米国株でポートフォリオを組む際に重要な3つの指標とは

米国株でポートフォリオを組もうとされている方は、投資についてある程度の知識があり、堅実な資産運用を目指したい方だとお察しします。

例えばiDeCoやNISAを使ってインデックスに特化して積み立てていきたいという場合でも、その積立バランスはどのように決めていけばいいか悩む方も多いのではないでしょうか。

特にiDeCoでは採用するファンドの銘柄ごとに投下資金の割合を決めて運用する必要があり、まさにポートフォリオを上手に活用するスタイルになりますから、どのように分散させればよいかは気になるところだと思います。

そこで、この記事では株式ポートフォリオを組む際に重要な3つの指標についてお伝えします。

また、この記事の最後にはポートフォリオについて学べる勉強会のご案内もありますので、ご興味ある方はご覧ください。

この記事を監修している人

守屋 史章(もりや ふみあき)

株式会社M&F Asset Architect(オプショントレード普及協会)代表取締役

宮崎県出身。慶應義塾大学法学部法律学科卒、同法学研究科修士課程修了。

個人投資家として企業数社に投資し、ビジネスオーナーを務める傍ら、証券などへの投資をも手掛ける。投資におけるオプション取引を普及させることを目的に、金森雅人氏と共同でオプショントレード普及協会を設立。短期トレーディングから長期運用まで幅広い投資ニーズをかなえる資産運用を研究している。

※「オプショントレード普及協会」は株式会社M&F Asset Architectの活動上の通称です。
※関東財務局長(金商) 3232 号

株式ポートフォリオを組む際に重要な3つの指標

ポートフォリオを組む際に重要な3つの指標は

  • リターン率
  • 標準偏差(リスク)
  • MAXドローダウン

この3つです。

リターン率

リターン率とは、みなさんがよく目にする、その銘柄が過去にどの程度の利益が出たかを割合で示したものです。

例えば100万円を投資して年間で10万円の利益を出していれば、リターンは10万÷100万=10%と算出できます。

この数字が大きい方が利益額が大きくなるため、商品の特徴を比較する際の指標としてよく用いられます。

標準偏差(リスク)

標準偏差は、その商品の価格がどのくらいブレがあるのかを示す指標です。

『リスク』と表現されますが、その株が持っているばらつき度合いを数値にしたもので、一般に言われる「下落(損失)する可能性」のことではありません。

標準偏差が小さければそれだけ価格のばらつきが少ないことを意味します。

一般的には、リスクが小さい方がパフォーマンスが安定するので良いと言われてます。

MAXドローダウン

Maxドローダウンは、過去一般的にどのくらい値下がりしたかを示した数値です。

例えばリターンは高くても標準偏差が高いために値動きが激しいポートフォリオや、リターンは良くてもMAXドローダウンが著しく高い場合は、価格変動が大きすぎるため心理的にも維持しにくいポートフォリオと判断できます。

運用期間中にもし-50%を超す下落が起きてしまうとほとんどの方は我慢できないので、できればこの数値が-30%以内、理想は-20%以内に収まる組み合わせにしましょう。

個人投資家が長期保有し続けるためには、このドローダウンも重要な指標として挙げられます。

株式と債券のポートフォリオを考えよう

ポートフォリオを組むにあたり、一番重要なのが銘柄やアセットを分散することです。

値動きの異なるさまざまな資産に分散投資すれば、1つの商品が値下がりしても慌てる必要はありません。

分散投資をしていれば、長期スタンスで運用することができるでしょう。

そこで、分散投資の効果を学ぶために、株式と債券に分散投資した時のパフォーマンスを比較してみましょう。

※以降で提示するリターンやリスク、組み合わせ比率などは切り取る期間やタイミングにより変わります。

また、この結果はあくまで過去のものであり、未来を予測するものではないことをご了承ください。

リターンを積極的に狙うアクティブ投資

まずは比較対象として、積極的に値上がり益を狙うポートフォリオとして全米株式に100%投資することを考えます。

銘柄リターン率標準偏差Maxドローダウン
全米株式9.76%15.91%-50.84%(2008年)
2006年から2023年までのパフォーマンス(Portfolio Vizualizerより)

全米株式のみ保有した場合には、Maxドローダウンはリーマンショックの2008年に-50%を超えています。

Maxドローダウンとは運用期間中に最も資産が目減りした時の量を示していますから、-50%ということは、運用期間中に資金が半分にまで減ってしまったことを意味します。

これでは投資を続けられるか少し不安になるのではないでしょうか。

リスクを考慮した安定運用スタイルの投資

今度は安定運用として、米国債券に100%投資して運用するとどうなるか確認します。

銘柄リターン率標準偏差Maxドローダウン
米国債券3.56%13.77%-41.64%(2022年)
2006年から2023年までのパフォーマンス(Portfolio Vizualizerより)

債券だけの場合は、先ほどの全米株式に対してリターンが少ないものの、依然として標準偏差が比較的高く、Maxドローダウンも大きいことが分かります。

しかしこのMaxドローダウンは、株式と異なり2022年8月から10月にかけての下落タイミングでした。

リターンとリスクを考慮したバランス型投資

そこで、株式と債券を組み合わせて数値が改善するか確認してみましょう。

銘柄リターン率標準偏差Maxドローダウン
全米株式50%+債券50%6.67%8.37%-25.15%(2022年)
2006年から2023年までのパフォーマンス(Portfolio Vizualizerより)

分散投資することで、Maxドローダウンが大幅に減少し、おおよそ-25%で済んでいます。

しかもこのMaxドローダウンは2008年のリーマンショックではなく2022年に変わりました。

全米株式のドローダウンを債券が充分補ってくれている証拠です。

このポートフォリオはリターン率が全米株式より減ってしまいますが、Maxドローダウンの数値が約25%と無理なく保有し続けられるのではないでしょうか。

このように資産を分散し、1銘柄のパフォーマンスが悪いときには他のアセットクラスで補うという形で保有することが分散投資の基本です。

株式と債券のバランスを考えよう

上記の例では株と債券を50%:50%で保有しましたが、割合を変えるとどうなるか比較しましょう。

株式の比率を高めたポートフォリオ

少しアクティブ投資の要素をいれて、全米株式に60%投資したとします。

銘柄リターン率標準偏差Maxドローダウン
全米株式60%+債券40%7.34%9.78%-30.72%(2022年)
2006年から2023年までのパフォーマンス(Portfolio Vizualizerより)

比率を60%:40%に変えたことで、リターン率は向上しましたが、Maxドローダウンも先ほどより大きい結果となりました。

債券の比率を高めたポートフォリオ

債券を多くしたほうがドローダウンは少なく、安心して保有できそうなので、比率を逆転して株式40%、債券60%にしてみましょう。

銘柄リターン率標準偏差Maxドローダウン
全米株式40%+債券60%5.98%7.03%-19.36%(2022年)
2006年から2023年までのパフォーマンス(Portfolio Vizualizerより)

40%:60%としたことで、50%:50%の割合で保有した時よりもリターン率やMaxドローダウンが小さくなりました。

このように、株式だけ、債券だけで保有するよりも、両者を組み合わせたほうがバランスは良くなりました。

結果をまとめるとこのようになります。

銘柄リターン率標準偏差Maxドローダウン
全米株式50%+債券50%6.67%8.37%-25.15%(2022年)
全米株式60%+債券40%7.34%9.78%-30.72%(2022年)
全米株式40%+債券60%5.98%7.03%-19.36%(2022年)
2006年から2023年までのパフォーマンス(Portfolio Vizualizerより)

株式と債券の比率をどうするかでパフォーマンスに差が出ることがわかります。

ポートフォリオについてしっかりと勉強して考え方を身に付ければ比較できるようになりますので、3つの指標であるリターン率、標準偏差、Maxドローダウンを上手に使いこなして、あなたなりのポートフォリオを確立しましょう。

まとめ

今回の記事では株式ポートフォリオを組む際に重要な3つの指標とポートフォリオの事例についてお伝えしました。

この3つの指標があれば様々なポートフォリオを比較できるので、今回検証した株式と債券の組み合わせの他にもアセットクラスを分散し、自分なりのポートフォリオを構築してパフォーマンスを比較してみてください。

なお、今回お伝えしたことに注意していただければ概ね良いポートフォリオを作れるかと思いますが、もっと詳しいお話を聞いてみたいという方もいると思います。

弊社では、ポートフォリオについて学びたいという方に向けて、有料の勉強会を定期的に開催しています。

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