あなたは、アットザマネーのオプション銘柄を、安く買う事が出来たらいいなと思ったことはありませんか?
アットザマネーはオプション銘柄の中でも一番時間価値が残っている銘柄のため、割高で買いにくいと感じるかもしれません。
そんなアットザマネーのオプションを安く買うことが出来る方法があります。
それがweeklyオプションです。
weeklyオプションを活用すると、わずか1週間の短期ヘッジポジションをいつでも安く組成する事が出来るので、イベントドリブンを狙った戦略として有効です。
weeklyオプションを解説した動画を閲覧して、weeklyオプションについて理解を深めてください。
上記サイトにて他の動画も閲覧できます。
そこでこの記事ではweeklyオプションを使ったイベントドリブン時の買い戦略として、動画でも登場した日経225miniを併用したポジティブガンマ戦略を解説します。
あなたも新たな収益チャンスを実現するために、weeklyオプションでイベントドリブン投資にチャレンジしてみませんか?
weeklyオプションのメリットは金額が安価
オプションは額面の1000倍が実際の取引価格になります。
オプションプレミアムが100円と表示されている場合は100円×1000倍=10万円のポジションサイズとなります。
例えばアットザマネーのオプションが300円の場合は、実質1000倍の30万円の価値があるオプションを買うことになります。
もしオプションを学び始めて日が浅い投資家の場合には、オプションの値動きを体感する練習としてアットザマネーのオプションを取引してみることをお勧めしますが、30万円を投資するのは少し金額が張ると感じるかもしれません。
アットザマネーのオプションは満期に近づくまではなかなか価格が下がらないからです。
アットザマネーとは日経平均株価に近い権利行使価格の事を言い、時間的価値が高いという特徴があります。
日経225先物には日経225miniがあり、サイズは先物の1/10で取引できますが、オプションにはminiサイズの銘柄がありませんので、1000倍サイズのオプションでいかにコストを抑えて取引するかを考えないといけません。
そのため、300円はサイズが大きすぎると感じる場合には、アットザマネーを避けて似た値動きになるオプションを買うことを検討することになります。
そこで同一満期のオプションの中でも権利行使価格を遠ざけた安いプレミアムのオプションを選択をすることが多くなります。
このようにしてオプションの初心者はアットザマネーを避ける傾向が強くなるのですが、オプションはアットザマネーの値動きと、日経平均株価から遠く離れた権利行使価格のオプションでは、その値動きに違いがあります。
アットザマネーのオプションの値動きのほうが、時間的価値の減少が大きい一方、日経平均が変動した時のプレミアムの増加量が大きい傾向にあります。
したがって、安いからと言って権利行使価格が遠いオプションを選んでしまうと、日経平均が大きく変動してもプレミアムにはほとんど変化が無く、せっかく予想が当たっても利益にならないこともあります。
出来るだけアットザマネーを取引してプレミアムの変化を体感するほうが、オプションの特徴を掴みやすいといえます。
そこで、オプションプレミアムが安くてアットザマネーのオプションを扱える銘柄があったら扱いやすい、という投資家のニーズに応えた商品が、weeklyオプションになります。
weeklyオプションのプレミアムが安い理由は、満期までの日数が短いオプションを選択できる点にあります。
決して割安で放置されているというわけではなく、残存日数が短いために時間的価値がほとんど残っていない銘柄を選択できるのです。
weeklyオプションとは第2金曜日以外の金曜にSQを迎えるオプション
通常のオプション(ここではweeklyに対してマンスリーと呼ぶことにします)は毎月第2金曜日がSQ日となっています。
このマンスリーオプションの残存日数が短くなってオプションプレミアムが低下するのは、満期が近づいた月初しかありません。
それに対して、weeklyオプションとは、第2金曜日以外の金曜日に満期を迎えるオプションを指します。
例えば今月は12月8日がマンスリーオプションの満期ですが、12月15日満期のオプションをweeklyオプション(1w12C20000などと表現します)と呼びます。
12月22日満期のweeklyオプション(2w12C20000)もあり、12月29日満期のweeklyオプション(3w12C20000)もあります。
マンスリーオプションは月に1日だけしかSQがありませんが、weeklyオプションは各週金曜(金曜が祝日の場合は木曜日)にSQが設定されているオプションが存在しますので、マンスリーオプションに比べて実に3~4倍近くのweeklyオプション銘柄が存在することになります。
だから月の中旬でも、下旬でも、いつでも満期まで残存日数が短いオプションを選択する事が出来るのです。
weeklyオプションと言っても、取引可能となるのは数ヶ月前から出来ますので、取引可能な期間が1週間しかないわけではありません。
銘柄が増えて満期の近い銘柄が必ず存在するため、オプションプレミアムを抑えた取引を実現できるオプションとなっています。
実際には満期直前の銘柄の取引量が多いため、多くの人は期近のオプションの満期が到来したら翌週のweeklyオプションに乗り換ます。
よって取引の流動性も期近のオプションに集中しています。
ただ、明らかに分かっているイベントが控えているときは、思惑から数週間後にSQが到来するweeklyオプションに取引が集中することもあるでしょう。
このように投資家の選択肢が4倍近く増えて1週間満期で細かくトレードできるのがweeklyオプションとなります。
weeklyオプションでもマンスリーオプションと同一のデルタ
オプションプレミアムが低くて始めやすいということは、プレミアムが低い分、日経平均株価との反応が悪かったりデメリットがあるのではないかと感じてしまうかもしれませんが、そうではありません。
日経平均株価に一番近いアットザマネーのオプションのデルタを比較すると、マンスリーオプションと同じで、コールのデルタは0.5、プットのデルタは-0.5になります。
つまりマンスリーオプションとweeklyオプションのどちらを買っても、日経平均の変動に対するオプションプレミアムの感応度は同じになっています。
つまり同じデルタ0.5(または-0.5)のポジションを持ちたい時に、プレミアムを抑えた取引を実現できる可能性がweeklyオプションには秘められているのです。
通常は満期の近いアットザマネーのweeklyオプションは、満期の遠いアットザマネーのマンスリーオプションを買うよりも安くなっています。
このような特徴を持ち、1週間で決着が付いてさらに安いプレミアムで始められるのがweeklyオプションなのです。
「weekly」オプションと名前が付いていますが、わずか1週間限定のオプションがあるわけではなく、投資家にとってweeklyで細かくヘッジを掛ける事ができるようになったオプション銘柄のことをweeklyオプションと呼んでいます。
これがweeklyオプションの概要です。ではこのオプションを使って地政学リスクが高まった際の取引について解説します。
リスクが高まった時のweeklyオプション活用事例
2017年9月9日は北朝鮮の記念日でもあったため、ミサイル発射が懸念される中、何か起きる可能性が取沙汰されていました。
もし本当にミサイル発射などが起きた場合には、日経平均株価は大きく下落するだろうと考えられます。
実際に8月10日前後に北朝鮮リスクが高まって以降、9月に入って500円近く下げているのですでに織り込み済みとも考えられるか、すべてを織り込んでいるかどうかは分かりません。
ロングストラドルで57万円稼いだ、新しいイベント投資手法で解説したように、大きく日経平均が動くと利益になるポジションは、時間価値の低下による損失がリスクとなる戦略でもあるので、セータ分の減価と相場の大きな変動のどちらが勝つかという選択の問題でもあります。
だからこのような何か起きるかもしれないと思うときには、オプションを買っておく事が大きな利益を狙えるというわけです。
これより分かることは、何かが起これば下げ、何もなければ上げ。という真逆の方向性が考えられます。
このような時に方向性を狙うポジションは、逆行されると損失にダイレクトに影響を受けるので、なかなか方向性のリスクは取れないでしょう。
そのような場面こそ、 Weeklyオプションが有効なのです。
プレミアムは安いので小さい資金から始められるメリットがここにあります。
ATMのWeeklyプットオプション1枚のプレミアムを見てみると、9月限の第3週が満期となる3w9P19125(@140)デルタは-0.472であり、ほぼ-0.5であることが下記の表のデルタの項目を見て分かります。(下記の表記は17w0915P19125と表記されています)
一方数値は示していませんが、10月限P19125(@350)はプレミアムが高いです。
350円×1000倍なので35万円が必要です。
もちろん10月の第2金曜日まではまだ時間がありますので、もしトレンドが生まれて下落する量が多くなった場合には、マンスリー物を取引したほうが大きく利益を伸ばすことも考えられます。
しかし今回は北朝鮮リスクへの対応であり、9月9日前後に何かあるかもしれないという期間限定のポジションを考えているので、マンスリー物のオプションのような長い期間の対応は不要です。
そこでwekklyオプションを取引します。
日経平均の変動に対する感応度が同じであれば、weeklyオプションの方が安く仕入れられるので小さく勝負をする事が出来るからです。
デルタヘッジは日経225miniを買って調整する
そしてここで方向性リスクを排除するために、日経225miniでヘッジをしたのが上記の表のポジションです。
デルタヘッジで市場暴落時に112万円の利益を出せる理由とはデルタヘッジをすることで相場の上下にかかわらず利益が出せる手法であることをこの記事では解説しました。
日経225miniを5枚買うと、デルタの合計は+0.5となりますので、オプションと日経225miniのデルタを通算すると±0になります。デルタニュートラルです。
このポジションを採用することで、方向性が関係なくなりイベント時に上昇しても下落しても構わないポジションが完成しました。
デルタが0でも利益が出る理由は、ポジティブガンマのデルタヘッジ戦略となっているからです。
実際にデルタニュートラルのポジションの組成時の姿を見てみましょう。
ポジション組成時の損益グラフを示す緑の線は、上昇しても下落しても利益となることが分かります。
ただしリスクがあり、1日経過した月曜日の姿を見てみると、黄色の線のように損益がマイナスに沈み込んでいます。
このように全く動かないと時間価値の低下により損失が膨らみます。
ポジティブガンマはこのように動かないときのリスクを引き受けている戦略なのです。
満期まで保有すれば18万円の利益
実際の相場はミサイルは発射されずに終わりました。
5分足で分かるように、月曜の寄り付きはギャップアップして始まりました。
イベントドリブン的には最も利益が取れるであろうミサイル発射による混乱こそありませんでしたが、ギャップアップしたことで上昇方向の利益を見込めるかもしれません。
そこでこのweeklyオプションをそのまま持ち続けた場合の損益の推移を見てみましょう。
週明け月曜日は+2.1万円となりました。
週明け火曜日は+11.5万円となりました。
斜面を駆け上がるようにリスクカーブ上を推移しているのが分かりますでしょうか。
そのまま満期(SQ)まで保有していた場合は、+18.6万円の利益となりました。
Weeklyオプションのイベントドリブン買いのポイント
オプションデルタに合うように日経225miniの枚数を調整し、全体としてデルタが0になるようにすると、相場の方向性に関係ないポジションをつくることができるようになります。
ポジションの損益グラフを作成することで、ポジションのリスクを視覚的に分析できるようになります。
ロングストラドルで57万円稼いだ、新しいイベント投資手法でも損益グラフを紹介しましたが、このようにポジションのリスクを視覚的に分析できるようになるのがオプションの醍醐味です。
オプションのデルタは一定ではありません。
日経225miniのデルタは一定(直線的)ですが、オプションのデルタは値が変化する。だから複合ポジションを持つとデルタヘッジの形になるのです。
損益グラフの意味を読み解けると、オプションでどのリスクを取っているのか、何のリスクを避けたいと考えているのかが明確になります。
このweeklyオプションの戦略においては、組成時はデルタ=±0でも、相場が上がれば上昇に強く、相場が下落すれば下落に強いポジションとなるのがこの損益グラフから分かります。
お椀のような形になります。どんどん上昇でもどんどん下落でも利益を得らえる形です。
Weeklyオプションでも満期前に反対売買可能
Weeklyオプションはマンスリーオプション同様、満期まで持たずに自分の裁量で反対売買により手仕舞うこともできます。
もしイベントが平日にあるなら、平日だけヘッジしてイベント通過後にすぐ反対売買してポジションをクローズすることも可能なので、戦いたいときだけポジションを組成することも出来ます。
オプション買いはセータによる時間価値の減少がリスクとしてありますので、出来るだけ時間価値の減少を受けないポジションを取れば低リスクで大きな利益を狙えます。
そのためにオプションプレミアムが小さいWeeklyオプションを採用したのですが、反対売買が出来るのならイベント通過後に速やかに反対売買したほうが失う資金は少なくて済むでしょう。
Weeklyオプション イベントドリブン買いの注意点
動かなかった場合はセータ分の損失が出ます。
1日あたりセータ×1000円のロスが出るので、上下に多少とも動けば少しはセータ分のコストを回収できる関係にあります。
満期で差金決済する場合は自動で権利行使されるため流動性については心配する必要はありませんが、期中決済する場合にはオプションの流動性に注意が必要です。
Weeklyオプションはまだ登場してから日が浅いため、流動性が高くありません。
ですので組成時にも流動性を注意しつつ、決済時にもまた流動性を考慮しなければいけません。
今から出来るweeklyオプションの練習
weeklyオプションの魅力について充分理解していただけたと思いますが、流動性について不安に感じる方も多いことでしょう。
そこで今すぐ出来るweeklyオプションについて紹介します。
月に1回しか出来ないのですが、マンスリー物のオプションを利用して、残存日数が1週間となった時点でエントリーをするのです。
weeklyオプションはマンスリーオプションと特徴に差は無く、残存日数の違いだけだという説明をしました。
だから、第1金曜日にマンスリーオプションを取引すると、その値動きはweeklyオプションを取引しているのと同様の値動きになります。
したがって残存期間がweelyオプションと同じ状態で流動性が高いマンスリーオプションを取引できます。
具体的にはSQ日が第2金曜日と決まっていますので、第1金曜日あたりから、マンスリー物のオプションの取引を開始します。
そうすると満期まで1週間を切っていますので、プレミアムは安くなっています。
この状態で取引の練習をすると、満期を通過させる戦略を実際に検証する事ができるようになります。
まとめ
SQ通過により差金決済を前提にすれば、350円で買わなければいけなかったオプションがわずか140円で買えるので、エントリーしやすくなったといえます。
Weeklyオプションなら、オプションプレミアムが小さいため小ロットの取引を行うことが出来ます。
デルタはweeklyでもマンスリーでもアットザマネーならデルタ0.5なので、小ロットでデルタ0.5を実現できるweeklyオプションの方がやりやすいといえます。
しかしながら現在は流動性が低いため、現状でなかなかエントリーできない時期もあることに備えて、マンスリーオプションで練習するのも有効な手段となります。
マンスリーもの残存日数が1週間を切ったものを活用して、weeklyオプションを実感してみると良いでしょう。
アメリカの市場ではすでにweeklyオプションが活発に取引されていますので、日本も今後はweeklyオプションが広まっていくものと思われます。
将来的にはアメリカと同じようにweeklyオプションも流動性が高まり、戦略を組みやすくなるものと思われますので、その際に出遅れないように、今からweeklyオプションのメリットをしっかり学んでおきましょう。
なお、冒頭の動画ではweeklyオプションの値動きリスクとしてインプライドボラティリティについても触れています。
インプライドボラティリティとは、相場が動かなければ低下していき、オプションプレミアムを下げる要因となります。
一方何か事件や事故が起きればインプライドボラティリティは上昇するので、日経平均が大きく動いてさらにインプライドボラティリティが上昇すると、より大きな利益を狙える戦略でもあります。
よってIVの低下によるオプションの減価よりも相場の大きな変動やIVの上昇のどちらに賭ける、いわゆるイベントドリブンの買いポジションが有効なわけです。