株オプションでキャッシュフロー10%超を得るやり方

あなたは株を保有していて、その株を売り指値するだけでキャッシュフローを得られる投資法を知っていますか?

通常の株式投資では、保有株の売りの指値をしただけではキャッシュフローは生まれませんが、実は株オプションを使えば、保有している株の売り指値とほぼ同じ効果を出しつつキャッシュフローを得られる方法があります。

その方法とは、株を取得した時にコールオプションを売る「カバードコール戦略」です。

コールオプションを売ると、株の売り指値とほぼ同じ効果なのにもかかわらず、年間配当額を超える充分なキャッシュフローを得られます。

この記事では株オプションを使ってキャッシュフローを得るやり方について解説します。

株オプションで実現する利益の出し方

株式投資にはキャピタルゲイン狙いの投資とインカムゲイン狙いの投資があります。

今回ご紹介するカバードコール戦略はインカムゲイン投資と非常によく似た性質を持っていますが、冒頭に紹介したように売り指値をするだけでキャッシュフローを得られるという、今まで考えたことがないような利益の出し方をします。

キャピタルゲインとインカムゲインの利益の出し方の違い

まずはキャピタルゲインとインカムゲインの違いについて説明します。

キャピタルゲインを狙うやり方を図解すると、100ドルで購入した株が上昇すれば利益、下落すれば損失です。

これは直感的にもわかりやすいと思います。

一方でインカムゲインは、株を100ドルで購入したらその株価の変動は気にせずに、株を保有することで得られる配当をコツコツと得ていく投資スタイルです。

積極的に攻めの姿勢で株価の変動を利益に変えるキャピタルゲインに対して、守りの姿勢で安定志向のスタンスがインカムゲイン狙いの投資スタイルです。

違いを整理しました。

キャピタルゲインインカムゲイン
株価の変動ダイレクトに損益に反映変動を気にしない
投資期間短期~長期長期
利益の出し方株の売却益配当
リターン額大(10%以上)ほぼ一定(2~4%程度)
リスク大きい小さい

このような特徴があります。

インカムゲインは株価の変動を気にせずに長期投資で配当を得ていく投資スタイルですが、その利回りは2~4%程度しか得られないのが一般的です。

今回紹介するカバードコール戦略は、インカムゲインに近い性質を持っていますが、投資額に対するキャッシュフローは年10%を超え、キャピタルゲインのようなリターンを生むことも可能です。

このカバードコール戦略はインカムゲインを狙う戦い方を収益が上がるようにアレンジした投資戦略と言えるかもしれません。

では具体的にどうすればキャッシュフローが増えるのか、そのやり方を解説します。

株オプションでキャッシュフローを増やすやり方

カバードコール戦略では、株を取得すると同時に「1年後※に100ドルで売る契約をする」ことでオプションプレミアムを得ることができます。

(※1年先と限定しなくても期間は自由に選択できますが、ここでは分かりやすく1年とします)

やり方は以下の通りです。

  1. 株を取得する
  2. コールオプションを売る

たったこれだけでオプションプレミアムを得られます。

では具体的に株オプションをどのように使えばいいのかを説明します。

通常の株取引とコールオプション売りの違い

カバードコール戦略では、配当投資のように永久に株を保有する投資スタイルではなく、株価が上昇したらその株を売却するつもりで投資します。

そこで、まずは配当投資で株を売却する場合を考えましょう。

配当投資で株を売却する場合

1年後に株を売却する場合は、下図のように、1年経過したのちに100ドルで売る指値をします。

株の売り指値をしても、当然のことながら損益は発生しません。

オプションを使って株を売却する場合

ところが、株を購入した時に「1年後に100ドルで株を売るという契約」であるコールオプションを売るれば、オプションプレミアムを受け取ることができます。

株を保有して、同時にその株を1年後に売る契約を交わすだけで、オプションプレミアムが発生します。

このように株を保有してコールオプションを売る方法がカバードコール売りです。

このやり方が、従来の株投資のキャピタルゲインやインカムゲインとも異なる、新しいキャッシュフローを生み出す考え方です。

コールオプション売りで5.15ドル得られる

では実際にオプションを売ると、どのくらいのオプションプレミアムを得ることができるのでしょうか。

事例として2023年1月時点でのコカ・コーラ株を取り上げてみましょう。

コカ・コーラ株は当時約60ドルでした。配当は1回あたり0.46ドルです。

年間で4回配当があり、1株当たり1.84ドルの配当を受け取れ、その配当利回りは約3%です。

このコカ・コーラ株の購入と同時に、1年後に60ドルで株を売却する契約を結ぶコールオプションを売ります。

その時のオプションは、5.15ドルで取引されていました。

よって、このインカム投資で得られるキャッシュフローは配当1.84ドル+コールオプション売り5.15ドル=6.99ドルです。

投下資金60ドル対して得られるキャッシュフローは、配当のみの約3%に対して、カバードコールを売ると11.65%と大幅に上昇しました。

配当投資とカバードコール売りで、年10%以上のキャッシュフローを得ることができました。

1年後の株価にかかわらずキャッシュフローを得られる

1年後にこのコールオプションがどのように機能するかを考えましょう。

株が上昇しても下落しても、株価の水準にかかわらず年間4回の配当とオプションプレミアムの合計699ドルのキャッシュフローを得られます。

株価が上昇した場合

株オプションの場合は1枚当たり100倍単位で計算されるため、株式も100枚保有したことを考えます。

コカ・コーラ株は現在60ドルだから、株価60ドル×100倍=6,000ドルを使って株を100株購入し、コールオプションを売ります。

1年後に株価が上昇してして60ドルを超えた場合には、コールオプションの契約内容に従って株式を60ドルで売却します。

60ドルで購入して60ドルで売却しているため、キャピタルゲインは0ドルです。

購入した時と全く同額、株の売却代金60ドル×100倍=6,000ドルが口座に戻ってきました。

株の売却代金とは別に、あらかじめ受け取っているコールオプションのプレミアム5.15ドルと1年間で得られた配当1.84ドルの合計額6.99ドル×100倍=699ドルが口座に入ってきました。

投資開始時には6,000ドルだった口座残高が、1年後には6,699ドルになりました。

株価が下落した場合

コールオプションの売りは株を60ドルで売却する指値の効果がありましたが、もし株価が60ドル以下に下落した場合は、60ドルで売却する義務が消滅します。

相手方となるコールオプションの買い手はあなたから60ドルで株を買うよりも、市場価格で株を取得したほうが安いからオプションの価値は無くなります。

よって自分の口座には株式と1年間で得られたキャッシュフローの699ドルが残ります。

株を手放すことなくキャッシュフロー699ドルを得ることができました。

カバードコールの期間が終了してもコカ・コーラ株は保有し続けているから、翌年また同じようにコールオプションを売り、配当とオプションプレミアムを得ることもできます。

キャッシュフローを得るためのリスクとは

今回の事例では、配当額の合計は1株あたり1.84ドルでオプションプレミアムは5.15ドルでした。

1年間の配当の総額よりもオプションプレミアムのほうが遥かにキャッシュフローが大きいことが分かります。

ただし、一般的にはリスクとリターンのバランスは比例しますから、オプションプレミアムを受け取るということは、何かしらのリスクがあると考えることが普通です。

ところがこのカバードコール戦略は、上昇益を得らえる機会をオプションプレミアムに変換しているだけであり、下落リスクは通常の株式投資と全く変わりません。

下落リスクは株式投資と変わらないのに、オプションプレミアムを確実にもらえるのがこの戦略の特徴です。

株の値上がり益を放棄することで得られるキャッシュフロー

60ドルで売却する契約のコールオプションですが、1年後には株価がいくら上昇していても、必ず60ドルで売らなければいけません。

株価が80ドルになっていていても100ドルを超えていても、約束した60ドルで売る必要があります。

この上昇益を放棄するかわりにオプションプレミアムを得るのがカバードコール売りです。

キャピタルゲインを狙っている場合は上昇益を受け取れないと利益になりませんが、インカムゲインを得る目的で投資すると初めから決めていたのであれば、最初から株価の値上がり益は狙っていないはずです。

株を取得したときにキャピタルゲインを狙わないという宣言をし、その見返りでオプションプレミアム5.15ドルを受け取ったとも考えられます。

「カバードコール戦略」はオプション戦略の中で最も低リスク

株式を保有してコールオプションを売る「カバードコール戦略」は、オプション取引の先進国アメリカでは、最もリスクが低いオプション取引として扱われています。

なぜなら、コールオプションの義務として株を売却する(リスクが減る方向)にすぎないからです。

このカバードコール戦略は、安定的にインカゲインを得る投資スタイルであり、アメリカでもポピュラーな戦略です。

実際に米国の証券会社でも下図のようにオプションレベルが最も低く格付けされており(Level0)、まさに初心者がはじめの一歩を踏み出すのに最適な戦略です。

まとめ

株オプションで利益をあげるやり方として「カバードコール売り」という、株を取得してコールオプションを売る戦略があります。

コカ・コーラ社の年間配当利回りは約3%ですが、カバードコールを用いて年間の配当+コールオプションを売って得られるオプションプレミアムの合計キャッシュフロー額は投下資金に対して約11.65%に向上しました。

このようにカバードコール売りは安定的なキャッシュフローを得られますが、株価が下落した際のカバードコール売りについてはポイントを押さえないと損失が確定してしまう場合があります。

そこで、気をつけなければいけないポイントや注意事項などについて、実際の株やお金を模したアイテムを作り、そのやり取りを腑に落ちて体験できるワークプログラムを開発しています。

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