カバードコールに存在するリスクや注意点とデメリット

オプション取引のカバードコール戦略は、米国の証券会社のオプションレベルでも一番低リスクな取引に位置付けられた戦略です。

しかし、投資である以上リスクは存在し、そのリスクを理解した上で取り組むことが大切です。

この記事では、カバードコール戦略でよく質問されるリスク・注意点・デメリットについてまとめました。

カバードコール戦略とは

カバードコール戦略とは、現物株を保有し、その現物株のコールオプションを売る戦略の通称です。

よりリスクを抑えて堅実な投資をしていきたいと考える方に、人気の投資手法です。

現物株によってカバーされているコールを売ることでオプション料を受け取ることができます。

カバードコール戦略の注意点とデメリット

銘柄によっては多額の自己資金が必要

米国株は1株から買えますが、カバードコール戦略ではオプションサイズに合わせて現物株を100株購入します。

コカコーラ株(現在の株価が約60ドル前後)など比較的割安な銘柄の場合は数十万円(60ドル×100倍=6,000ドル)から始められますが、マクドナルド株(現在の株価が約270ドル前後)の場合には数百万の資金が必要となります。(270ドル×100倍=27,000ドル)

自己資金が足りなくて手掛けたい銘柄を買えないという制約が出てしまいます。

株式と同様に株価の下落リスクがある

カバードコール戦略は、不確定な上昇益を狙う代わりに安定的にオプション料を受け取る作戦ですが、株価が大暴落するリスクや破綻して株価が0になるリスクについては、株式保有とほぼ同じ下落リスクを抱えていることに注意しましょう。

もっとも、株価が下落した場合には、バードコール戦略の方が受け取りオプション料の分だけ株式の場合よりも損失が少なくなくなるのはメリットと言えます。

2年目以降のキャッシュフロー減少の可能性がある

初年度は配当+オプション料でキャッシュフローを得られますが、2年目以降は配当額が変わらなくてもオプション料が減ってしまいキャッシュフローが低下する場合があります。

それは、満期時点で株価が大幅に下落していたときです。

この時に同じ権利行使価格のコールを売ろうと思っても株価の下落によりオプション料が減ってしまい受け取りが少なくなる可能性がありますので注意しましょう。

所得区分が異なり損益通算できない

コールが権利行使されて株を売る場合は、コールのオプション料は株式の譲渡所得に含めて利益を計算します。

一方でコールが満期で消滅した場合のコールの利益は雑所得※として課税されます。

このとき株式が含み損になっている場合は、株式の損失が確定していないためコールの利益と損益通算できず、コールの利益にのみ課税されます。

一方で株式の損失を確定させたとしても、株式の損益は譲渡所得の範囲で計算するので、雑所得であるコールの利益と相殺することができません。

サクソバンク証券のWEBサイトの「個人のお客様の場合、外国株式オプション取引に係る差金等決済から生じた利益は、他の所得と分離して、事業所得又は雑所得として課税されます」との説明に従って解説しております。
米国株オプションの課税区分については、税の専門家、所轄の税務署にご確認ください。

カバードコールのメリットとは

このようなデメリットがあるカバードコールですが、メリットもあります。

キャッシュフローは変わらない

オプション料は最初に受け取った額で固定されるので、株価がどのように変動してもポジションを組んだ時に確定したキャッシュフローは変動することはありません。

コールは株式を売る義務を引き受けることでオプション料を最初に受け取っていますが、もし権利行使されても、保有している株を相手に売れば義務を履行できるので、オプション料は返金不要です。

安定収入の方法

あなたが株式投資をしていて、

①株価の上昇は不確実だが上昇すれば10ドルの値上がり益をもらえる

②株価が上がろうが下がろうが確実にオプション料が5ドルもらえる

このような選択肢があったらどちらを選びますか?

①のような不確実な上昇益を狙うのではなく、確実なオプション料を狙いに行く②の選択肢がカバードコール戦略です。

①と②は全く異なる戦略なので比較することができません。

不動産投資で、不動産価格が上昇したところで転売して利益をあげていく投資方法と、大家さんになって賃料というインカムゲインを積み上げていく投資方法が異なるのと同じです。

まとめ

よく言われる、株価の上昇益を受け取れないという問題はデメリットと思われていますが、そもそもカバードコール戦略は上昇益を狙う戦略ではありません。

注意点としては、株価の暴落時には株式同様に損失が膨らむことと、株価が大幅下落すると塩漬けになる点が挙げられます。

また、せっかくヘッジの役割を果たすオプションも、税区分の問題でその効果が半減しまうのはデメリットと言えます。

一方でメリットとしては、株価が変動してもキャッシュフローが固定されていることと、安定した収入になる点が挙げられます。

もっと詳しくカバードコール戦略について学びたい方は、オプショントレード普及協会のメルマガに登録して勉強してみてはいかがでしょうか。