩が発生します。

この逆日歩の値については、上限がありません。
証券会社は投資家が1552を売るために証券会社が借りてきた1552を売り、その調達金利分は投資家の自己負担として転嫁されます。

実際に過去どのくらいに高くなったのかは、WEBサイトで検索するといくつかヒットしますが、1株あたり1万2千円という記載を見つけることが出来ます。

この当時の計算と今では株価が異なるために単純に比較は出来ませんが、同じ割合だけ逆日歩が発生するリスクがあると考えておいたほうが良いでしょう。

それと同じだけの逆日歩を要求される可能性があるということです。

現在の株価が120円なので、何割取られるリスクがあるかは計算により求められます。

なお、逆日歩は1日あたりです。

IB証券の貸し株料は年間2.9%であり、サクソバンク証券の年間4%に比べると、割合では非常に高額になる可能性があります。
しかし、何も起きない相場なら逆日歩は発生していません。

このあたりのリスクを考慮する必要があります。

保証金は最低30万円から

信用売りをする場合には、最低保証金が30万円からとなっています。

よって、1枚だけ信用売りする場合でも30万円を預けることになります。

IB証券が最も手数料と維持コストが安い

比べて分かることは、IB証券が最も手数料と維持コストが少ないということです。(2017年2月時点の比較)

国内証券会社も現在は逆日歩がかかりませんが、いつ発生するか読めない上に、上限が決まっていないので株が足りなくなればなるほど逆日歩の要求額も多くなります。

よってIB証券かサクソバンク証券で取引することが安心ですが、手数料や貸株料を考慮すると最も低コストで最もお勧めはIB証券となります。

IB証券ではサポートデスクは全て日本語で対応してくれるので、困ったときも日本語で質問することが出来ます。

ただし操作画面や通知で英語を利用する場面が多いため、CFD調達コストを支払ったり高めの貸し株料を支払っても国内証券会社の安心感を得たいという場合には、サクソバンク証券が良いでしょう。

サクソバンク証券ではほぼ日本語で構成されており英語もカタカナに変換されている記述も多いです。

それでも国内証券会社で1552を扱う場合

それでも国内証券会社で取引する際には、逆日歩が発生する取引をしないことが重要です。

つまり相場が急変すると思ったら逃げることです。

逆日歩が発生するタイミングで保有していると費用を徴収されてしまうので、危険を察知したら速やかに手仕舞いをするほうが良いでしょう。

このコストを考慮しないで長期保有を目論んでいると、万が一逆日歩が発生したときに本来のVXX下落による利益を吹き飛ばしてしまう危険があります。

まとめ

IB証券では最も手数料や維持コストが少なく、取引所取引で注文することが出来ます。

サクソバンク証券は日本円でドル建て取引を出来るので時価で為替換算されており、CFD商品を取引できるが、手数料や維持コストはIB証券よりも高い傾向にあります。

国内ETFでは、逆日歩が発生し、予測コストをあらかじめ算出できないためリスクが高く、また保証金は最低30万円からとなっています。

各社の特長を生かしてVXXをショートしましょう。

なお、IB証券やサクソバンク証券でVXXをショートする際の貸株料についてはVXXを「カラ売り」して毎年20%超の減価を利益にする方法で解説しています。

 

 

 

 

※当ブログは筆者の個人的な見解を示すものにすぎません。掲載しているデータの収集とその分析についても、筆者の個人的な視点に基づく分析であり、その有効性を保証するものではありません。解説においては、筆者の独自の視点で学習目的のために事例を簡略化している場合があるため、資料の中で紹介される事例は実際の相場とは異なる場合があります。取引事例についても、完全に再現しているものではなく、かつ、その有効性を担保するものではありません。また、本資料に含まれる記述や情報については十分精査しておりますが、その内容に関して筆者は一切責任を負いません。

※当ブログは過去の市場分析と戦略案を検討するものでありますが、取り上げている投資戦略についてはシミュレーション上のものであり、確実にそのような結果が出ることを示すものではありません。また、相場状況によっては損失が出ていた可能性も十分にあり得ます。当該シミュレーション結果が解説の中で説明した戦略の優位性や利益を保証するものではありません。よって、その内容を将来に当てはめて利益が出ることを保証するものではありません。投資手法の有効性などにつきましては、読者の皆様において十分に内容をご精査いただき、商品の特性、取引の仕組み、リスクの存在、手数料等を十分にご理解いただいたうえで、ご自身の投資判断と責任でお取引いただくようお願いします。

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